諦めは最高の武器|森博嗣が語る「諦めの価値」とは

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森博嗣氏の著書『諦めの価値』は、私たちが当たり前だと信じていた「諦めないこと」という価値観に、根本から問いを投げかけます。夢や目標を達成するためには、時には潔く諦めることも必要だと説く本書は、人生をより軽やかに、そして自分らしく生きるためのヒントで満ちています。


 

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成功は「諦め」で見えてくる

 

私たちは「成功」と聞くと、ひたすら努力を重ね、どんな困難にも負けずに立ち向かう姿を想像しがちです。しかし、森氏は全く異なる視点を提示します。

「成功するかどうかは、半分以上が、その人間の能力、つまり才能によっている。自分の才能を見極めることが非常に大事であり、自分をよく知っていれば、そうそう大きな失敗はしないだろう。つまり、早めに諦めることだ。ちなみに、私見を述べておくが、『成功』なんてものは、大したことではない。ここを間違えないでほしい。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

著者は、努力と同じくらい、あるいはそれ以上に「才能」や「運」の重要性を強調しています。そして、自分の才能を客観的に見極め、成功の確率が低いと判断した場合は、早めに諦めることが賢明だと説きます。ここでいう「成功」とは、世間的な評価ではなく、あくまで「あなた自身の満足」であることが重要です。


 

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感情に流されず、客観的に考える

 

私たちは、自分の感情に振り回されて、本来必要のないことに時間やエネルギーを浪費しがちです。たとえば、些細なことで怒ったり、不満を募らせたりすること。森氏は、そうした感情をコントロールする重要性を指摘します。

そうすることで普段からモヤモヤしないで気分良く過ごせます。

「さっと『諦める』ことができれば、それでお終いである。相手は、そもそも悪気がなかったかもしれない。あなたを貶めようとしていたわけではないだろう。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

「『諦める』のは、自分の感情をコントロールする行為であり、これが上手くできるようになれば、自分を思いどおりにできる。素晴らしい能力を手に入れたのと同じだ。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

著者は、自分の感情を客観視し、怒りや不満といった無駄な感情を「諦める」ことで、人生はよりスムーズに進むと言います。他人からの評価や期待を「諦め」、自分の満足だけを追求することが、結果的に最大限の成功につながるのです。

通常なら「気にしない」や「考えないようにする」が一般的と思いますが、そういった感情を「諦める」というのが斬新で非常にユニークな発想だと感じました。


 

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期待しない、だから裏切られない

 

私たちは、他者に対して無意識に「期待」を抱いてしまいます。家族、恋人、友人、あるいは社会や組織に対して、こうあってほしいという願望を押し付けてしまうのです。しかし、その期待が裏切られたと感じたとき、私たちは深く傷つきます。

「世間の人たちは、きっと『期待する』ことが『愛情』だと勘違いしているのだろう。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

「期待するから、その裏返しで、不満が高まり、『裏切られた』と打ちひしがれることになる。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

森氏は、そもそも「期待」をしなければ、裏切られることもなく、不満も生まれないと説きます。他者への期待を諦め、自分の人生の目的を明確にすることが、自分自身を破滅から救う道なのです。

いい意味で悲観的になることで他社に対して過度な期待をしなくなります。すると無駄にイライラしたり感情的になることが少なくなり、自分をコントロールできます。


 

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諦めない唯一のこと

 

これまでの話を聞くと、すべてを諦めて投げやりになってしまうように感じるかもしれません。しかし、森氏が唯一「諦めてはいけない」と強調するものが一つだけあります。

「この『自分で考えること』だけは、諦めてはいけない。それだけは、いえる。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

自分の感情や他人からの期待を諦めることで、あなたは本来の自分を取り戻し、本当に価値のあるものに集中できるようになります。無駄をそぎ落とし、自分にとって何が有益か、何が目的かを、常に自分で考え続けること。これこそが、人生を豊かにする「諦めの極意」なのです。

「日常でも、かちんとくる場面というのはあるだろう。(中略)そんな場合に、さっと「諦める」ことができれば、それでお終いである。」

引用:『諦めの価値』森 博嗣著

些細なことから大きな決断まで、日々の生活の中で「諦める」という選択を意識してみる。それによって、あなたの人生はより軽やかで、本質的なものへと変わっていくでしょう。

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