アウトプットで人生を豊かに!樺沢紫苑著『学びを結果に変えるアウトプット大全』から学ぶ実践的スキル

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樺沢紫苑氏の著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』には、日々の学習や仕事の成果を最大化するためのヒントが満載です。本書で紹介されている科学的根拠に基づいたアウトプット術を実践し、あなたの毎日をさらに充実させましょう。


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記憶力を高めるアウトプット術

全問テストで記憶を定着させる

インプットした知識を定着させるには、アウトプットが非常に重要です。樺沢先生も本書で強調されていますが、ただ覚えるだけでなく、「出す」行為こそが、真の理解と定着を促します。 私たちはつい、間違えた部分だけを復習しがちですが、記憶のメカニズムから考えると、「わかっているつもり」の部分も積極的にアウトプットし直すことの重要性が改めて浮き彫りになりますね。

ワシントン大学の研究では、学生に 40個のスワヒリ語の単語を暗記してもらう実験を行いました。

入力(記憶)に関して「全問」を記憶し直すのと、「ミスした問のみ」記憶し直すパターン。出力(確認テスト)に関して「全問」をテストするのと、「ミスした問のみ」テストするパターン。この組み合わせを 4つのグループにわけ、単語を記憶してもらいました。

結果は、入力方法の差では違いはなく、出力で常に全問をテストしたグループが高得点をとったのです。

つまり、記憶においては、インプットよりもアウトプットが重要。できるだけたくさんの「問題を解く」ということが、記憶に残すためには

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

この研究結果は、記憶においてはインプットの質よりもアウトプットの量が重要であることを明確に示しています。理解を深め、長期記憶に定着させるためには、積極的に問題を解く、つまり全問を対象にテストする習慣を持つことが効果的です。


人に教えるつもりで学ぶ

「人に教える」という前提で学ぶことは、記憶力向上に絶大な効果を発揮します。これは私自身も強く実感していることで、誰かに説明しようとすると、自分の理解の曖昧な点が浮き彫りになり、自然と深く掘り下げて調べるようになります。

ロンドン大学の興味深い研究があります。あるものを暗記してもらう実験で、最初のグループには、「これが終わったあとにテストをしますので、暗記してください」と言います。もうひとつのグループには、「これが終わったあとに他の人に教えてもらいますので、ちゃんと記憶しておいてください」と言います。

同じ時間をかけて暗記してもらった結果、両方のグループに同じテストをしました。結局、「教える」ことはしませんでしたが、「教えてもらいます」と伝えたグループのほうが高い得点をとったのです。

人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶力がアップして学びの効果が上がるということです

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

「教える」ためには、情報を体系的に整理し、分かりやすく伝える能力が求められます。このプロセス自体が、知識の定着と応用力を高める最高のトレーニングになるのではないでしょうか。


落書きで集中力&記憶力アップ

集中力と記憶力を高める方法として、意外にも「落書き」が挙げられているのは驚きでした。授業中や会議中に落書きをしていると、つい注意散漫になっていると思われがちですが、実は脳にとっては適度な刺激となり、集中力を維持する手助けになっているのかもしれません。

落書きについての興味深い研究があります。プリマス大学(イギリス)で、 40人の参加者に人と場所の名前を聞かせ、あとでそれを書き出してもらうという実験を行いました。

実験の際、参加者の半数には紙に落書きをしながら聞いてもらいました。結果、「落書きをした」参加者は、「しなかった」参加者より 29%も多くの名前を思い出すことができたのです。なんと、落書きは記憶力を高めるという、驚きの結果となりました。落書きをすると集中力が損なわれるように思いますが、実際は逆なのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

完全にぼーっとするのではなく、手先を動かすことで、無意識のうちに情報処理能力が高まるというのは、非常に興味深い現象ですね。


手書きで記憶を定着させる

デジタルデバイスが普及した現代において、あえて「手書き」の重要性が語られているのは、多くの人にとって共感できる点ではないでしょうか。

プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の共同研究では、大学生を対象に、講義を「手書きでノートをとる学生」と「ノートパソコンでノートをとる学生」にわけて比較しました。

結果は、手書きの学生のほうがよい成績を上げ、より長い時間にわたって記憶が定着し、新しいアイデアを思いつきやすい傾向にあることが明らかになりました。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

パソコンでのタイピングは速く効率的ですが、手書きは文字を書くという行為自体が脳の多くの領域を使い、思考を整理し、情報を深く刻み込むプロセスになっているのだと考察できます。情報のインプットだけでなく、その情報を「自分の言葉」としてアウトプットする際の手段としても、手書きは非常に有効だと言えるでしょう。


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脳のパフォーマンスを最大化する習慣

ぼーっとする時間も大切に

現代社会では、常に何かをしていないと落ち着かない、という人も多いかもしれません。しかし、脳にとって「ぼーっとする時間」がこれほどまでに重要であるというのは、目から鱗の情報でした。

