限界の正体から抜け出す方法

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「限界の正体」を考えるとき、私たちはつい「自分にはこれ以上できない」と考えてしまいます。でも、その限界は本当に能力の限界なのでしょうか。為末大さんの『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』を読むと、私たちを止めているのは能力そのものではなく、思い込みや経験によってつくられた「見えない檻」なのかもしれないと気づかされます。

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限界の正体は「思い込み」かもしれない

ある限界値が信じられていて、そこでみんなが立ち止まっているときに、誰かがふっと限界を超えると、それをきっかけに、誰もが超えてしまう。人には「誰かができれば、自分にもできる」 と思う心理が働くので、ひとたび記録が破られると、それはもはや限界ではなくなります。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

この話は、スポーツだけに当てはまるものではありません。

「このくらいが自分の限界」
「これ以上は無理」
「自分には向いていない」

そんなふうに考えていることが、実は能力の限界ではなく、過去の経験や周囲の常識によって決められたものかもしれません。

野茂英雄さんの言葉が示すもの

アメリカ行きが正式に決定したとき、野茂さんは「不安はないか?」というインタビューに対し、次のように答えています。 「希望はあっても不安はありません」  おそらく、野茂さんの頭の中に「日本人はメジャーリーグで通用しない」という思い込みがなかったのだと思います。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

できるかどうかを考える前に、「そもそも無理だ」と決めつけていないか。

限界を超えるためには、まず自分の中にある前提を疑ってみることが大切なのだと思います。

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限界の正体を知る「カマス」の話

学習性無力感を説明するときのたとえ話としてよく使われるのが、カマス理論です。   獰猛 なカマスを透明な仕切りのある水槽に入れ、仕切りの向こうにエサとなる小魚を放ちます。するとカマスは、小魚を食べようと仕切りにぶつかっていく。しかし、小魚を捕まえることができないとわかると、エサをあきらめてしまいます。  この状態に慣れてしまうと、仕切りを外しても、カマスは小魚を食べようとしません。カマスは小魚を捕る能力を持っているのに、捕れないと思い込んで、その能力を使わなくなってしまうのです。  では、カマスに小魚を食べさせるには、どうしたらいいでしょうか。  とても簡単です。  仕切りがあったことを知らない、新しいカマスを水槽の中に入れればいいだけです。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

人間にも、似たようなことが起こります。

過去に失敗した経験があると、「また失敗する」と考えてしまう。何度かうまくいかなかった経験が積み重なると、「自分にはできない」と思い込んでしまう。

けれど、それは現在の自分にも当てはまるとは限りません。

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限界の正体をつくる「思考の檻」

いったん、限界を感じると、その中でしか思考ができなくなります。 「どうせ無理」 「やってもかなわない」  思考の檻は、自分の行動を狭めてしまいます。  行動力がなくなり、身動きが取れなくなります。さらに、限界の檻の中にいるのが、次第に心地よくなってくるからやっかいです。  しかし、 限界の檻をつくり出したのは、自分自身の思考や心。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

一番怖いのは、限界を感じることそのものではありません。

限界を理由に、最初から行動しなくなってしまうことです。

ブログでも、仕事でも、勉強でも、最初から「自分には無理」と決めてしまえば、試すことすらできません。

だからこそ、「本当に無理なのか?」と問い直してみる。

その小さな疑問が、思考の檻から出るきっかけになるのかもしれません。

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大きな夢より目の前の改善を続ける

選手のインタビューを聴くと、彼らが小さな頃から夢に向かって一心不乱に努力をしてきた姿が感動的に浮かび上がります。  しかし実際のところ、オリンピック選手の統計データによると、子どものころからオリンピック選手を目指してきた人は、全体の 40%以下だということがわかっています。成功を収めたアスリートでさえ、はじめから壮大な夢や目標を持っていたわけではないのです。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

大きな目標を持っていなければ成功できない。

そんなイメージを持っている人は少なくないと思います。

しかし、実際にはそうとは限りません。

成功につながるのは小さな改善

僕は、多くのオリンピック選手にお会いして、目標設定に関するインタビューをしたことがあります。  すると、この統計データを裏づけるように、ほとんどの選手が、はじめは大きな夢や目標を 持っていなかった のです。  では、どうして彼らは成功を手にできたのか。  理由はこのことに尽きると思います。 「目の前の問題を解決し、改善を繰り返す」
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

これは日常生活にも、そのまま応用できます。

「1年後に大きく変わる」と考えるより、「今日は何を一つ改善できるか」と考える。

ブログなら記事を一本改善する。仕事なら昨日より一つ効率化する。読書なら一つ学んだことを実践する。

小さな改善を積み重ねていけば、最初には想像していなかった場所まで進める可能性があります。

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目標は柔軟に変えていい

僕は現役時代、 目標の下方修正を柔軟に行っていました。  本番までの大きな目標と、当日、何を狙うかの目標が変わってもかまわないと考えていたのです。  実際に僕は、メダルを目標としていながら、本番当日は現実的な判断をして、自分がいちばん頑張れそうな、決勝進出に狙いを変えたことがあります。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

