接客の「一流」とは?心を掴むおもてなしの極意

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「接客」と一言で言っても、そのレベルはさまざまです。お客様の心を本当に動かす「一流の接客」とは一体どのようなものでしょうか。今回は、七條千恵美氏の著書『接客の一流、二流、三流』から、そのヒントを探ります。


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お客様を「家族」のように思う心

お客様と接する際、私たちはどのような心構えでいるべきでしょうか。七條氏は、「家族と同じ」という視点を持つことの重要性を説いています。

踏み込みすぎない「家族」の距離感

【向き合う心は「家族と同じ」です。

踏み込んでもいい距離感を間違えてはいけませんが、「もし、目の前にいるお客さまが家族だったならば、どのような対応をするだろうか?」と考えること。

そのように考えれば、こなすことや媚びること、過剰なサービスが不自然に思えてきませんか?】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

これは、単に形式的なサービスを提供するのではなく、お客様一人ひとりに合わせた、心からの対応をすることの大切さを教えてくれます。家族を想うように、お客様の立場に立って考えることで、自然と質の高い接客が生まれるのです。


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接客の原動力は「一期一会」

なぜ、私たちは接客という仕事に情熱を注ぐのでしょうか。七條氏自身の経験から、その問いへの答えが見えてきます。

偶然の出会いを大切にする想い

【私ごとになりますが、私には子どもが 2人います。母親業に専念すべきではないかという心の痛みにぶつかったとき、「なぜ、私はこの仕事を続けたいのだろうか?」と自分と向き合ってみたのです。

そのときに私が考え抜いてでた答えは、「一期一会」でした。

「そのとき、その場所に、偶然一緒になった誰かの日常」に、小さな貢献をし続けたい。私を突き動かしていたのはそんな想いでした。そして、その想いを共にする仲間と一緒に働けることも大きなやりがいでした。】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

「一期一会」という言葉が示すように、お客様との出会いは一度きりの大切なものです。その瞬間に、お客様の日常に少しでも良い影響を与えたいという想いが、接客の大きな原動力となることを示唆しています。


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些細な言動に宿る「心遣い」

一流の接客は、細部にまでその心遣いが表れます。例えば、物の受け渡し一つとっても、そこにはお客様への敬意が込められています。

言葉で伝える「両手の気持ち」

【ものを渡すときは両手が基本ですが、やむを得ず片手になってしまう状況もあるでしょう。そのときは、「片手で失礼いたします」の一言を添えるようにしましょう。

すると、「気持ちとしては両手です」という想いが伝わります。

片手そのものが失礼なのではなく、込められた想いが大切なのです。】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

形だけでなく、「なぜそうするのか」という想いを伝えることで、お客様に真摯な気持ちが伝わるのです。

お客様の前での言葉遣い

また、お客様の前での言葉遣いにも一流とそうでないものの違いがあります。

【お客さまからの依頼を受けた後輩が先輩スタッフの手を煩わせてしまうときに使われていることが多いようです。

先輩スタッフに対して「すみません。 ○ ○お願いします」というものや、「すみません。 ○ ○はできますか?」と確認するときについ使っていると思います。  誰かの助けを借りるとき、また手を煩わせてしまうとの思いからでた「すみません」という言葉は配慮ある言葉ですので、その言葉自体は問題ではありません。

しかし、それを耳にしたお客さまには「自分のせいで謝らせてしまったのかな?」「何か難しい要求をしてしまったのかな?」という思いを抱かせてしまうことがあります。

一流は、お客さまの前では先輩も後輩もありません。「 ○ ○お願いします」とシンプルな頼み方で十分です。

助けてもらった先輩には、仕事が終わったあと、または、お客さまの視界から外れたところで「さきほどはありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えることもできます。】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

お客様の前では、スタッフ間のやり取りもシンプルに。そして、感謝の気持ちは然るべきタイミングで伝える。これこそが、お客様に余計な気を遣わせない「一流」の気配りです。


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「お待たせしない」という意識

お客様を待たせない、という意識も一流の接客には欠かせません。

待たせることが前提ではない言葉遣い

【少し話は逸れますが、「少々お待ちください」が口癖のようになっているスタッフを時折みかけます。本当に「少々お待ちいただく場合」には、そういわざるを得ませんが、数秒で対応できるようなときでさえ、「少々お待ちください」というのは「待っていただくことが前提の接客」という印象を与えます。

一流は「すぐにおもちいたします」「ただいまお伺いいたします」という言葉を使います。基本的には「お待たせしない」という姿勢で臨むことが大切だと思います。】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

「少々お待ちください」ではなく、「すぐに対応します」という言葉を選ぶことで、お客様はスムーズな対応を期待できます。お客様の時間を大切にする姿勢が伝わる言葉選びが重要です。


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お客様の「大丈夫」を鵜呑みにしない

お客様が「大丈夫」と言った時、本当に大丈夫なのでしょうか。一流の接客は、その言葉の奥にあるお客様の真意を汲み取ろうとします。

言葉の奥にある感情を察する

【本音の「大丈夫」の場合には、時々そのあとの様子を窺うだけでいいのかもしれません。しかし、口では「大丈夫」といいながらも、実はまだ小さなご不満や、心細さを抱えていらっしゃることもあるのです。

一流は、お客さまの「大丈夫です」を鵜呑みにしません。そのときのお客さまの声のトーン、表情、そして、お客さまの目をみることで、それが本音であるのか否かを察することに意識を向けていきます。

そして、お客さまが抱えている感情に気づいたら、その気持ちを躊躇なく吐露していただける環境を整えます。

「かしこまりました」と返事をすること自体は間違いではありません。

しかし、そこで終わりにすることなく、「今は大丈夫であったとしても、いつでも何かあれば声をかけてくださいね」という趣旨のご案内や、「 ○ ○をなさるときには、いつでも遠慮なくお申しつけくださいね」というような具体的な提案があれば、お客さまも安心して任せてくださるものです。】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

お客様の言葉だけでなく、表情や声のトーンから真意を察し、必要であれば具体的な提案をすることで、お客様はより安心してサービスを利用できるでしょう。お客様に寄り添う姿勢が、信頼関係を築きます。


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心を動かす「取り組む姿勢」

最終的に、お客様の心を動かすのは、私たちの接客への「姿勢」です。

感謝と敬意、そして情熱

【「お客さまの心を動かすのは、とり組む姿勢である」

ということです。

目の前にいる人に自分は何ができるだろうと考えること。お客さまへの感謝と敬意。仕事への情熱。また、お客さまの行動には必ず「理由」があるという視点をもち、「なぜ?どうして?」と関心や興味をもって接客をしているのかどうか。このような日々の積み重ねがあってはじめて「一流の接客」ができるようになる。私はそのように思っています。  「自分のこれまでの接客はどうだっただろうか?」

「これからお客さまとどのように向き合っていこうか?」】

引用:『接客の一流、二流、三流』七條 千恵美著

お客様への感謝と敬意、仕事への情熱、そしてお客様の行動の背景にある「なぜ?」を考える好奇心。これらが日々の接客に積み重なることで、「一流の接客」は磨かれていきます。


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まとめ

『接客の一流、二流、三流』で示されている「一流の接客」とは、単なるマニュアル通りの行動ではなく、お客様への深い洞察と、真摯な心遣い、そして仕事への情熱から生まれるものです。この記事を読んで、ご自身の接客について見つめ直し、「一流」を目指すきっかけにしていただければ幸いです。

あなたは、今日からどのような「一流の接客」を実践してみたいですか?

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