私たちは日々、膨大な情報に囲まれています。しかし、その情報を眺めているだけで「考えた気」になってはいないでしょうか。ネットで検索し、正解らしきものを探す行為は、実は「思考」ではなく単なる「知識の検索」に過ぎません。
社会派ブロガー・ちきりん氏の著書『自分のアタマで考えよう』は、そんな私たちの盲点を鋭く突き、情報にだまされずに自らの結論を導き出すための具体的な技術を提示してくれます。
今回は、本書から「真の思考」を身につけるためのポイントを整理しました。
知識と思考を分離する|「知っていること」の罠
多くの人は、知識が豊富であればあるほど賢く、深く考えられると思い込んでいます。しかし、本書では「知識」がむしろ「思考」の邪魔をすることがあると警鐘を鳴らしています。
知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、思考とは、「未来に通用する論理の到達点」です。
引用:『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん、良知高行著
自分の頭で考えること、それは「知識と思考をはっきりと区別する」ことからはじまります。「自分で考えなさい!」と言われたら、頭の中から知識を取り出してくるのではなく、むしろ知識をいったん「思考の舞台の外」に分離することが重要なのです。
引用:『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん、良知高行著
過去の成功体験や既成概念という「知識」を一旦脇に置かなければ、目の前の新しい情報から未来を予測することはできません。専門家ほど新しいアイデアに否定的になるのは、知識が思考を縛っている証拠かもしれません。
思考のプロセスを設計する|情報の海で溺れないために
とりあえず情報を集め始める。これは多くの人が陥る「非効率な作業」です。ちきりん氏は、まず「どう決めるか」というプロセスを先に決めるべきだと説きます。
意思決定プロセスは情報収集をはじめる前に考えるべきことです。なぜなら、意思決定プロセスが明確になれば、それに合わせて必要な情報だけを集めればよいので、情報収集に必要な時間が大幅に短縮できるからです。
引用:『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん、良知高行著
何をもって判断するのかという「フィルター」が決まっていれば、不要な情報を集める時間はゼロになります。これは仕事だけでなく、買い物や結婚相手の選択といった日常のあらゆる場面で応用できる技術です。
「なぜ?」「だからなんなの?」|データの一歩先を読む
情報に触れたとき、私たちはつい「ふーん、そうなんだ」と納得して終わりがちです。しかし、思考とはそこから一歩踏み込むことを指します。
情報を見たときにまず考えるべきことは、「なぜ?」と「だからなんなの?」のふたつです。
引用:『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん、良知高行著
次に起こることを予想し、それに対応するためになにをすべきかを考える、これが「だからなんなの?」によって問われる思考です。
引用:『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん、良知高行著
データの背景にある理由(なぜ?)を探り、その結果として次に何が起き、自分はどう動くべきか(だからなんなの?)を導き出す。このセットこそが、単なる「物知り」ではない「考える人」の習慣です。
独自のフィルターを持つ|自分だけの価値基準
世の中には「社会の役に立つ」「成長できる」といった、一見正論に見えて実は何も選別できない「透明なフィルター」があふれています。自分の頭で考える価値は、自分独自の基準を見つけることにあります。
自分独自の選択基準を見つけること、それがなにであるかを考えること、それこそが「自分の頭で考える価値のあること」なのです。
引用:『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん、良知高行著
他人の基準や世間の常識で判断するのをやめ、自分なりの「思考の棚」に知識を整理し、自分だけの結論を出す。その積み重ねが、変化の激しい時代を生き抜くための武器になるはずです。
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