BtoBビジネスを成功に導く「THE MODEL」のエッセンス

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マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセス。

これら4つの部門が連携し、顧客との関係を構築・深化させる「THE MODEL」は、BtoBビジネスにおいて売上を最大化するための強力なフレームワークです。

今回は、福田康隆氏の著書『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』から、そのエッセンスをいくつかご紹介します。

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部門間の壁を乗り越える「共通の目標」

組織で仕事をしていると、部門間の対立に悩まされることは少なくありません。しかし、本書ではその本質と解決策が示唆されています。

人間はグループに分けられたとたんに敵対しやすい生き物であるということ。そして、対立する2つのグループの関係を良好なものにするためには、単に接触回数を増やしたり、コミュニケーションの内容を改善するだけではなく、共同で作業をすることによって達成可能な共通の目標が有効だということである。

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

部門間の摩擦を解消し、真の連携を生み出すためには、それぞれの部門が「部分最適」に陥らず、組織全体としての「共通の目標」を追い求めることが不可欠です。

THE MODELでは、マーケティングからカスタマーサクセスまでが一貫した顧客体験を提供し、共通のKPIを追うことで、この部門間の壁を乗り越えることを目指します。

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潜在顧客を掘り起こす視点

BtoBビジネスにおけるリード獲得について、本書では興味深いデータが紹介されています。

そもそも B 2 Bの検討型・高額商材では、リード獲得段階で具体的に検討しているのは全体の 10%程度。 25%はパートナー、学生、競合など将来的にも購買に至らない層、そして残りの 65%は、「将来購買の可能性はあるが、今すぐではない」という人たちだ。裏を返すと、 65%のリードは時間がかかっても戻ってくる可能性があるということだ。

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

この示唆は非常に重要です。今すぐ購買には至らないものの、将来的に顧客になる可能性のある65%のリードに対して、いかに継続的にアプローチし、育成していくかが、長期的な売上成長の鍵を握ります。

インサイドセールスやマーケティングオートメーションを活用し、適切なタイミングで適切な情報を提供していくことが求められます。

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売上成長の限界と解決策

営業の受注率についても、現実的な視点が示されています。

ソリューション提案型の商材では、一般に 3割程度の受注率があれば優秀と言われる。 SF Aは 2割の受注率で停滞している組織を 3割に引き上げることはできても、 6割、 7割の受注率に引き上げることはできない。改善はどこかで必ず頭打ちのタイミングがくる。そこから売上を増やそうと思えば、営業の人数を増やすか、商談単価を上げるしかない。

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

これは、SFA(Sales Force Automation)を導入しても、受注率の向上には限界があることを示唆しています。SFAはあくまでツールであり、売上を劇的に伸ばすためには、営業の人数を増やすか、より高額な商材を扱えるようにする(商談単価を上げる)か、あるいは、より効率的なプロセスを構築し、ボトルネックを解消することが必要になります。

THE MODELは、まさにこの「効率的なプロセス構築」によって、売上成長の壁を突破しようとするアプローチと言えるでしょう。

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組織を動かすリーダーシップと数字の重要性

最後に、リーダーシップと数字への意識の重要性について触れられています。

やって見せ  説いて聞かせて  やらせてみ  讃めてやらねば  人は動かぬ。山本五十六

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

この山本五十六の言葉は、人材育成の真髄を突いています。そして、単に個人の能力向上だけでなく、組織全体として成果を出すためには、具体的な数字に基づいた判断が不可欠です。

年度の最後で一発大きな商談を受注すればすべてが帳消しになるかもしれない。しかし、サイコロの目が出る回数の話と同じで、年間を通してみれば、今の自分の実力に沿った平均値に落ち着く。それが一個人でなく、チーム、部門と組織全体であればなおさらだ。

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

「優秀な経営者は、皆驚くほど数字の詳細を把握している」という話題で盛り上がった。その方は盛和塾出身だったが、かの稲盛和夫氏は膨大なページ数の経営資料をぱらぱらとめくりながら、瞬間的に矛盾や気になる点を見つけ出すそうだ。これを「数字が泣いている」と表現し、自分で探すのではなく、数字のほうが自分に呼びかけてくるのだと表現している。 

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

短期的な成果に一喜一憂するのではなく、常に平均値としての実力を冷静に分析し、数字から組織の課題やチャンスを読み取る力が求められます。

そして、リーダー自身が数字に精通し、「数字が泣いている」という感覚で課題を発見する姿勢が、組織をあるべき方向に導く上で不可欠です。

「人に任せるより自分でやったほうが早い」と考える人は、自分 1人のキャパシティ以上に成長できない。それどころか周りの人たちをスポイルしてしまい、結局チーム全体としての能力を減じることになる。

引用:『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆著

これは、リーダーが「任せる」ことの重要性を示しています。個人の限界を超え、チームとしての能力を最大化するためには、適切な権限委譲と、メンバーの成長を促す環境づくりが欠かせません。

『THE MODEL』は、単なる営業ノウハウ本ではなく、組織全体を俯瞰し、各部門が連携して顧客と向き合うための指針を示してくれる一冊です。

今回ご紹介した内容はほんの一部ですが、もしご興味があれば、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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