老後2000万円問題以降、「年金だけで暮らせるのか?」という不安を感じる人は増えました。しかし実際には、日本の年金制度は“破綻する”というより、「どう活用し、どう補完するか」が重要になっています。
今回読んだのは、35歳から創る自分の年金。
制度を感情論ではなく、数字ベースで解説しているのが印象的でした。
この記事では、特に印象に残ったポイントを整理しながら、「これからの時代に必要な老後戦略」を考えていきます。
国民年金は“払わないと減る”
第1号被保険者については、月々1万6410円(2019年度現在)の国民年金保険料を自分で納める必要がありますが、もしこれを納めずに未納としていたり、学生であったり低所得であったりするために保険料の免除を受けていたりすると、保険料を納めなかった分だけ、支給される年金額は減額されます。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
「年金は払っても損」という声もありますが、未納にすると将来の受給額が直接減る仕組みです。
特にフリーランスや個人事業主は、自分で納付しなければならないため、後回しにしやすい部分でもあります。
一方で会社員は厚生年金に加入するため、給与から自動的に天引きされます。
厚生年金は“収入比例”
厚生年金の年金額は現役時代の所得に比例します。厚生年金の保険料は給与や賞与に対して 18・3%の定率で徴収されますので、厚生年金は納めた保険料に比例して給付を受けられるといってもよいでしょう。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
高収入ほど年金額は増えます。
ただし、面白いのは「収入ほど差が広がらない」という点です。
例えば、夫の現役時代の平均年収が200万円であった場合の年金額は年198万7800円、平均年収が1000万円の場合は、老後の年金額は369万8200円と高額になりますが、平均年収200万円の世帯と比べた比率でみると1・86 倍にとどまります。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
保険料は年収に比例して支払うため、平均年収1000万円の世帯は平均年収200万円の世帯の5倍の保険料を支払いますが、もらえる年金額について5倍になるのは厚生年金のみで、基礎年金は変わりません。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
つまり、日本の年金制度は「完全な自己責任型」ではなく、再分配的な要素もかなり強いわけです。
「年金破綻」は本当か?
それでも年184万円(月 15・3万円)というのは、住宅ローンを返し切って家賃負担がなければなんとか夫婦で最低限の暮らしはできそうな金額で、「年金が破綻する」とか「年金がもらえない」ということにはなりません。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
もちろん余裕ある生活とは言えません。
ただ、「ゼロになる」というイメージとも違います。
重要なのは、
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住宅費をどうするか
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現役時代にどれだけ積み立てるか
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何歳まで働くか
この3つをセットで考えることだと感じました。
共働きが“最強戦略”になっている
本書で特に印象的だったのが、共働きの重要性です。
世帯年収1000万円以上の世帯の8割は共働き世帯です。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
夫婦それぞれ500万円ずつ、あるいは夫が600万円、妻が400万円を稼げば、世帯年収は1000万円に達します。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
1人で年収1000万円を稼ごうとすると、大卒で大企業に勤めている「高収入男性」で 50 代前半にようやく到達するかどうか(第2章の図表2-7参照)というところですが、世帯での年収1000万円は、共働きを続ければ 30 代のうちに手が届きそうなところにあります。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
つまり現代では、「一人の高年収」より、「二人で安定収入」の方が現実的で強い。
さらに年金面でも有利になります。
夫のみが月収 40 万円を得る世帯と、夫婦ともに月収 20 万円(合計で月収 40 万円)を得る世帯では、支払う保険料も受け取る年金額も原則同じになるのです(
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
ただし、共働きには“家事分担”が必須
6歳未満の子がいて夫婦とも正社員として働いている世帯の生活時間を示すものです。妻が週 41・9時間の家事・育児をしているのに対し、夫の家事・育児は週 11・6時間にとどまります。夫の仕事の時間が週 52・4時間と長いことが原因ともいえますが、仕事と家事・育児の合計時間でみると、夫の 63・9時間に対し、妻は 69・3時間と、妻の方が週5・4時間長くなっています。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
小さな子どもを抱えながらも妻が正社員として働き続けるわけですから、妻ばかりが家事や育児を担ったまま働き続けるのには無理があります。プランDでは、夫も家事や育児を分担することとして、残業代の減少などにより他のプランよりも夫の生涯賃金が1000万円減少(年収ベースで約 30 万円減少)することを想定しました。それでも妻がこれから稼ぐ1億1000万円と比べれば大きなものではありません。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
これはかなり現実的な話でした。
「夫が少し働き方を緩めても、世帯全体ではプラスになる」
この視点は、これからの時代かなり重要だと思います。
個人年金保険は思ったより増えない
保険料を月払いして、固定された年金額を受け取るタイプの円建ての個人年金保険では、払込金額に対して受け取る年金額が5%程度増えればよいほうです。年利5%ではなく、 30 ~ 40 年間の累計で5%ですので、1年あたりに直すと0・1~0・2%程度しか増えません。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
ここはかなり驚きました。
「年金保険=安心」というイメージがありますが、超低金利時代では資産形成効率はかなり低い。
その代わりに、本書ではiDeCoやつみたてNISAの活用が推奨されています。
iDeCoとつみたてNISAの強さ
確定拠出年金は、老後のために自分で積み立てる年金で、一度積み立てたお金は、原則 60 歳以上になるまで引き出すことができません。その代わり、運用中の利益に対して非課税となるだけでなく、積み立てを行った時点で所得税や住民税の負担を軽減してもらえるという強力な税制メリットを受けることができます。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
日本には約5000本の投資信託がありますが、そのなかで、特に、長期分散投資に向いているものとして金融庁の定めた条件をクリアしたものだけが、つみたてNISAの対象
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
つみたてNISAの対象となるための条件は、①中長期の投資に向く商品であること、②手数料が明確かつ低水準であること、③投資対象が十分に分散されていること──の主に3つです。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
税制メリットが非常に強いため、「まずNISA・iDeCoを埋める」が資産形成の基本になっていることを再確認しました。
60歳以降も働く時代
60 歳を超えても何らかの形で働き続けている人は少なくありません。 60 ~ 64 歳の就業率は男性で 82・3%、女性で 58・6%です(総務省「労働力調査」2019年)。
引用:『35歳から創る自分の年金』是枝俊悟著
老後は「完全リタイア」ではなく、
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少し働く
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年金を受け取る
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投資収益を補助にする
この“組み合わせ”が現実的なのかもしれません。
まとめ
35歳から創る自分の年金は、「年金は終わりだ」という極端な不安論ではなく、
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年金制度の現実
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共働きの強さ
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iDeCo・NISAの重要性
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老後も含めた働き方
をかなり具体的に解説している本でした。
特に印象に残ったのは、「老後対策は投資だけではなく、働き方・夫婦関係・家計設計まで含めた総合戦略」という視点。
老後不安を煽る本ではなく、「今から何を積み上げればいいか」を冷静に考えられる一冊でした。
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