『一筋の光がシャンデリア』書評|外から見えない円錐角膜の苦しさを知る

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『一筋の光がシャンデリア』を読んで強く感じたのは、外見からは分からない苦しさを想像することの大切さです。本作では、目の特定疾病「円錐角膜」を患う次郎の物語を通して、その症状だけでなく、日常生活にどのような影響が生じるのかが描かれています。

病気について名前や症状を知るだけでは、実際にその人が何に困っているのかまでは分からないことがあります。見た目では気づかれにくいからこそ、周囲から誤解されることもある。そんな「見えない苦しさ」について考えるきっかけをくれる一冊でした。

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『一筋の光がシャンデリア』が伝える日常生活への影響

特に印象に残ったのは、次郎がアルバイトをしていない理由について描かれた場面です。

咲子が怒る原因は他にもあった。 次郎はバイトをしていないことが多かった。それはハードコンタクトレンズ(HCL)により目が痛み出し、バイトを休んで皆に迷惑をかけたくない思いがあったのも事実だ。

引用:『一筋の光がシャンデリア~円錐角膜への理解を~: 目の特定疾病「円錐角膜」を患う次郎の物語』平野洋二著

「働いていない」という事実だけを見れば、その背景を知らない人には別の理由があるように映ってしまうかもしれません。しかし、そこには目の痛みと、突然休むことで周囲に迷惑をかけたくないという思いがありました。

本人にしか分からない事情がある。それを知らずに、目に見える行動だけで相手を判断してはいけないのだと考えさせられます。

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『一筋の光がシャンデリア』で知る円錐角膜

本書では物語だけでなく、円錐角膜についての説明も登場します。知らなかった私にとって、とても印象に残った一節です。

円錐角膜とは ・原因……不明。特定疾病 ・症状……黒目が前に突出している ・発症時期……主に10代から20代(例外もあり) ・発症割合……1000~2000人に1人 ・矯正……眼鏡やソフトコンタクトレンズでは矯正できない。ハードコンタクトレンズのみ 黒目が突出しているため、レンズが落ちやすいし、傷が付きやすい。激痛により何もできない日が多く、傷を恐れ精神的に負担となる ・見え方……イメージとしてはひどい乱視。モノが何重にも見える ・外見……健常者と変わらないので、誤解も生じる ・その他……進行が速いと角膜水腫を発症することもある

引用:『一筋の光がシャンデリア~円錐角膜への理解を~: 目の特定疾病「円錐角膜」を患う次郎の物語』平野洋二著

なかでも考えさせられたのが、「外見……健常者と変わらないので、誤解も生じる」という部分です。

外から見ただけでは分からない。しかし本人にとっては、見え方や痛みが日常生活に影響している。このギャップを知ることは、円錐角膜への理解を深めるうえで大切なのだと感じました。

病気を知るというのは、症状の名前を覚えるだけではありません。その症状を抱える人がどんな場面で困り、どんな不安を感じる可能性があるのかを想像することでもあるのだと思います。

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病気を知ることが理解への入り口になる

本書には、目について気をつけることも具体的に記されています。

予防 →円錐角膜は原因不明なので参考に ・目の定期検診 →検査機械の多い病院へ。適切な目薬を使い、使用管理をしっかりと。 ・外傷 →目をこすらない。特に寝る前に擦ってそのまま寝ない。擦らず目薬で対処。 ・目の運動 →目の筋肉が弱くなり、動きを固めないよう、目を大きく開けたり、眼球を上下左右・回転を、痛くならない程度に毎日行う。一点を集中的に見ない。 ・横目をしない →曖昧に周りを見ず、しっかりと目的物を見る。

引用:『一筋の光がシャンデリア~円錐角膜への理解を~: 目の特定疾病「円錐角膜」を患う次郎の物語』平野洋二著

原因不明と書かれている病気だからこそ、こうした記述を読むと、目について普段から意識を向けるきっかけになります。

同時に、本書の内容をきっかけに実際の症状や目の状態が気になった場合には、自己判断だけで済ませず、医療機関で相談することも大切でしょう。

『一筋の光がシャンデリア』は、円錐角膜という病気を知らない人にとって、その存在と患者が抱える負担を知る入り口になる本だと感じました。

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見えない苦しさを想像する

この本を読んで残ったのは、「見えないものを、ないものとして扱わない」ということでした。

外見だけでは、その人がどんな痛みや不便を抱えているかは分かりません。仕事をしていない、予定をキャンセルする、思うように行動できない。表面に現れた行動には、周囲からは見えない理由が隠れていることがあります。

円錐角膜について知りたい人はもちろんですが、外から分かりにくい病気や困難を抱える人への理解について考えてみたい人にも、手に取ってほしい一冊です。

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まとめ

『一筋の光がシャンデリア』は、円錐角膜を患う次郎の物語を通して、病気が日常生活や周囲との関係に与える影響について考えさせてくれる作品でした。

病名を知らなければ、相手の行動だけを見て誤解してしまうこともあります。けれど、その背景を少し知るだけで見え方は変わります。

円錐角膜とはどのようなものなのか。そして、外から見えない苦しさを抱えて生きるとはどういうことなのか。そんな問いに触れてみたい方におすすめしたい一冊です。

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