心のこもった接客とは何か、悩んだことはありませんか?久保 亮吾さんの著書『ホスピタリティを育てる物語』は、そんな接客の悩みを解決してくれる温かい一冊です。日々の業務がただの「作業」になってしまっていると感じる方に、ぜひ手に取っていただきたいストーリーが詰まっています。
本書は、接客の現場で本当に大切な「おもてなしの心」を、具体的なエピソードを通して分かりやすく教えてくれます。マニュアルを超えた先にある、お客様との深い信頼関係を築くためのヒントが満載です。
この記事では、本書から得た気づきや、明日からの仕事に活かせる接客の極意をご紹介します。
『ホスピタリティを育てる物語』が教えてくれる「接客の本質」
接客業に携わっていると、忙しさのあまり笑顔や丁寧な言葉遣いがおろそかになってしまうことがあります。しかし、形だけの丁寧さは、お客様に簡単に見透かされてしまうものです。
本書を読み進める中で、特に私の心に残った言葉があります。
寺さんから学んだこと、それは、 「ホスピタリティは〝行動+気持ち〟」 ということ。 たしかに,、何かの行動を取らなければ相手にホスピタリティは伝わらない。 でも、気持ちのこもっていない行動を取っても、それはたんなる作業にすぎない。
引用:『ホスピタリティを育てる物語 「感動の接客」ができるようになる14の力』久保 亮吾著
どれほど洗練された動作であっても、そこに「目の前のお客様に喜んでほしい」という気持ちがなければ、ただの作業になってしまいます。行動と気持ちがセットになって初めて、相手の心に届くホスピタリティになるのだと強く実感させられました。
また、店舗やチーム内での円滑なコミュニケーションも、お客様へのホスピタリティに直結します。本書では、スタッフ間で使われる言葉の重要性についても、思わず線を引いた箇所がありました。
ボクらは、知らず知らずのうちに自分たちが使っている隠語についても整理した。隠語でなくても、キッチンスタッフの言葉をホールスタッフは知らなかったり、その逆もたくさんあった。 あたる(鍋の中で料理が焦げる) あにき(賞味期限が先に切れるほうのもの) しびれる(厨房内が忙しすぎてパニック状態)
引用:『ホスピタリティを育てる物語 「感動の接客」ができるようになる14の力』久保 亮吾著
「あたる」や「あにき」、「しびれる」など、飲食業界ならではのユニークな隠語は面白いですね。他にも業界やお店独自の言葉はたくさんありますが、これらがスタッフ間で正しく共有されていないと、連携にズレが生じてしまいます。チーム全員が同じ言葉のニュアンスを理解しているからこそ、迅速で温かいサービスが提供できるのだと気づかされました。
観察と推理から生まれる感動のサービス
『ホスピタリティを育てる物語』が描く、優れた接客は、お客様をよく観察することから始まります。本書で紹介されている、お客様の行動からその人物像を推理するエピソードは、非常に興味深いものでした。
私が特に深く感銘を受けたのは、次の読み返したくなる一文です。
「そうですねえ。ひとりしか使っていないのに、シンクのまわりにはだいぶ水が飛び散っていました。蛇口を豪快に開けて、手を大きく動かさなければ、ああはなりません。かなり、せっかちな方のようです」 「なるほど……」 「しかもあの男性、ウチに来るのは初めてですが、トイレまで迷わず一直線に歩いていかれました。こういう店を使い慣れているようでしたし、視野が広いので、スタッフのことも実によく見ておいでです。自分のカップが空になりかけているのに、スタッフの目がそこに行き届いていなければ、まず1分も経たないうちにイライラなさるでしょうね」
引用:『ホスピタリティを育てる物語 「感動の接客」ができるようになる14の力』久保 亮吾著
手洗いの様子や歩き方だけで、そのお客様の性格や求めているサービスのスピードまで見抜いてしまう観察眼には驚かされます。ただ漫然とお客様を見るのではなく、残された細かなヒントを拾い集めて「この方は今、何を望んでいるのだろう」と推理する姿勢こそが、期待を超えるサービスを生む鍵になるのですね。
『ホスピタリティを育てる物語』を読んで気づいた異文化への視点
現代の接客においては、多様な文化や背景を持つお客様への対応も欠かせません。本書では、外国人のお客様や異なる文化に触れることで得られる、ハッとするような気づきが描かれています。
特に、食事の制限に関する印象に残った一節をご紹介します。
・宗教によって食べられないものを知っておかないと、大変な失敗をする。 ──これはナイームさんの事件でさんざん思い知らされた。 ・日本人が思っているよりもベジタリアンは多いし、ベジタリアンにもいろんな種類がある。 ──卵や牛乳はOKな人もいれば、はちみつやゼラチンも含めて一切の動物成分がダメな人もいる。このあたりは僕も勉強が必要だ。
引用:『ホスピタリティを育てる物語 「感動の接客」ができるようになる14の力』久保 亮吾著
宗教による禁忌や、ベジタリアンの多様な基準を正しく理解することは、現代のサービス業において必須の知識です。知識不足が思わぬトラブルを招くこともあるため、常に学び続ける姿勢が求められます。
さらに、私たちが普段当たり前のように使っているお金についても、外国人のお客様の視点に立つと全く異なる景色が見えてきます。
「あれ? 五円玉だけ数字が書いてない!」 あわてて、全種類の硬貨の裏表をまじまじと見た。 一円は1、十円は 10 のように、百円も五百円もアラビア数字が書いてあるのに、五円玉は〝日本国 平成◯◯年 五円〟だけ。これじゃ、外国の方はいくらかわからないのでは?
引用:『ホスピタリティを育てる物語 「感動の接客」ができるようになる14の力』久保 亮吾著
確かに、五円玉にはアラビア数字が表記されていません。言われてみれば当然のことですが、当事者としての視点を持たなければ、こうした「不便さ」にはなかなか気づけないものです。相手の立場に徹底的に寄り添うことの大切さを、このエピソードは教えてくれます。
まとめ
『ホスピタリティを育てる物語』に描かれるエピソードは、単なる接客のノウハウにとどまりません。目の前のお客様を深く観察し、その一歩奥にある「本当の期待」に気持ちを込めて応えることこそが、本当のホスピタリティなのだと教えてくれます。
接客に悩んでいる方はもちろん、チームの育成に頭を悩ませているリーダーの方にも、多くのヒントを与えてくれる一冊です。ぜひ本書を手に取って、あなただけの「感動の接客」を見つけてみてください。
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