「置かれた場所で咲きなさい」という言葉は、多くの人の心に響き続けています。仕事、人間関係、将来への不安など、自分では変えられない状況に悩む時、この一冊は「置かれた場所で咲きなさい」という生き方を静かに教えてくれます。
環境を変えられないことはあります。しかし、自分の考え方や行動は変えられます。本書には、日々を前向きに生きるための知恵が数多く詰まっています。今回は、特に印象に残った言葉を紹介しながら、私自身が学んだことをまとめます。
置かれた場所で咲きなさいとは「自分が変わる」ということ
本書のタイトルにもなっている言葉は、誤解されることがあります。「我慢しなさい」という意味ではありません。
置かれた場に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったり不幸せになったりしては、私は環境の奴隷でしかない。人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせようと、決心することができました。それは「私が変わる」ことによってのみ可能でした。いただいた詩は、「置かれたところで咲きなさい」の後に続けて、こう書かれていました。「咲くということは、仕方がないと諦めることではありません。それは自分が笑顔で幸せに生き、周囲の人々も幸せにすることによって、神が、あなたをここにお植えになったのは間違いでなかったと、証明することなのです」
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
環境に振り回される人生ではなく、自分の心の持ち方を変えることで、人生の見え方は変わります。
相手や会社を変えようとするよりも、自分がどう行動するか。その積み重ねが人生を変えていくのだと感じました。
咲けない時は根を張ればいい
人生には努力しても結果が出ない時期があります。
そんな時に励まされるのが、この言葉です。
どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
結果ばかり求めて焦ってしまいますが、成長には準備期間があります。
資格取得の勉強や読書、健康づくり、人間関係など、一見成果が見えなくても、将来の自分を支える「根」を育てている時間なのかもしれません。
時間の使い方はいのちの使い方
短い一文ですが、とても重みがあります。
時間の使い方は、そのまま、いのちの使い方なのですよ。
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
誰にでも一日は24時間です。
何に時間を使うかは、そのまま人生を何に使うかということでもあります。
忙しい毎日の中でも、本当に大切なことへ時間を使えているか、改めて考えさせられました。
忙しさに心を奪われない
仕事に追われていると、人への思いやりを忘れてしまうことがあります。
私がノートルダム清心女子大学の学長をしていた時、時折学生がノックして部屋に入ってくることがありました。「いらっしゃい」と迎えるべきなのに、仕事に追われている時など、つい「何の用」という言葉で迎えてしまい、「別に用はないんですが、ちょっとお話ししたくて」と、すまなさそうに部屋を出てゆく学生の後ろ姿に、何度「ごめんなさい」とつぶやいたかわかりません。「働き」そのものはすばらしくても、仕事の奴隷になってはいけない。いつも木を切る斧に油をさし、いたわる日間を忘れないでいたいと思います。
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
仕事は大切ですが、人との時間は二度と戻ってきません。
忙しい時ほど、少し立ち止まり、心に余裕を持つことの大切さを教えられます。
笑顔は自分から届ける
人は相手の態度に期待してしまいます。
しかし、本書では逆の発想を勧めています。
自分が期待したほほえみがもらえなかった時、不愉快になってはいけない。むしろ、あなたの方から相手にほほえみかけなさい。ほほえむことのできない相手こそ、あなたからのそれを、本当に必要としている人なのだから、
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
笑顔は相手からもらうものではなく、自分から贈るもの。
職場でも家庭でも、この考え方を持つだけで人間関係は少し変わるように思います。
人を信じるなら100%ではなく98%
印象的だったのが、人との距離感についての考え方です。
人間は決して完全にわかり合えない。だから、どれほど相手を信頼していても、「100%信頼しちゃだめよ、98%にしなさい。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておきなさい」といっています。人間は不完全なものです。それなのに100%信頼するから、許せなくなる。100%信頼した出会いはかえって壊れやすいと思います。「あなたは私を信頼してくれているけれども、私は神さまじゃないから間違う余地があることを忘れないでね」ということと、「私もあなたをほかの人よりもずっと信頼するけど、あなたは神さまじゃないと私は知っているから、間違ってもいいのよ」ということ……。そういう「ゆとり」が、その2%にあるような気がします。間違うことを許すという「ゆとり」。それは、教師との間にしてもお友だち同士にしても大事なことです。
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
完璧を求めないからこそ、人間関係は長続きします。
許す余白を持つことが、自分自身を苦しめない秘訣なのだと感じました。
置かれた場所で咲きなさいが教えてくれる人生の歩み方
最後に、もう一度この言葉を振り返ります。
「咲くということは、仕方がないと諦めることではありません。それは自分が笑顔で幸せに生き、周囲の人々も幸せにすることです」置かれた場所を変える、あるいは周囲の人に変わってもらうのではなく、置かれた場所を自分の居場所として、あなた自身が変わりなさい。そのメッセージを、二人の神父さまからいただいたのです。
引用:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著
環境を理由に人生を諦めるのではなく、自分にできることを一つずつ積み重ねる。
苦しい時は無理に咲かなくてもいい。根を張る時間も人生には必要です。
本書は、人生のどの年代で読んでも、その時々に必要な言葉を与えてくれる一冊だと感じました。
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