「一人でいるのは寂しいことだ」「友達が多いほうが幸せだ」
そんな世間の常識に、どこか息苦しさを感じてはいませんか?
多くの人が「孤独」を避けるべきマイナスの状態だと捉える中で、作家・森博嗣氏は、孤独こそが人間に自由と創造性をもたらす「価値あるもの」だと説きます。群れの中で飼いならされるのではなく、自分自身の思考を持ち、孤独を飼いならす。
今回は、森博嗣著『孤独の価値』のハイライトから、現代社会をより自由に、知的に生き抜くためのヒントを探ります。
孤独の正体は「生存本能」と「思考停止」
私たちが孤独を恐れるのは、生物としての根源的な恐怖が関係しています。しかし、大人が感じる「寂しさ」の多くは、実は単なる思考の癖に過ぎません。
ほ乳類であれば、母親から乳をもらうわけだから、生きるために必要な本能に近いものだろう。もし母を見失えば、それは「寂しい」とか「悲しい」どころではなく、自分の死に直結する「恐怖」になるはずだ。
引用:『孤独の価値』森博嗣著
幼少期の生存戦略としての「寂しさ」を、大人になっても引きずってしまうと、周囲に人がいないだけで「自分は間違っているのではないか」という不安に襲われます。森氏は、こうした感情に振り回されることを「思考停止」と指摘します。
こういった場合に、「嫌なものは嫌なんだからしかたがない」と言う人が多い。これは、典型的な「思考停止」であって、その症状の方が、寂しさや孤独よりもずっと危険な状態だと思われる。
引用:『孤独の価値』森博嗣著
「絆」という名の支配から自由になる
社会や経済界は、消費を促すために「家族や仲間との絆」を美化し続けてきました。しかし、その絆が時として個人の自由を奪う「鎖」になっている側面は見逃せません。
孤独を怖れる人、孤独を嫌う人は、例外なく絆に縛られている人だろう。「世の中、そんな甘っちょろいものじゃない。頭を下げ、我慢をして、働かなければ食っていけない。そんなとき、仲間あっての自分、家族あっての自分だ。一人だけで生きているのではない」と主張するだろう。間違ってはいない。しかしそれは、絆につながれた家畜の物言いに、僕には聞こえる。
引用:『孤独の価値』森博嗣著
「結婚して子供を作ることが幸せのテンプレートである」という虚構が崩れつつある現代において、孤独を受け入れることは、他人の価値観から解放され、真の自由を手にするための第一歩なのです。
無駄なものに価値を見出す「知性」
孤独な時間は、単なる「空白」ではありません。それは、自分だけの思考を育み、創作的な活動へと向かうための貴重な資源です。
無駄なものに価値を見出すことが、その本質であり、そこにこそ人間だけが到達できる精神がある。孤独が教えてくれるものとは、この価値なのだ。
引用:『孤独の価値』森博嗣著
効率や生産性ばかりが求められる社会において、一見「無駄」に見える自分の内面との対話や、誰のためでもない創作に没頭すること。それこそが、人間に残された最後の聖域といえるでしょう。
孤独は楽しさへの転換点
森博嗣氏の言葉に従えば、孤独を感じたときは、自分だけの「思想」を構築する絶好のチャンスです。
「孤独」を感じたときには、それだけこれから「楽しさ」がある、というふうに解釈すれば良い。
引用:『孤独の価値』森博嗣著
誰かと繋がっていないと不安になる状態から脱却し、一人でいる時間を「自由」として楽しむ。そのマインドセットの変化が、あなたの人生をより有意義なものに変えてくれるはずです。
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