現代社会では、効率やコスパ、他人からの評価といった「正解のレール」が至る所に敷かれています。しかし、そうした外側の基準に従うほど、私たちは自分自身の内側から湧き上がる切実な感覚を見失いがちです。谷川嘉浩氏の著作をヒントに、予定調和な人生を壊し、新たな可能性へと向かうための「衝動」の捉え方について考えていきましょう。
1. 「本当にやりたいこと」という呪縛を解く
私たちはつい、一生をかけて成し遂げるべき「本当にやりたいこと」を見つけなければならないと考えがちです。しかし、その重たい言葉が自分を縛り、変化を妨げる要因になることがあります。
むしろ、私たちに必要なのは、これが「本当に」やりたいことだと、重たい言葉でくるんで固定するのをやめることです。つまり、自分のやりたいことが知識や経験の増大につれて変化するのを許容しつつ自分の将来を模索するには、「本当にやりたいこと」などという言葉遣いを避けた方がよさそうです。
引用:『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』谷川嘉浩著
知識が増えれば、興味の対象が変わるのは自然なことです。固定された正解を求めるのではなく、常に揺れ動き、変化していく自分を許容することが、衝動を見つける第一歩となります。
2. 損得勘定を超えた「深い欲望」に耳を澄ませる
衝動とは、決して世間的なメリットや合理性の延長線上にあるものではありません。それは、レールがあるかないかさえ気にせずに突き進んでしまうような、野生的なエネルギーです。
メリットやデメリット、コスパ、人からどう思われるかなどといったこととは関係がないところに向かう原動力としての「衝動」です。世間的な賢明さや理屈とは違うという意味で、「衝動」とは、人生のレールを外れる欲望のことであると言えるかもしれません。人生のレールを外れるといっても、逆張りをしてレールを意図的に外れるわけではありません。衝動とは、そこにレールがあるかどうかを気にせず走っていく力のことだからです。
引用:『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』谷川嘉浩著
この「深い欲望」は、トレンドや他人の視線を気にする「他人指向型」の欲求とは対極にあります。自分自身の奥底から生まれる声は、時に自分自身ですら驚くような不連続な変化を人生にもたらします。
3. 解像度を上げ、地道な試行錯誤を繰り返す
自分の衝動を捉えるためには、漠然とした言葉で片付けない「言語化の細かさ」が求められます。単に「好き」というレベルで終わらせず、なぜ、どのように、どの部分に惹かれるのかを執拗に問い続ける必要があります。
結局のところ私たちは、時間をかけて色々やってみながら、「これかも」「いや、こっちかな」という地道な試行錯誤を通して、自分の衝動がどんなものなのかを調べ、観察してみなければならないのです。
引用:『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』谷川嘉浩著
自分自身の価値判断に対して「セルフインタビュー」を繰り返し、飽きるほど問いを投げかける。その地道な観察の果てに、ようやく自分を突き動かす衝動の断片が姿を現します。
結論
衝動を見つける道は、決してスマートで効率的なものではありません。それは、既存のレールを疑い、自分自身の些細なこだわりを徹底的に深掘りしていく泥臭い作業の連続です。しかし、その先に待っているのは、誰かの用意した正解ではなく、自分自身の驚きに満ちた新しい人生の景色なのです。
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