お店の売上アップ、リピーター獲得、そして強いチーム作り。これらは店舗経営者にとって永遠の課題ですよね。
今回ご紹介するのは、柴田昌孝氏の著書『店長の鬼100則』。
本書には、お客様の心を掴み、売上を劇的に伸ばすための実践的なヒントが満載です。
顧客心理を読み解く!「なんとなく」が売上を左右する
お客様は、お店を「理屈」ではなく「なんとなく」で判断していると柴田氏は強調します。
お客様は理屈で店を見るわけじゃない。説明できない、理屈なき快不快で店を見ているんだ
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
これは本当にその通りだと感じます。
例えば、店員同士が固まって話している姿を見ると、お客様は「入りにくいな」「声をかけにくいな」と感じてしまいます。
仕事の話をしているとしても、お客様から見れば「あの店は感じが悪い」という印象につながりかねません。
たった50センチが売上を1.5倍に?「なんとなく」が生む購買行動
この「なんとなく」の心理は、お店の売上にも直結します。
私がモール内に出店したファミリーブランドのお店で、たった 50センチ、メインの店の入り口を広げただけでカートのお客様の入店率が 1・ 5倍になったことがある。それに連動し、子供服の売上も増えた。たった 50センチ通路を広げただけで、だ。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
これは驚きの事例ですが、非常に納得感があります。ベビーカーやショッピングカートを押しているお客様にとって、通路の広さは入店を左右する大きな要因です。
「なんとなく入りにくい」と感じさせない工夫が、売上アップにつながるんですね。
「安さ」だけでは響かない!マーケットトークで価値を伝える
お客様に商品の価値を伝える際、単に「安い」と伝えるだけでは十分ではありません。
「このジャケットは、同じ素材なら相場で 15, 000円はしますが、うちはこの値段でお出ししています」となる。
わかるだろうか?
単に「安いです」から、「相場の ○ ○円より安いです」と市場を定義することによって、どれと比較して安いのかがわかりやすくする。」
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
「マーケットトーク」は、お客様に商品の「お値打ち感」を効果的に伝える手法です。市場価格との比較を明確にすることで、お客様は提示された価格がどれだけお得かを理解しやすくなります。
商品名も売上を左右する!ネーミングの重要性
商品の名前一つで、売上が大きく変わることもあります。
地元のパン屋さんが、チョココルネの名前を「ハリー・ポッターの帽子」と改名したら、いきなり売上が 10倍になったそうだ。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
伊藤園の「お〜いお茶」。言わずと知れた人気飲料だが、 1985年に発売した時は「缶入り煎茶」という名前だった。(中略) 1989年に「お ~いお茶」へ名前を変更した。その結果、売上はそれまでの 6倍に跳ね上がり、約 40億円に急増したのだ!
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
高級ティッシュの「鼻セレブ」も、もともとは違う名前だった。(中略)名前を「鼻セレブ」に変えたらいきなり売上が 10倍に!
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
これらの事例は、ネーミングの力がどれほど大きいかを物語っています。商品の特徴を捉えつつ、お客様に響く魅力的な名前をつけることで、売上を飛躍的に伸ばせる可能性を秘めているんですね。
顧客育成の鍵は「特別扱い」と「関係性」
お客様を「常連客」へと育てるためには、すべてのお客様に均等にサービスを提供するのではなく、特定の顧客に焦点を当てたアプローチが重要です。
顧客ビジネスで大切なことは、顧客すべてにまんべんなくサービスするのではなく、顧客を分類し、そのトップ顧客に特別コンタクトをすることである。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
RFM分析で優良顧客を見つけ出す
顧客を分類する際、「RFM分析」が有効です。
お客様の購買履歴を、 R( recency最新購買日)、 F( frequency購買頻度)、 M( monetary購買金額)毎に管理して、その値を点数で数値化し、上位から順にランク付けを行うというやり方だ。そして、その上位顧客(だいたい 20% ~ 30%)に対して、個別に高いサービスを提供し、優良顧客の固定化を図るのだ。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
RFM分析によって優良顧客を特定し、その顧客に対して特別なサービスや個別のアプローチを行うことで、顧客の満足度を高め、ロイヤリティを向上させることができます。
信頼関係が常連客を生む
常連客は、単に商品が良いから、安いからという理由だけで生まれるわけではありません。
常連客というのは、人と人のつながりから生まれる場合がほとんどだ。それを、値段は上げたわ、接客はセルフだわじゃ、常連ができるはずがない。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
顧客化、固定客化したいなら、意識するのは2つ。1つは、できるだけお客様から見た話せる店員の数を増やすこと。そして、もう1つは、店長自身がそのお客様を知り、自ら接客すること。この 2点で十分に顧客は 2倍になる。お試しあれ!」
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
お客様との会話を増やし、個人的なつながりを深めることが、常連客育成の土台となります。店長自身が積極的に接客し、お客様との関係性を築くことが、お店のファンを増やす上で非常に効果的です。
チーム育成と店長の役割
売上を伸ばすためには、スタッフの育成も欠かせません。
もしあなたが、店スタッフの販売力を上げたいと考えるなら、販売ノウハウを教え込むより、スタッフが人として信頼される立ちふるまいをとにかく徹底しなさい。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
ノウハウの前に「信頼」を
どんなに優れた販売ノウハウを教えても、お客様から信頼されていなければ意味がありません。お客様は、信頼できる人から商品を買いたいと思うものです。スタッフ一人ひとりがお客様から信頼されるような立ち居振る舞いを身につけることが、結果的に売上向上につながります。
スタッフに「考えさせる」ことの重要性
部下を育成する上で、店長がすべてを教え込むのではなく、部下自身に考えさせる機会を与えることが重要です。
「私が先に意見を言ったら、部下に自分で考えさせる場をうばってしまうじゃないですか。部下の考えた意見だからこそ意味があると私は思うんです。だから、私の意見は、部下の考えの後に言います」」
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
「簡単なことですよ。『 ○ ○さんは、どう思う?』と必ず聞く。私が答えを持っていることでも、一旦聞くんです。この方法のいいところは、もちろん自分自身に考えさせるという効果ですが、それ以上に『どう思う?』と尋ねることで、そのスタッフの現時点レベルがわかり、アドバイスしやすくなりますね。これは大きいです」」
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
店長が先に答えを出すのではなく、スタッフに意見を求めることで、主体性を育み、自ら考える力を養うことができます。また、スタッフの考えを聞くことで、彼らの現状の理解度や課題を把握しやすくなるというメリットもあります。
お客様優先を徹底する姿勢
最後に、お客様を最優先する姿勢が、お店の評判と売上を大きく左右します。
お客様優先意識がとにかく徹底されていたのだ。
引用:『店長の鬼100則』柴田 昌孝著
お客様が来店したら電話をすぐに切る、お客様の前で仕事の話をしない、お客様の動線を邪魔しない…これらは基本的なことですが、徹底されているお店は意外と少ないものです。お客様への配慮を徹底することで、お客様は「大切にされている」と感じ、それが再来店や口コミへとつながっていきます。
『店長の鬼100則』は、店舗経営における原理原則を改めて教えてくれる一冊です。お客様の「なんとなく」の心理を理解し、信頼関係を築くことの重要性、そしてスタッフを育成する上での店長の役割。これらを意識することで、あなたの店舗も大きく成長できるはずです。
何か新しい気づきや挑戦したいことはありましたか?ぜひコメントで教えてください!
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