運動は、単に体を鍛えるだけでなく、脳の機能そのものを劇的に向上させることが最新の科学で明らかになっています。集中力や記憶力を高め、ストレスや依存症を克服する力まで秘めているのです。この記事では、ベストセラー『脳を鍛えるには運動しかない!』から、運動が脳に与える驚くべき効果と、いますぐ実践できる具体的な方法を紹介します。
運動が脳にもたらす3つの驚くべき効果
著者は、運動がもたらす爽快感や頭がすっきりする感覚は、脳が最高の状態になった証拠だと語ります。筋肉や心肺機能を鍛えることは、あくまで副次的な効果に過ぎないというのです。では、具体的に運動は脳にどのような影響を与えるのでしょうか。
1. 学習能力を飛躍的に向上させる
運動は、学習能力を3つの段階でサポートします。まず、気持ちがよくなり、頭がすっきりすることで、注意力ややる気が高まります。次に、新しい情報を記録する細胞レベルでの基盤としてニューロン同士の結びつきを準備し、促進します。そして、記憶を司る「海馬」の幹細胞から新しいニューロンが成長するのを促します。
2. ストレスに打ち勝つ強い脳を作る
「ストレスが多すぎると、人間はストレスと関係のない記憶を形成できなくなり、また、すでにもっている記憶も取り出せなくなるのだ。」
引用:『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』ジョンJ.レイティ、エリック・ヘイガーマン、野中 香方子著
過度なストレスは記憶力の低下を招きますが、運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールの量を調整し、ストレスに負けない強い脳を作ります。また、運動は感情に関わる「扁桃体」の調整を助けるため、イライラしにくくなる効果も期待できます。
3. 依存症の克服を助ける
アルコールやタバコなどの依存症に悩む人にとって、運動は非常に有効な手段です。たとえば、アルコール依存症の患者を対象とした研究では、たった10分間の強めの運動でも、アルコールへの渇望を劇的に抑える効果があることが示されました。
また、喫煙者に対しては、激しい運動を5分間行うだけで、タバコを吸いたい衝動が50分間抑えられ、次の1本までの間隔が2〜3倍に伸びるという驚きの結果が出ています。これは、ドーパミンの分泌がスムーズになり、不安や緊張、ストレスが抑えられるためです。
いますぐできる!脳を鍛える効果的な運動方法
ただ運動するだけでなく、効果を最大化するためのポイントがあります。
有酸素運動を習慣化する
「三〇分のジョギングを週にほんの二、三回、それを一二週間つづけると、遂行機能が向上することが確認された。」
引用:『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』ジョンJ.レイティ、エリック・ヘイガーマン、野中 香方子著
日本で行われた研究では、週に2~3回のジョギングを3ヶ月続けるだけで、計画を立てて実行する能力である遂行機能が向上することがわかっています。まずは無理のない範囲で、有酸素運動を習慣にしてみましょう。
複雑な動きに挑戦する
「足を交互に前に出すだけでなく、もっと難しい動きに挑戦することも大切だ。」
引用:『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』ジョンJ.レイティ、エリック・ヘイガーマン、野中 香方子著
ただ走るだけでなく、平均台や障害物などを使った複雑な運動を取り入れると、脳の神経細胞を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)が大幅に増加します。ダンスやボルダリング、球技など、楽しみながら脳に刺激を与えられる運動を選んでみましょう。
運動は「生きるため」の処方箋
難病を患い絶望の淵にいたパイルズ氏は、生きるため、そして正気を保つために走り続けました。最初は400メートルほどしか走れなかったのが、徐々に距離を伸ばし、数年後には難病が寛解したという驚くべき体験を語っています。
運動は、単なる肉体的な活動ではありません。心を埋め、前向きな気持ちにさせてくれる「心の処方箋」でもあるのです。
「依存を完全に断ちたいのであれば、週に五日、三〇分のハードな有酸素運動というのが最低ラインだ。できれば毎日、体を動かした方がいい。」
引用:『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』ジョンJ.レイティ、エリック・ヘイガーマン、野中 香方子著
この記事を読んで少しでも運動を始めてみようと思った方は、まずは5分だけでも体を動かすことから始めてみませんか?
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