売れる販売員の技術は、単に商品を説明するだけではありません。お客様との間に信頼関係を築き、スムーズに購入へと導く「美しい流れ」を作ることが重要です。
売り上げを倍増させる「3つの基点」
著者の井上健哉氏によると、売れる販売員は「歓迎ムード」「初々しさ」「想像力」の3つを基点として、お客様が来店してから購入に至るまでの流れを作り出します。
1. 歓迎ムード:第一印象で心をつかむ
お店の入口でお客様を出迎えるスタッフは、実はとても重要な役割を担っています。経験の浅い新人ではなく、ベテランを配置すべきだと井上氏は述べています。
よく新人スタッフやアルバイトに出迎えの役割を当てることがありますが、本項で示したように、入口でお客様を出迎えるスタッフこそ、経験を積んだベテランを配置すべきです。入口でお客様の心をつかめたら、あとは少々失敗しても許してもらえるもの。まず歓迎ムードでお客様を引き込まなければ、何も始まりません。
引用:『売れる販売員の全技術』 井上健哉著
2. 初々しさ:お客様に感動を与える
東京ディズニーランドのダンサーがオーディションで問われる「あなたのダンスは『初演』になっているか?」という言葉は、販売員にも通じます。お客様を喜ばせたいという一心で接することで、感動が生まれます。
なぜならお客様は、ダンスの技術が 垢抜けているかどうかより、お客様に喜んでもらいたいという一心で、満面の笑顔で踊る姿に感動するからです。
引用:『売れる販売員の全技術』 井上健哉著
3. 想像力:お客様の未来を彩る
単に商品の説明をするのではなく、それを使うことでお客様の生活がどう豊かになるかを想像させることが大切です。
「せっかく夏にハワイに行かれるのでしたら、タンタラスの丘でワイキキの夜景を是非ご覧になってください。…あたかも動く映像をフルカラーで、音声付きで見えるように、お客様の想像力を刺激するのです。
引用:『売れる販売員の全技術』 井上健哉著
効果的なコミュニケーションテクニック
お客様の心を動かし、購入につなげるためには、言葉の使い方にも工夫が必要です。
褒め方:事実を伝える「褒める」と、そうでない「おだてる」
お客様に「あなたから買いたい」と思ってもらうためには、褒めることが効果的です。しかし、事実に基づかない「おだてる」は逆効果になります。
事実に基づいたことを伝えるのを、「褒める」といいます。一方、事実ではないことを、まるで本当のことのように伝えるのは「おだてる」といい、これらは似て非なるものです。
引用:『売れる販売員の全技術』 井上健哉著
質問の仕方:なぜ(Why)を問いかける
お客様の購買目的を理解するために、質問は非常に重要です。「何を(What)」ではなく「なぜ(Why)」を尋ねることで、会話が広がり、的確な提案ができるようになります。
たとえば洋服売り場で、ワンピースを探しているお客様になら、「ワンピースをお探しですか?」ではなく、「どちらにお出かけされるのですか?」と投げかけます。すると高確率で、行き先や状況など色々な話が引き出せるはずです。
引用:『売れる販売員の全技術』 井上健哉著
まとめ
今回ご紹介したテクニックは、ほんの一例です。井上健哉氏の著書には、他にもたくさんの具体的な方法が紹介されています。お客様一人ひとりに合わせた「美しい流れ」を作り出すことで、販売員の仕事はより楽しく、実りのあるものになるでしょう。
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