ワシントン大学の研究によると、デフォルトモード・ネットワークを稼働させてぼんやりしているときの脳内では、通常の脳の活動時の 15倍ものエネルギーが消費されていることが明らかにされました。つまり、脳は活動しているときよりも、実は「ぼーっとしている状態」のほうが重要なのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

これは、私たちが意識していない間に、脳が情報を整理したり、新しいアイデアを結合したりと、非常に重要な「裏作業」を行っていることを示唆しています。効率を追求するあまり、意図的に「何もしない時間」を設けることの価値を再認識させられます。


ポジティブな言葉で脳を活性化

言葉が持つ力は、想像以上に大きいものです。ノースカロライナ大学の研究で、職場のポジティビティ比が3対1以上のチームは、ビジネスで高い利益を上げていたという結果は、「言葉の習慣」が組織の生産性にも直結することを示しています。

ノースカロライナ大学の研究では、職場で話される会話のポジティブな言葉とネガティブな言葉の割合(ポジティビティ比)を調べたところ、その比率が 3対 1以上でポジティブな言葉が多いチームは、ビジネスで極めて高い利益を挙げ、チームメンバーの評価も高いものでした。

一方、ポジティビティ比が 3対1を下回ったチームは、会社への愛着が低く、離職率が高まりました。さらに、最も業績の高いチームでは、ポジティビティ比が 6対 1にまで達していました。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

さらに、大阪大学の研究では、ポジティブな言葉を音読した方が、ネガティブな言葉よりも記憶の再生率が高いことが示されています。 私たちの脳は、ポジティブな刺激によって活性化され、記憶力や思考力も向上するということ。日頃から意識的にポジティブな言葉を選び、口にすることで、自分自身の脳を最高の状態に保つことができるのです。

大阪大学の研究では、文章を音読しながら、所定の単語を記憶してもらう実験をしたところ、記憶すべき単語が「ポジティブな言葉」の再生率は高く、「ネガティブな言葉」の再生率は低くなりました。気分がポジティブかネガティブかによって、記憶力は変わってくるのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著


笑顔の即効性

「笑顔が大切」ということはよく言われますが、科学的にその効果が証明されていると知ると、さらにその重要性を感じますね。

カリフォルニア大学が興味深い研究を発表しています。被検者の心拍数、体温、肌の電気信号、筋肉の緊張などを測定しながら、笑顔、恐怖、怒りの表情をしてもらいます。

すると、「笑顔」をつくるとわずか 10秒で、「安心」しているのと同様の身体的な変化があらわれました。「恐怖」の表情をつくると恐怖の身体的な変化があらわれました。

笑顔をつくると 10秒で緊張が緩和して、ハッピーな気持ちになれるということ。つまり、笑顔の効果には、即効性があります。

脳科学的にいうと、笑顔をつくるとセロトニン、ドーパミン、エンドルフィンという 3つの脳内物質が出ます。これらの物質が出ると、ストレスホルモンが下がり、副交感神経が優位になります。つまり、笑顔には緊張を緩和してストレスを解消する作用があるのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

笑顔は、単に表情を作るだけでなく、セロトニン、ドーパミン、エンドルフィンといった脳内物質の分泌を促し、ストレスホルモンを下げ、副交感神経が優位になります。つまり、笑顔は即効性のあるストレス解消法であり、心身の健康を保つための強力なツールだと言えるでしょう。


良質な睡眠で記憶を定着

「寝る間を惜しんで勉強する」という言葉は、昔の美学のように語られることもありますが、科学的には全く逆効果であるということが、本書で明確に示されています。

ペンシルベニア大学の研究で、 6時間睡眠を 14日間続けると、 2日間完全に徹夜したときと同程度の集中力低下をきたしていることが明らかにされました。毎日 6時間しか寝ていない人は、毎日、徹夜明けで仕事をしているのと同じくらいの仕事しかこなせないという、衝撃的なデータです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

また別の研究では、 6時間以上の睡眠をとらないと、勉強した内容が記憶として定着しづらいことが明らかにされています。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

私たちの脳は、睡眠中に日中の情報を整理し、記憶として定着させる作業を行っています。十分な睡眠は、単なる休息ではなく、学習効果を最大化するための不可欠な「アウトプット準備」の時間なのです。


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生産性を高めるアウトプット実践法

シングルタスクで集中力を高める

マルチタスクが現代人の働き方として定着しつつありますが、樺沢先生は本書でその非効率性を指摘しています。一見効率的に見えても、実際には生産性を大きく損なっているという事実は、現代の働き方を再考する上で非常に重要な示唆を与えてくれます。

ある研究では、マルチタスクによってひとつの課題に集中してあたれない場合、その課題を完了するのに時間が 50%も余分にかかることがわかりました。

またそれだけではなく、間違いをする率も、最大 50%も高くなりました。別の研究では、 2つの似たような作業を同時に行わせた場合、効率は 80 ~ 95%も低下しました。

マルチタスクをする場合、2つのことを別々にやるよりも時間がかかってしまうのです。さらに間違いやミスをする率も 1. 5倍に跳ね上がるのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