目標を変えることは、負けではありません。

状況が変わったなら、目標を調整する。

むしろ、現実を見ずに最初の目標へ固執し続けるほうが、自分を苦しめることがあります。

「絶対にこうしなければならない」ではなく、「今の自分なら何を狙えるか」と考える柔軟さも、前に進み続けるためには必要なのだと思います。

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ゴールを意識しすぎないことも大切

陸上競技は、トルソーと言われる頭・腕・足・脚を除いた胴体部分がフィニッシュラインに達することでゴールと認定されます。多くの選手が前傾姿勢になってフィニッシュラインに飛び込むのは、そのほうが少しでも早くゴールできるからです。  ですが、ゴール前で「よし、もうすぐゴールだ!」とフィニッシュの構えに入るとき、力みが生じてスピードを減速させているというデータがあります。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

ゴールを強く意識するほど、かえってパフォーマンスを落としてしまうことがあります。

これは仕事や勉強にも通じる話ではないでしょうか。

「早く結果を出さなければ」と焦るほど、目の前の作業に集中できなくなる。

結果を追いかけることも大切ですが、今やるべきことに集中することも同じくらい大切です。

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才能という現実も受け入れる

陸上競技でも、世界クラスの短距離選手になるには、生まれつきの才能が必要不可欠であるという研究報告もあります。アメリカ、ミシガン州のグランドバレー州立大学が、世界クラスのスプリンター 26 人の記録を調査したところ、きちんとしたトレーニングをはじめる前から、そもそも先天的に速かったことがわかっています。  研究者は、スピードが天性のものである可能性が非常に高いことから、その他のスポーツにおいても、 生まれ持った才能が重要な役割を果たしている可能性が高い と推測しています。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

何でも努力すればできる、という単純な話ではありません。

才能や環境など、自分では変えられない要素もあります。

だからこそ重要なのは、自分の限界を正しく見極めることです。

「努力すれば何でもできる」と思い込む必要もなければ、「才能がないから無理」と最初から諦める必要もありません。

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常識を疑うことで見える世界が変わる

アルベルト・アインシュタインは、「常識とは、 18 歳までに身につけた偏見のコレクションである」 と喝破しました。僕たちの限界の多くも、思い込みや偏見の産物なのです。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

自分にとっての「当たり前」は、本当に当たり前なのか。

この視点を持つだけでも、選択肢は増えていきます。

「普通はこうする」
「自分にはこうするしかない」
「今さら変えられない」

そんな言葉が頭に浮かんだときこそ、一度立ち止まってみる。

その前提を疑うことで、自分を閉じ込めていた檻の存在に気づけるかもしれません。

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無理をしないことも強さになる

北京オリンピックで銅メダルを獲得した男子4×100メートルリレーで、最終走者を務めた 朝原 宣 治 さんは、スケジュール変更をすることで有名でした。  朝原さんは、少しでも身体に異変を感じれば、すぐに練習や試合をやめる人だったのです。  途中ですぐやめるので、傍から見たら、わがままと思われたこともあったようですが、そうではありません。 身体の違和感や感覚に、素直に従っている だけです。  朝原さんは、練習や小さな試合をキャンセルしても、オリンピックや世界陸上といった大きな大会では、一度も外したことがありません。  以前、朝原さんと対談をさせていただいたとき、こう話されていました。 「僕は大きい大会で結果を出すことを考えていたので、ひとつひとつのレースにはそんなにこだわらず、途中でやめるという決断ができた。ゆらり、ゆらりと、ぬらりひょんみたいにやってきたからこそ、 36 歳まで現役を続けられたんです」
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

限界を超えるというと、無理をして頑張り続けるイメージがあります。

しかし、長く結果を出すためには、やめる判断も必要です。

目の前の一回にこだわりすぎず、本当に大切なものを見失わない。

それもまた、限界の檻から自由になるための考え方なのだと思います。

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「わからない」と認めることから変化が始まる

レスリングの吉田 沙 保 里 選手を育てた 栄 監督は、「無知の知」を持っている人でした。  栄監督は以前、「僕は結局、何が理想の指導かわかっていない」とおっしゃっていました。  栄監督も、吉田沙保里選手も、結果を出しているにもかかわらず、「自分が正しい」とは思っていないそうです。常に、わからないと自覚している。わからないから、探り、疑い、たしかめようとします。探り、疑い、たしかめるから変化し、変化をするから勝ち続けることができるのです。
引用:『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』為末 大著

「自分は正しい」と思い込んだ瞬間、変化は止まります。

反対に、「まだわからない」と考えられる人は、試すことができます。

限界を超えるために必要なのは、常に自信満々でいることではありません。

自分の考えを疑い、新しい方法を試し、結果を見ながら修正する。

その繰り返しこそが、自分の可能性を広げていくのだと思います。

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今日から自分の檻を一つ外してみる

『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』を読んで強く感じるのは、「限界を超える」とは、無理をして自分の能力以上のことをすることではないということです。

自分が勝手に決めていた限界を疑う。

目の前の問題を一つずつ改善する。

必要なら目標を柔軟に変える。

無理をするときは立ち止まる。

そして、「自分が正しい」と決めつけずに試し続ける。

まずは今日、「どうせ無理」と思っていることを一つだけ書き出してみる。そして、本当に無理なのか、それとも過去の経験や思い込みによってそう感じているだけなのかを考えてみる。

限界の正体を見つめ直すことが、自分の見えない檻から抜け出す第一歩になるはずです。

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