ビジネスにおいて、文章は単なる情報の羅列ではありません。読み手に内容を理解させ、次のアクションへと繋げるためのツールです。しかし、一生懸命書いたはずの報告書やメールが「結局、何が言いたいの?」と言われてしまうことは少なくありません。
今回は、倉島保美氏の著書『改訂新版 書く技術・伝える技術』から、読み手の思考メカニズムを理解し、最短で意図を伝えるための文章術をご紹介します。
1. 管理職が求める「判断材料」を提示する
組織において、文章を受け取る側(特に管理職)は常に「判断」を迫られています。彼らが文章を読む目的は、細部を把握することではなく、次に誰を動かすべきかを決めることにあります。
管理職にとって必要な情報とは、誰にどのようなアクションを取らせればよいかを判断するのに必要な情報です。 つまり、管理職には概略情報が必要です。例えば、管理職がある報告書を見たとき、その報告書から読み取ろうとするのは、「何についてのどんな情報が書かれているか」「その情報は自己の管理する組織にとって重要か」「重要なら誰にどんなアクションを取らせるべきか」ということです。
引用:『改訂新版 書く技術・伝える技術』倉島保美著
文章の冒頭で「何についての話か」「組織にとっての重要度」を明示することで、読み手はスムーズに意思決定のフェーズへ入ることができます。
2. 読み手の「メンタルモデル」を壊さない
わかりやすい文章とは、読み手が頭の中で組み立てるイメージ(メンタルモデル)を邪魔しない文章のことです。
メンタルモデルとは、人が頭の中に作る自分なりの理解の世界です。理解しやすい文章を書くには、読み手にこのメンタルモデルをできるだけ具体的に作らせ、そのモデルを壊さぬように文章を展開しなければなりません。
引用:『改訂新版 書く技術・伝える技術』倉島保美著
読み手が「わかりにくい」と感じるのは、書き手が読み手のメンタルモデルを無視しているからなのです。つまり、わかりにくい文章となってしまう原因のひとつは、文章が上手・下手という問題ではなく、文章の並べ方や情報の出し方に関係しているのです。
引用:『改訂新版 書く技術・伝える技術』倉島保美著
書き手の「伝えたい順」ではなく、読み手が「理解しやすい順」に情報を提示すること。この情報の出し方の工夫こそが、文章の良し悪しを決定づけます。
3. 要約だけで意味が通るかチェックする
自分の書いた文章が論理的に構成されているかを確認するには、非常にシンプルな方法があります。
文章が正しく書けているかどうかを判断する簡単な方法があります。それは、各論のパラグラフの先頭文だけで、意味が通るかをチェックすることです。
引用:『改訂新版 書く技術・伝える技術』倉島保美著
各段落の1行目(トピックセンテンス)だけを繋げて読んでみてください。それだけで内容の骨子が伝わるのであれば、その文章は極めて高い論理性を備えていると言えます。
まとめ
伝わる文章を書くために必要なのは、文才ではなく「構成の技術」です。読み手が求める情報を優先し、頭の中のイメージを壊さない順番で言葉を置く。そして、段落の先頭文に魂を込める。これらのポイントを意識するだけで、あなたの文章は劇的に「動ける情報」へと変わるはずです。
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