世界のエリートが「美意識」を鍛える、たった一つの功利的な理由

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現代のビジネスシーンにおいて、MBA(経営学修士)に象徴される「論理」や「理性」の限界が指摘されています。かつては正解を導き出すための武器だった「分析的スキル」が、なぜ今、トップエリートたちの間で「美意識」へと取って代わられようとしているのか。

山口周氏の著書から、不確実な時代を生き抜くための新しい知性の在り方を探ります。


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論理の限界と「直感」の有効性

今日のように複雑で不安定な世界では、データに基づいた「サイエンス重視の意思決定」だけではビジネスの舵取りができなくなっています。正解のない問いに対して、エリートたちは極めて功利的な目的のために「美意識」を研ぎ澄ませているのです。

論理や理性で考えてもシロクロのつかない問題については、むしろ「直感」を頼りにした方がいい、ということです。

引用:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口 周著

例えば、スティーブ・ジョブズがiMacのカラーバリエーションを即断した際、そこには緻密なシミュレーションはありませんでした。論理を超えた「直感的・感性的」な判断こそが、停滞した状況を打破する力になります。

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法律が追いつかない時代の「真・善・美」

テクノロジーの進化が早すぎる現代において、明文化された法律やルールは常に後手に回ります。ルールがない場所で「何が正しいか」を判断するには、自分の中に確固たる基準を持たなければなりません。

システムの変化に法律の整備が追いつかないという現在のような状況においては、明文化された法律だけを拠り所にせず、自分なりの「真・善・美」の感覚、つまり「美意識」に照らして判断する態度が必要になります。

引用:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口 周著

グーグルが「邪悪にならない」という社是を掲げ、AIの倫理委員会を設けたように、高い視座と美学を持つことは、リスク回避だけでなく組織の「格」を決定づける要素となります。

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「機能」から「世界観」へ|自己実現としての消費

市場が成熟した現代において、商品のスペックや機能だけで差別化することは困難です。消費者はもはや「便利な道具」ではなく、自分の生き方を表現するための「記号」を求めています。

現代社会における消費というのは、最終的に自己実現的消費に行き着かざるを得ないということであり、それはつまり全ての消費されるモノやサービスはファッション的側面で競争せざるを得ないということです。

引用:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口 周著

アップルがIT企業という枠を超え、一種のファッションブランドとして君臨しているのは、彼らが「ストーリー」と「世界観」を提供しているからです。これらを構築するためには、作り手側に高度な美意識が不可欠です。

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社会を彫刻するアーティストとしての自覚

私たちは誰もが、社会という作品を作り上げる「アーティスト」であるという考え方があります。ビジネスを単なる金稼ぎの手段ではなく、自分の作品として捉えるとき、仕事への向き合い方は根本から変わります。

ビジネスパーソンであれば自分が関わるプロジェクトを、アーティストとしての自分の作品だと考えてみる。あるいは経営者であれば自分の会社を、アーティストとしての自分の作品だと考えてみる。

引用:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口 周著

「正しい手」を指そうとするのではなく、「美しい手」を目指す。その姿勢こそが、結果として最短距離で正解に辿り着くための、エリートたちが実践する知的パフォーマンスの極意なのです。

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