「ナンバーワン」じゃなくていい。自分だけの「オンリーワン」を見つけるヒント

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「競争に勝たなければ」「一番にならなければ」――日々の生活の中で、そんなプレッシャーを感じることはありませんか?私たちは常に誰かと比較され、優劣をつけられることに慣れてしまっています。でも、本当に「ナンバーワン」だけが正解なのでしょうか?

今回ご紹介するのは、稲垣栄洋先生の著書『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』です。この本は、生物の多様性から私たち人間の生き方まで、個性の重要性を深く教えてくれます。

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個性がないと「もろい」?自然界が教えてくれる多様性の価値

私たちは、タンポポの花を見ると、どれも同じ黄色だと感じますよね。これは、アブの仲間を呼び寄せるために「黄色がベスト」だからです。

タンポポは、主にアブの仲間を呼び寄せて花粉を運んでもらいます。アブの仲間は黄色い花に来やすい性質があります。そのため、タンポポの花の色は黄色がベストなのです。  黄色が一番いいと決まっているから、タンポポはどれも黄色なのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

一方で、花屋さんには色とりどりの花が並んでいます。これは人間が「いろいろあること」の素晴らしさを知っているから、品種改良によって多様な色を生み出してきた結果です。

ところが、花屋さんで売られている花や、花壇の花は、同じ種類でも色とりどりです。  それは、人間が花を楽しむために品種改良をしているからです。同じ色の花ばかりよりも、さまざまな色の花があったほうが、きれいです。そのため、人間はさまざまな色の品種を作り出しました。本当は人間も、「いろいろあること」の素晴らしさを知っているのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

では、この多様性が失われるとどうなるのでしょうか?本書では、かつてアイルランドを襲ったジャガイモ飢饉の例が挙げられています。人間が「収量が多い」というたった一つの基準でジャガイモを選び続けた結果、病気に弱い単一品種ばかりになり、壊滅的な被害を受けました。

自然界の植物には、個性があります。しかし、人間は「収量が多い」というたった一つの価値観でジャガイモを選び出しました。どんなに優秀であっても、個性がない集団はもろい。ジャガイモの事件は、個性の重要性を人間に見せつけたのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

私たちの体の中、DNAレベルでも驚くべき多様性が存在します。両親から受け継ぐ染色体の組み合わせだけでも70兆を超えるパターンがあり、さらにその一部が交換されることも考えれば、組み合わせは無限大です。最近の研究では、これまで使われていないと思われていたDNAの多くが、人間の個性や性格を生み出すために使われていることが明らかになりつつあるそうです。

最近の研究では、使われていないと思われていた膨大なDNAは、人間の性質の差や性格の差を生み出すためのものであるということが、明らかにされつつあります。つまり、DNAの多くの部分は「個性」を生み出すために使われていたのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

私たち一人ひとりが持つ性格や特徴も、その個性が人間にとって必要だからこそ存在している、と本書は語ります。

いろいろな顔があるということは、どの顔が良いとか悪いとかではなく、いろいろな顔があることに価値があるのです。  性格も一人ひとり違います。得意なことも人それぞれ違います。  生物は必要のない個性を持ちません。私たちの性格や特徴に個性があるということは、その個性が人間にとって必要だからです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

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「ナンバーワン」だけじゃない!生物が共存する秘密

「競争に勝った者だけが生き残る」――そんな法則を証明するかのような実験があります。「ガウゼの実験」と呼ばれるもので、ゾウリムシとヒメゾウリムシを同じ水槽で飼うと、最終的にヒメゾウリムシだけが生き残るというものです。

理科の教科書には、ナンバー1しか生きられないという法則を証明する「ガウゼの実験」と呼ばれる実験が紹介されています。  旧ソビエトの生態学者ゲオルギー・ガウゼは、ゾウリムシとヒメゾウリムシという二種類のゾウリムシを一つの水槽でいっしょに飼う実験を行いました。  すると、どうでしょう。  最初のうちは、ゾウリムシもヒメゾウリムシも共存しながら増えていきますが、やがてゾウリムシは減少し始め、ついにはいなくなってしまいます。そして、最後には、ヒメゾウリムシだけが生き残ったのです。  二種類のゾウリムシは、エサや生存場所を奪い合い、ついにはどちらかが滅ぶまで競い合います。そのため、一つの水槽に二種類のゾウリムシが共存することはできないのです。「ナンバー1しか生きられない」  これが自然界の厳しい鉄則なのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

