近年、教科書の内容を正しく理解できていない中高生が多いという調査結果が話題となりました。しかし、これは学生に限った話ではありません。大人であっても、SNSの投稿を感情的に誤読したり、マニュアルや資料の意図を読み違えたりすることは多々あります。吉田裕子著の『読みトレ』は、そんな「読めているつもり」を解消し、日常レベルの文章理解力を高めるための具体的な手法を提示してくれます。
読解力の土台|話題と結論をセットで押さえる
文章を正しく読むための第一歩は、その文章が「何について」書かれ、「結局何が言いたいのか」を明確にすることです。これが、著者が提唱する要点把握の基本です。
要点把握とは、話題と結論を押さえること。
引用:『読みトレ』 吉田裕子著
この文章はそもそも何について述べていて[話題]、結局どのようなことを言いたいのか[結論]。この二点が答えられれば、たいてい問題ありません。
引用:『読みトレ』 吉田裕子著
まずは自分の主観を脇に置き、書き手の主張をそのまま受け取る姿勢が、正確な読解のスタートラインとなります。
文構造を見抜くコツ|述語から主語をたどる
複雑な一文に出会ったとき、私たちはどこから読めばいいか迷いがちです。そんな時は、まず「述語」に注目することで、文の骨組みが見えてきます。
まず述語を押さえ、そこから疑問文を使いながら主語を見つけ出すことで、文が理解しやすくなります。
引用:『読みトレ』 吉田裕子著
「誰が?」「何を?」と疑問文を自分に投げかけながら文を分解していくことで、長い一文も整理して理解できるようになります。また、「AだけでなくB」といった構文では、より重要なのは「B」の方であるといった、重要部分判定の鉄則を意識することも有効です。
「事実」と「意見」を切り分ける|感情的な誤読を防ぐ
現代の読解において特に重要なのが、文章の中にある「事実」と「書き手の意見」を混同しないことです。特にSNSなどの短い文章では、感情的な表現に惑わされやすくなります。
文末にも意見の目印があります。
・〜だろう(に違いない、かもしれない、ようだ、らしい)
・〜と思う(と感じる、と考える、と思われる、と推察する)
・〜と言わざるを得ない(と言うよりほかはない)
・〜べきだ など……
引用:『読みトレ』 吉田裕子著
こうした意見の目印を見つけた際は、すべてを鵜呑みにせず、その根拠やデータが示されているかをチェックする癖をつけることが大切です。相手の攻撃的な言葉(贅言)に惑わされず、議論の本題だけに集中するスキルも求められています。
接続語と指示語を活用する|次の展開を予測する
接続語は、文章の「道路標識」のようなものです。「しかし」があれば逆転が、「つまり」があれば要約が来ると予測できるため、読むスピードと正確性が格段に上がります。
接続語を手がかりにすることで、後ろの流れを予測できる
引用:『読みトレ』 吉田裕子著
特に「たしかに」「もちろん」といった譲歩の言葉のあとには、必ず書き手の本音が隠れた「逆接」が続くことを覚えておくと、文脈を掴みやすくなります。
語彙を増やし、要約でアウトプットする
読解力を支えるのは、やはり言葉の数(語彙力)です。分からない言葉を飛ばして読む習慣をやめ、辞書を引いたり、複数の辞書を読み比べたりすることで、思考の解像度が上がります。
さらに、読んだ内容を自分のものにするためには、100字程度の要約が効果的です。
要点(話題と結論)を中心にして100字で要約する 字数に余裕があれば、対比・理由・例を補う
引用:『読みトレ』 吉田裕子著
ただ受動的に情報を得るだけでなく、能動的に文章を分解し、再構築することで、読解力は一生モノの武器へと変わっていきます。
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