日本映画界の「ヒットの仕組み」と二極化する現状

Book

映画館に足を運ぶと、いつも同じような大手配給会社の作品が上映されていると感じたことはありませんか?実は、現在の日本映画界には、ヒットが約束される強力な仕組みが存在しています。今回は、和田隆氏の著書『映画ビジネス』から、業界の構造と現状について探っていきます。

スポンサーリンク

1. 大手映画会社による「正のスパイラル」

日本の映画ビジネスにおいて、東宝、松竹、東映といった大手各社は、独自の強力な制作・宣伝スキームを構築しています。

東宝、松竹、東映、ワーナー・ブラザースといった大手映画会社が、ベストセラー小説や漫画の原作元の出版社や、高視聴率を記録した人気ドラマを放映したテレビ局などと「製作委員会」を組んで、すでに人気のあるコンテンツを「映画」としてヒットさせる制作の仕組みができあがっているのです。  さらに、東宝を例にすると、観客は、大ヒットした東宝配給作品をTOHOシネマズなどで鑑賞すると、その際に東宝配給作品の次回作の予告編を自動的に見ることになります。当然、大ヒット作となると、それだけ多くの観客が予告編を見ることになるので、作品の認知・期待度が上がり、ヒットのスパイラルが次々と生まれるのです。

引用:『映画ビジネス』和田隆著

製作委員会の役割

出版社やテレビ局と連携することで、原作ファンや視聴者を確実に取り込む体制が整っています。

劇場チェーンとの連携

自社系列の劇場(TOHOシネマズなど)で予告編を大量に流すことにより、ヒット作が次のヒット作を呼ぶ構造が強化されています。

スポンサーリンク

2. 日本映画が抱える「二極化」の課題

華やかなヒット作の裏側では、映画界が抱える構造的な格差も浮き彫りになっています。

大手映画会社を中心に大ヒットが生まれる「正のスパイラル」と、中小規模の作品をとりまく「負のスパイラル」。この2つの輪が同時に存在しているのが、日本映画の現状です。

引用:『映画ビジネス』和田隆著

大手作品に資本と注目が集中する一方で、インディペンデント作品や中小規模の映画は、上映機会や宣伝費の確保に苦しむという厳しい側面があります。

スポンサーリンク

3. 外資系メジャーと日本国内の配給体制

日本で見られる映画は邦画だけではありません。ハリウッド映画もまた、独自の配給網を通じて私たちの元へ届けられています。

ハリウッドの洋画メジャー映画会社にはワーナー・ブラザース、ウォルト・ディズニー、ソニー、ユニバーサル、パラマウントの5大メジャーがあり、日本国内ではワーナー、ディズニー、ソニーの作品を各現地法人(支社)、ユニバーサル作品を東宝東和、パラマウント作品を東和ピクチャーズが配給しています。

引用:『映画ビジネス』和田隆著

このように、外資系メジャー作品であっても、日本の映画会社(東宝東和など)が配給を担うケースがあり、国内資本と海外資本が複雑に絡み合いながら市場を形成しています。

スポンサーリンク

まとめ

日本映画界は、大手企業による「製作委員会」と「自社劇場網」を軸とした強固なビジネスモデルによって支えられています。しかし、その安定が「二極化」という新たな課題を生んでいることも事実です。私たちが何気なく見ている映画の背景には、こうした戦略的なスパイラルが存在しているのです。

コメント