しかし、この実験には続きがあります。ガウゼはゾウリムシとミドリゾウリムシという組み合わせで再実験を行いました。すると、驚くことに、二種類のゾウリムシはどちらも滅ぶことなく共存したのです。その秘密は、それぞれの「生き方の違い」にありました。ゾウリムシは水槽の上の方で浮遊する大腸菌を食べ、ミドリゾウリムシは水槽の底の方で酵母菌を食べる、というように、エサも場所も棲み分けていたのです。

じつは、ガウゼが行った実験には、続きがあります。そして、この実験が大きなヒントとなるのです。  続きの実験では、ガウゼはゾウリムシの一種類を変えて、ゾウリムシとミドリゾウリムシという二種類で実験をしてみました。  すると、どうでしょう。  驚くことに、どちらのゾウリムシも滅ぶことなく、二種類のゾウリムシは、一つの水槽の中で共存をしたのです。  これは、どういうことなのでしょうか。  じつは、ゾウリムシとミドリゾウリムシとは、違う生き方をしていました。  ゾウリムシは、水槽の上の方にいて、浮いている大腸菌をエサにしています。これに対して、ミドリゾウリムシは水槽の底の方にいて、酵母菌をエサにしているのです。  そのため、ゾウリムシとヒメゾウリムシのときのような争いは起きなかったのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

この「違う生き方」こそが、「ニッチ」と呼ばれるものです。ニッチとは、もともと教会の壁にある装飾品を飾るくぼみのことを指し、それぞれの生物が自分に合った独自のポジションを見つけることで、競争を避け、共存できることを示しています。

「ニッチ」という言葉は、もともとは、装飾品を飾るために教会の壁面に設けたくぼみのことです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

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あなただけの「オンリーワン」を見つけるヒント

人間は、何かを理解する際に「比べる」ことをしがちです。しかし、自然界には本来、序列や優劣はありません。

比べないと理解できない。これが、人間という生物が持つ脳の限界なのです。  しかし、脳が常に正しいわけではありません。  忘れてはいけない大切なことは、本当は自然界には序列や優劣はないということなのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

「良い生活」と聞いて、高級品に囲まれた生活を想像するかもしれません。しかし、「幸せな生活」と聞けば、家族や友人に囲まれ、ストレスなく満たされた日々を思い浮かべるのではないでしょうか。幸せに勝ち負けや平均はありません。あなたが楽しく満たされていれば、それで十分なのです。

「良い生活」というと、どんなイメージがあるでしょうか。  誰もがうらやむ高級なブランド品に身を包み、高級車を乗り回し、豪邸に住んで何不自由なく暮らす生活を思い浮かべるかもしれません。  それでは、「幸せな生活」といえば、何を思い浮かべるでしょうか。家族や友人に囲まれて、ストレスなくゆったりとした気持ちに満ちあふれた生活を思い浮かべないでしょうか。  幸せに勝ち負けはありません。幸せに平均もありません。  あなたが楽しく満たされていれば、それでいいのではないですか。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

古代中国の思想家・孫子は「戦わずして勝つ」と言いました。歴史上の偉人たちもまた、できるだけ戦わない戦略にたどり着いています。彼らは多くの戦いを経験し、負けを重ねたからこそ、「ナンバーワン」を目指すのではなく、自分だけの「オンリーワン」のポジションを見つけることの重要性を学んだのです。

古代中国の思想家・孫子という人は「戦わずして勝つ」と言いました。  孫子だけでなく、歴史上の偉人たちは「できるだけ戦わない」という戦略にたどりついているのです。  偉人たちは、どうやってこの境地にたどりついたのでしょうか。  おそらく彼らはいっぱい戦ったのです。そして、いっぱい負けたのです。  勝者と敗者がいたとき、敗者はつらい思いをします。どうして負けてしまったのだろうと考えます。どうやったら勝てるのだろうと考えます。  彼らは傷つき、苦しんだのです。  そして、ナンバー1になれるオンリー1のポジションを見つけたのです。  そんなふうに「戦わない戦略」にたどりついたのです。
引用:『はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密』稲垣栄洋

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まとめ

私たちは、誰もが唯一無二の存在です。無理に誰かと比べて自分を卑下したり、誰かの「ナンバーワン」を目指して疲弊したりする必要はありません。

この本は、生物多様性の視点から、私たちが持つ「個性」がいかに尊いものかを教えてくれます。そして、自分だけの「ニッチ」を見つけ、「戦わずして勝つ」というオンリーワンの生き方へと導いてくれるでしょう。

あなたの中にある、まだ気づいていない「個性」を大切にしてください。それが、あなたにとっての本当の幸せへの鍵となるはずです。

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