仕事や日々のタスクに追われていると、どうしても効率や生産性ばかりを追い求めてしまいがちです。しかし、本当の意味で豊かな人生を送るためには、一見すると「無駄」に思える時間や心のゆとりが欠かせません。
今回は、プロダクトデザイナーである秋田道夫さんの言葉を交えながら、自分自身の日常を心地よく整え、他者としなやかに関係を築いていくための「センス」の磨き方について考えていきます。
1. センスとは「自分を心地よく整える作法」
多くの人は「センス」と聞くと、生まれ持った特別な才能や、洗練されたお洒落な感性のことだと思いがちです。しかし、ここでのセンスはもっと身近で、誰もが日常の中で育んでいけるものとして定義されています。
わたしの思う「センス」とは、自分を心地よく整える作法や工夫です。センスについて考えると、日常の何気ないことにも、機微と気づかいが生まれます。 センスとは「余計なことをしないこと」とも言い換えられます。 そして、何が余計かを知るためには、「余計と知りつつ後学のために余計なことをあえてしてみる」というのもまた必要です。 あれこれと「遊び」を実践し、無駄をたのしむ中で、センスというものが積みあがってくるのでしょ
引用:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』 秋田道夫著
無駄や余計なことを完全に排除するのではなく、あえてそれを体験してみる。その「遊び」のプロセスの積み重ねこそが、自分にとっての最適な基準を作っていくのです。
2. 失敗を許容する「積極的な消費」のススメ
効率性を重視しすぎると、買い物やお金の使い方においても「絶対に失敗したくない」という心理が働き、無難な選択ばかりになってしまいます。感性を刺激するためには、あえて失敗してもいい枠を設けることが有効です。
毎月決まった額、たとえば 10 万円を「無駄遣いをしていいお金」として気持ちの予算に組み込んでいます。それは5万円でも1万円でもかまいません。 ここでいう無駄遣いとは、好きなもの、趣味に自由に使って「失敗」も許容する〝積極的な消費〟という意味です。
引用:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』 秋田道夫著
金額の多寡にかかわらず、「この予算の範囲内なら失敗してもいい」と思える心の余裕を持つことで、私たちは自分の好奇心に対して素直に行動できるようになります。
3. 風通しのいい関係性を築く大人の振る舞い
心地よい日々を送るためには、身の回りのモノだけでなく、人との関わり方におけるセンスも重要になってきます。年齢を重ねるごとに、周囲との距離感や接し方には工夫が必要です。
魅力的な大人であるための心がけ
周囲に安心感を与え、良好な人間関係を築いている人は、共通して以下のような姿勢を持っています。
若い人に対しては、昔の自慢話をするのではなく、たっぷりとサービスをする。 相手の話をまず聞いて、その相手の評判を上げる努力をする。 ミーハーにアンテナを張って、話題の好き嫌いをしない。 年齢や立場で判断せず、だれに対しても丁寧ににこにこと接する。
引用:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』 秋田道夫著
過剰にならない人付き合いの理想
また、特定の誰かに深く依存したり、過度な見返りを求めたりしないことも、関係を長続きさせる秘訣です。
心地いい人づきあいを長く続けるために大事なのは「過剰になりすぎない」ということです。 相手に期待をしすぎない。依存しすぎない。 さらっと風通しのいい関係が理想です。
引用:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』 秋田道夫著
相手を尊重しながらも、適切な距離感を保つ「風通しのよさ」が、お互いにとって負担のない心地よい空間を生み出します。
4. 「ちょうどいい」への貪欲さが世界を広げる
日常の小さな不満や不便に対して、「これくらいでいいか」と妥協してしまうことは少なくありません。しかし、自分のこだわりや「ちょうどよさ」を追求することを諦めない姿勢が、行動範囲を広げる原動力になります。
「なんでもいい」と少しの不便を妥協していると、自然と生活範囲は狭まるでしょう。「ちょうどいい」に対して貪欲な自分を解き放てば、自転車やバス、電車を乗り継いでどこまでも冒険できます。
引用:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』 秋田道夫著
妥協せず、自分の心地よさに対して素直に動いてみることで、思いがけない新しい景色に出会えるはずです。
5. 他人の評価から自由になり、今に集中する
現代社会では、SNSのイイネや周囲からの短期的な評判に心が揺さぶられがちです。しかし、自分という人間の本当の価値が定まるのは、ずっと先の未来のことかもしれません。
一人の人間がどれほどの価値を世の中に残したかどうかは、数年の単位で測れるわけもなく、おそらく100年は必要なのだろうとわたしは思います。 自分がどれほどの人間かの評価に100年かかると考えたら、同時代を生きるだれかの評価に振り回されることもなくなるでしょう。 目の前の「今」をたのしむことだけに、集中すればいいのです。気楽にいきましょう。
引用:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』 秋田道夫著
他者からの目線や一時的な評価を過剰に気にすることを手放せば、心がすっと軽くなります。私たちがコントロールできるのは、常に「今、ここ」の選択だけです。
結論
日々の生活に「センス」を取り入れるということは、決して背伸びをして格好つけることではありません。無駄を楽しみ、失敗を許容し、他者と過剰にベタベタせず、自分の心地よさを大切にすること。そんな風に肩の力を抜いて、気楽に「今」の日常を味わい尽くしていきたいものです。
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