『心を壊さない生き方』を読んで感じたのは、メンタルを守るために必要なのは、気合いや根性ではなく、日々の生活を整え、自分の限界をきちんと認めることなのだということです。
心が疲れていると、「もっと頑張らなければ」「こんなことで休んではいけない」と考えてしまうことがあります。しかし、そんなときこそ睡眠や食事、運動、そして休むことに目を向ける必要があります。
この本では、メンタルヘルスについて研究結果を交えながら解説する一方で、つらいときには休んでもいい、逃げてもいいという力強いメッセージも語られています。ストレスの多い毎日の中で、自分の心を守るために覚えておきたい考え方が詰まった一冊でした。
『心を壊さない生き方』で考え直した睡眠の優先順位
忙しくなると、真っ先に削ってしまいがちなのが睡眠です。「今日だけなら大丈夫」と夜更かしを続けてしまうこともあります。
そんな生活を見直したくなったのが、次の一節です。
睡眠を軸に生活すべきなんです。 まず、7時間睡眠(理想は8時間)を死守すると決める。この7時間を絶対に譲らないために、1日は 24 時間ではなく7時間を引いた 17 時間と考えるのです!
引用:『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』Testosterone著
「余った時間で寝る」のではなく、「睡眠時間を最初に確保して、残った時間で生活する」という発想です。
これはシンプルですが、生活の組み立て方そのものを変える考え方だと思いました。仕事や趣味など、やりたいことをすべて詰め込んでから睡眠時間を決めれば、どうしても睡眠が犠牲になりやすくなります。
最初から睡眠を動かせない予定として扱う。この考え方は、心身を守りながら長く活動していくうえで意識しておきたいところです。
食事もメンタルと無関係ではない
『心を壊さない生き方』では、睡眠だけでなく食事についてもさまざまな研究が紹介されています。
特に印象に残ったのが、日々の食生活と精神状態との関連について触れた一節でした。
日本人1万1876人を対象に、肥満(BMI)や生活習慣と、精神疾患の関連性について調べました。それによると、 うつ病になった人は頻繁に間食したり、夜食をとったりする人が多い一方で、朝食を食べる人は少なかった そうです。「
引用:『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』Testosterone著
心の調子が悪いとき、原因をすべて精神的な問題として考えてしまいがちです。しかし、普段どんな生活をしているのかという視点も忘れてはいけないのだと感じました。
もちろん、こうした関連性だけを見て単純に原因と結果を決めつけることはできません。本書にも相関について考えるための例が登場します。だからこそ、「これさえ食べれば大丈夫」と考えるのではなく、自分の生活習慣全体を振り返るきっかけとして受け止めるのがよさそうです。
メンタルのために何か特別なことを始める前に、食事や睡眠といった毎日の基本を見直す。その大切さを考えさせられました。
『心を壊さない生き方』が教えてくれる運動との付き合い方
もうひとつ興味深かったのが、運動と不安についての話です。
不安で頭がいっぱいになったときの筋トレについて、こんな言葉が出てきます。
俺もね、不安で頭がいっぱいになると激しい筋トレをするの。そうすると筋トレしている間は不安を感じる余裕なんてないから、脳から不安が消え去るわけよ。 脳の機能を強制終了させる 感じ。でね、筋トレが終わるとまた脳機能が復活するので不安が襲ってくるかと思いきや、筋トレする前より確実に不安が弱まるの。筋トレすることで分泌が促されるホルモンであるテストステロン、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、エンドルフィン等のホルモンがドカーンと不安をぶっ飛ばしてくれるんだよね。筋トレするたびに「不安に根源なんてないんだな~。気分やホルモンバランスの問題なんだな~」 って何度も実感してるよ。
引用:『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』Testosterone著
「脳の機能を強制終了させる」という表現がとても印象的でした。
不安を感じたとき、頭の中だけで答えを出そうとして延々と考え続けてしまうことがあります。そんなとき、いったん体を動かして思考から距離を置くという選択肢があるだけでも、気持ちは少し違ってくるのではないでしょうか。
本書では筋トレだけに限定せず、楽しみや達成感が得られる行動を少しずつ行うことについても触れられています。大切なのは無理をすることではなく、自分の状態に合わせてできることから始めることなのだと思います。
何より大切なのは自分を守ること
『心を壊さない生き方』の中で、最も強く心に残ったのは「無理をしない」というメッセージでした。
仕事が大切でも、周囲に迷惑をかけたくなくても、自分自身が限界を超えてしまっては取り返しがつきません。
本書には、かなりストレートな言葉でこう書かれています。
つらいときはつらいと正直に会社に伝えてください。それでも真摯に相談に乗ってくれないような会社はクソです。精神をぶっ壊される前にとっととやめましょう。自分の身の安全は自分で確保しましょうね。
引用:『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』Testosterone著
言葉は強烈ですが、それだけ「自分を守ること」を優先していいのだというメッセージが伝わってきます。
真面目な人ほど、「まだ頑張れる」「自分が我慢すればいい」と考えてしまうのかもしれません。しかし、本当に限界を迎える前に休むことや、その原因から離れることも選択肢です。
逃げることを敗北だと考える必要はない。自分の健康を守るための行動だと考えれば、見え方は大きく変わります。
まとめ
『心を壊さない生き方』は、心を守ることを精神論だけで考えず、睡眠、食事、運動、休息など、毎日の生活から考え直すきっかけを与えてくれる本でした。
特に心に残ったのは、「無理をしない」という一貫した考え方です。
しっかり眠る。食生活を見直す。体を動かす。そして、本当につらいときには休む。必要なら原因から離れる。
どれも特別に派手な方法ではありません。しかし、心を壊してしまう前だからこそできることがあります。
「最近ちょっと無理をしているかもしれない」「いつも頭の中が不安や仕事でいっぱいになっている」。そんなとき、自分の生活と心の状態を見直すきっかけとして読んでみたい一冊です。
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