あなたの話、本当に相手に伝わっていますか?「言ったはずなのに伝わっていない」「誤解されてしまう」と悩む人は多いでしょう。伝え方は、実は特別な才能やセンスではなく、誰でも習得できる「技術」です。
ベストセラー『伝わる文章の書き方』の著者であり、編集者である柿内尚文氏の著書『誰でも身につく36の伝わる法則』から、あなたのコミュニケーションを劇的に変えるヒントをご紹介します。言葉だけでなく、態度や心構え、さらには心理学に基づいた具体的なテクニックまで、「伝わる」ために必要なエッセンスを解説します。
伝わらない根本的な理由と「技術」の必要性
まず、伝え方について知っておくべき根本的な原則があります。
1 人は、伝えてもらわないとわからない。
2 ただ伝えるだけでは伝わりにくい。 うまく伝えないと伝わらない。そして、 伝え方には技術がある。
3 言葉だけでなく「態度+表情」も伝わるための大きな要素。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
私たちが「伝えたつもり」でも、実際には「伝えてもらわないとわからない」のが人間です。そして、伝えるためには「言葉」だけでなく、接客のプロが実践するように、グラスを置く動作一つにも「おいしく飲んでもらいたい」という気持ちを込めるといった「態度+表情」が大きな要素となります。
また、そもそもコミュニケーションスキルが高い人は、脳科学者によると、
「コミュニケーションスキルが高い人は『自分の脳と相手の脳が見ている世界が違うということをしっかりと認識している人』」(『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』という本に詳しく書かれています)
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
とされています。まずこの前提を受け入れ、「技術」で伝える工夫をすることが重要です。
伝わるためのマインドセット|性格と仕事を切り離す
伝え方の技術を実践する上で、最初に身につけてほしいマインドセットがあります。それは「自分の性格を切り離して伝える」ということです。
伝え方で最初に知っておいてほしいのは、伝え方がうまくなるためには「自分の性格を切り離して伝える」ということ。 こんなこと言ったら相手に嫌がられるかも。 間違ったことを言っているのかもしれない。 誤解されたら嫌だ。 そんな不安があると思いますが、だからといって伝えないままでいると、その事柄は相手にとっては存在しないことと等しいことになります。 存在を示すためにも、まずは「伝える」ことが必要です。 伝えにくいなと思ったら、そのときは 性格を切り離して、別人格になったつもりで伝える。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
「伝えにくいな」と感じたとき、それは自分の性格や不安が邪魔をしている証拠です。「仕事に恥ずかしさをもちこんじゃいけない。性格と仕事は切り離せ」という言葉もあるように、「別人格になったつもり」で、まずは「伝える」という行動を起こすことが、伝わるための第一歩です。
伝わりやすくなる具体的な技術:頻度・確認・見える化
伝える覚悟ができたら、次に具体的な技術を活用します。
1.「頻度」と「繰り返し」で伝わる土壌を作る
人は何度も触れることで警戒心が薄れ、好意を持ちやすくなる**「ザイアンスの法則」**があります。
「ザイアンスの法則」 を知っていますか? 人やモノやサービスなどに何度も触れることで警戒心がどんどん薄れていき、関心や好意を持ちやすくなるという心理的な効果のことです。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
上司への報告や相談も、頻度を高めるだけで評価や関心につながりやすくなります。また、一度で伝わらないことは「繰り返し伝えること」が必要です。その際には、
打ち合わせの最後の5分を使って、その日打ち合わせた内容をあらためて相手に話してもらう。 それだけです。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
このように、「伝わったかどうかの確認」の時間を設けることで、何度も伝える無駄を省くことができます。
2.「たとえば」と「見える化」でイメージさせる
相手の頭の中に具体的なイメージを浮かべてもらうことが、「伝わる」ための鍵です。
逆に頭の中にイメージが浮かばないと、それは伝わっていない可能性が高い といえます。 話がわかりやすいといわれている人は、実は「見える化の達人」です。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
話のわかりやすい人は「見える化の達人」です。そのために有効なのが、「たとえば」の多用です。
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理論などが腑に落ちるよう「たとえば」の多用
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恋愛やレストランの話など、自分ゴトにしやすい事例の活用
相手が知っているものに例えることで、初めて聞く情報でも、自分の生活に取り込んだ「自分ゴト」として認識され、頭の中に景色が浮かびやすくなります。
「相手メリット」と「三方よし」で信頼を築く
最後に、伝え方の土台となる考え方です。
1.相手の話を聞き、相手のメリットで伝える
営業の仕事は「商品を売る」のではなく、「相手に必要な商品を紹介する」ことであると著者は言います。
相手の話をとにかくよく聞いて、相手にとって自分たちの商品のどこに必要性があるのかを見つけ出すようにしている。必要性が見つかればそこをお客さんに伝えるし、もし見つけられないときは、正直にそのことを伝えるようにしてる
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
相手の話をよく聞くことで、店員から服を勧められなかったにもかかわらず客が服を買ったように、「返報性の原理」と「親近感」が生まれ、結果的に購買につながることもあるのです。
また、ネガティブな状況でも伝え方を変えることでプラスに変えられます。
マイナスの状況でも「相手メリット」で伝えることで、マイナスをプラスに変えることができます。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
「いま混んでいるので、すみませんもう少しお待ちください」ではなく、「すみません、いまおいしい料理を一生懸命作っておりますので、もう少しお待ちください」と伝えることで、待つ時間が「料理への期待感」に変わるのです。
2.近江商人に学ぶ「三方よし」
最終的に伝わるコミュニケーションは、**「三方よし」**の精神に通じます。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」 3つのグッドとつながる考え方です。
引用:『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内尚文著
相手にとって必要なことを、相手のメリットを考えて伝える。この信頼の上に、「伝わる技術」は成り立つのです。
あなたのコミュニケーションを変える一歩
「伝え方」は、「自分の性格を切り離す」というマインドセットと、「頻度」「確認」「見える化」「相手メリット」といった具体的な技術で、誰でも必ず上達します。
今日からあなたのコミュニケーションにこれらの法則を取り入れてみませんか?
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