意識的にシングルタスクに集中することで、より質の高いアウトプットを、より短い時間で生み出せるようになるでしょう。


視覚情報を活用する

プレゼンテーションや説明の場で、視覚情報の重要性は誰もが感じていることでしょう。本書でも、その効果が明確な数字で示されています。

絵や図を描くなど、「視覚」を使って説明すると、理解しやすく、また何倍も記憶に残りやすくなります。

ある事柄を説明して、 72時間後にどれだけ覚えていたかを調べた実験があります。「口頭で説明」した場合は、 10%しか記憶していなかったのに対し、「絵を使いながら説明」した場合は、 65%も覚えていました。視覚を使うと、口頭で説明するよりも 6倍以上記憶に残るのです。

別の研究では、 2500枚以上の絵を 10秒ほど提示したところ、それらの絵は 90%以上の精度で数日間記憶されました。さらに 1年後に再検査したところ、なんと 63%も記憶されていたのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

人間は視覚からの情報に強く反応し、記憶に残りやすい特性を持っています。アウトプットする際も、文字だけでなく、図やグラフ、イラストなどを積極的に取り入れることで、相手への伝わり方が劇的に変わり、自身の記憶にも深く刻まれるというメリットがあるのです。


ジャーナリングで思考を整理する

ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれ、頭に思い浮かんだことを自由に書き出すマインドフルネスの手法です。頭の中がごちゃごちゃしていると感じた時に、紙に書き出すというシンプルな行為が、これほどまでに多くの効果をもたらすというのは驚きです。

ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれ、マインドフルネスの手法の一つとして世界中のビジネスパーソンが実践しています。

その方法は、頭に思い浮かんだことをランダムに紙に書き出す……というものです。

書き出す内容には、何の制限も制約もなく、どんなことでも問題ありません。「今週は忙しくて疲れたな」とか、「あの会議はムダだよな」、「あいつ、ムカつくよな」、「今朝の卵焼きは美味しかった」などなど……。

頭の中の「泥水」を排水するようなイメージで、思いつくまま、どんどん書き出していくと、自律神経が整う感覚を味わうことができます。

ジャーナリングには、次のような効果があるといわれています。

①自分の現状を客観視できる

②思考を整理できる

③新しいアイデアや考え方が見つかる

④ネガティブな感情をリセットできる

⑤集中力がアップする

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

樺沢先生が言うように、まるで頭の中の「泥水」を排水するようなイメージで書き出すことで、思考がクリアになり、集中力も高まるのを感じられるはずです。


ポジティブ日記とシェアで幸福度アップ

幸福度を高める方法として、ポジティブな出来事を記録し、それを他者と共有するという方法は、実践しやすく効果も大きいと感じます。

アメリカのブリガムヤング大学の心理学研究では、 100人の対象者をグループにわけ、 4週間日記をつけるように指示しました。ひとつのグループには、その日にうれしく思ったポジティブな出来事のみを日記に記すように指示し、もう一方のグループには、単純にその日にあった出来事について記すように指示しました。その結果、ポジティブな内容を記したグループは、その日にあったことを記すだけのグループに比べ、幸福度と生活に対する満足度が高いという結果が得られました。

さらに、対象者が、自分たちが書いたポジティブな日記の内容について、友達や愛する人に話して聞かせたところ、彼らの幸福度と生活満足度が 2 ~ 3倍にも向上したのです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

ポジティブな出来事を「見つける」行為自体が、日常の感謝や喜びを再認識させてくれます。そして、それを**「アウトプット」して誰かと分かち合うことで、さらに喜びが増幅される**という好循環が生まれるのです。


デバイスの統一で入力速度を向上

これは、日々のPC作業が多い人にとっては非常に実践的なアドバイスだと感じました。複数の入力デバイスや環境を使用していると、微妙なタッチの違いから入力速度が低下する可能性があります。

会社では会社のパソコン、移動中はタブレットパソコン、家ではノートパソコンを使う、といったように、複数の入力デバイスや入力環境を利用している人は多いと思います。キーボードやマウスが異なると微妙なタッチが変わりますから、間違いなく入力速度は低下します。

私は、 1台のノートパソコンだけを使っています。私は、パソコンのハードユーザーでありますが、家にはデスクトップパソコンはありません。いつも同じキーボード、同じマウス、同じマウスパッドを使って入力します。それが、最も速く入力する方法だからです。

引用:『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑著

樺沢先生も、常に同じキーボード、同じマウス、同じマウスパッドを使うことで、最も速く入力できると述べています。私たちは無意識のうちに、指先でデバイスの感触を記憶し、最適な入力速度を生み出しています。この「慣れ」という名の自動化を最大限に活用することで、地味ながらも日々の作業効率を大きく向上させることができるでしょう。


これらのアウトプット術を日々の生活に取り入れることで、あなたの学びはより確かな結果へと繋がり、生産性も向上するでしょう。ぜひ今日から実践してみてください。

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