「具体⇔抽象」思考であなたの世界を広げる!

Book

私たちは日々、具体的な情報に囲まれて生きています。しかし、時にその具体性が、本当に大切なことを見えなくしてしまうことがあります。細谷 功氏の著書『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』は、この「具体」と「抽象」という二つの視点を行き来することで、私たちの思考力を飛躍的に向上させるヒントを与えてくれます。

スポンサーリンク

思考停止に陥る「具体病」とは?

具体的な指示をそのまま実行することは、一見効率的に見えます。しかし、そこには落とし穴があります。

簡単に言えば、具体病というのは思考停止した状態で、このような人の仕事は真っ先に機械に置き換えられていくことになるでしょう。指示が全て具体的になっていれば、それは機械でも実行可能だからです。AIやロボットが次々と人間のやっていることを代替していく時代、これから必要になってくるのは、具体的な事象を抽象化して応用を利かせることで「言われていない」ことまでを能動的に実施できる人材です。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

具体的なことしかできない「具体病」は、まさに思考停止の状態。AIやロボットが進化する現代において、私たちは「言われていない」ことまで能動的に実施できる人材になる必要があります。そのためには、具体的な事象を抽象化し、応用を利かせる能力が不可欠です。

スポンサーリンク

「抽象」がもたらす深い理解とコミュニケーションギャップ

一度抽象の世界が見えてしまうと、具体的な話は冗長に感じられることがあります。

一度抽象の世界が見えてしまった人からは、具体の話は冗長で「わかりにくい」のです。抽象の世界で言えば一言で済むものを、具体的に語ると「同じ話を何度も何度もしている」という印象を持たれることになります。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

しかし、抽象化が行き過ぎると、それはそれで問題が生じます。「口だけでアクションにつながっていない」状態、つまり「具体化」の側面が不足している「抽象病」に陥る可能性もあります。

抽象病というのは、「口だけでアクションにつながっていない」ことが問題で、これは本書では「具体化」の側面が不足していることを意味しています。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

スポンサーリンク

具体と抽象を行き来する思考の重要性

なぜ具体的なことはわかりやすいのか?

具体的な情報は、多くの人にとって理解しやすいという利点があります。

具体的にすればするほど理解できる人の数は増えていきます。したがって、多数派の人を相手にして「数を稼ぐ」必要がある政治や「マス」メディア(少数のニッチではなく多数派の大衆を相手にするもの)や、ページビューを稼ぐ必要のあるネット広告や記事などは、とにかく「具体的でわかりやすく」することが求められます。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

政治やメディア、ネット記事など、大衆に情報を届ける必要がある場面では、具体的な表現が非常に有効です。

抽象化とは「関係性を見つけること」

では、抽象化とは一体何なのでしょうか。

関係性というのは、例えば「因果関係」や「相関関係」といったもので、目に見えるものではありません。これを頭の中で構築し、応用していく行為が思考そのものということになります。抽象化というのは、何かと何かの間に関係性を見つけることである、と言ってもよいのです。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

抽象化とは、単に情報をまとめることではなく、物事の間に潜む関係性を見つけ出し、それを応用していく思考プロセスなのです。

優先順位付けと戦略・戦術の関係

抽象度の高い視点を持つ人は、物事の優先順位を明確にできます。

物事の優先順位を常に意識している人は、抽象度の高い視点で物事を見ている可能性が高く、逆に「全て大事」となかなか優先順位がつけられず、「何も捨てられない」と考える人は具体的な世界にどっぷりと浸っている可能性があります。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

さらに、戦略と戦術もこの具体と抽象の視点で捉えられます。

戦略とは「目的に従って思い切り優先順位をつけて捨てるものは徹底的に捨てる」という抽象度が高い行為であるのに対して、戦術とは「与えられた条件を全て使いながら具体化して実行に移す」

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

戦略は目的を達成するために捨てるべきものを決める抽象度の高い行為であり、戦術は与えられた条件の中で具体的に実行する行為です。

スポンサーリンク

思考を深めるためのヒント

多角的視点を持つことの重要性

私たちは無意識のうちに、物事を単純化して捉えがちです。

海外のことをあまり知らない人は、「日本は……」「それに対して海外は……」といった議論を展開してしまいますが、様々な国のことを経験した人から見れば、「海外は」という表現はあまりにまとめすぎの議論に映るでしょう。このように「現地をよく知る」人にとって失礼な話を、遠く離れた人は平気で抽象化して語ってしまっていることになります。「まったくヨーロッパの人たちは日本人も韓国人もベトナム人も一緒だと思ってるんだから単純で困る」……この言葉の強烈な自己矛盾、お気づきでしょうか?

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

このように、特定の地域や文化を「十把ひとからげ」に扱うのは、詳細を知らないがゆえの抽象化の例です。自分の認識がどれだけ抽象化されているか、常に意識することが大切です。

「言い切り」と「指摘」のギャップ

抽象レベルでメッセージを伝えたい人は「極論で言い切る」ことをしますが、具体的な視点を持つ人には反論されることがあります。

抽象レベルの「幹」のメッセージを出したい人は、「極論で言い切る」という手法をとります。ところが、それを見た具体派の人たちは、切り捨てられた枝葉が気になって仕方ありません。そこで「こんな葉っぱもこんな枝もある」と反論するわけですが、当の言い切った側の人は「そんなことはわかった上で切り捨てている」わけです。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

これは、具体と抽象の視点の違いから生まれるコミュニケーションギャップの典型例です。

スポンサーリンク

具体と抽象の視点を持つことの重要性

細谷 功氏が本書で最も伝えたいことは、「具体化や抽象化ができるかどうか」だけでなく、そもそも「具体と抽象という視点を持てるかどうか」にあります。

本書で論じてきたコミュニケーションギャップが生じる原因は、「具体化や抽象化ができるかどうか」ではなくて、そもそも「具体と抽象という視点を持てるかどうか」、そして「その中でいま行われていることがどこなのかをその軸上にマッピングできるかどうか」ということです。

引用:『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功著

「具体」と「抽象」という視点を行き来し、状況に応じてその度合いを調整できる能力こそが、これからの時代に求められる思考力と言えるでしょう。あなたもこの「具体⇔抽象」トレーニングで、思考力を飛躍的にアップさせてみませんか?

コメント