私たちは誰もが「人から好かれたい」「よい人間関係を築きたい」と願っています。しかし、そのために具体的に何をすればいいかを知っている人は少ないかもしれません。人望が集まる人は、人間関係の極意、つまり相手の「自尊心」を何よりも大切にしています。
このブログでは、レス・ギブリン氏と弓場隆氏の著書『人望が集まる人の考え方』から、人望を集める人が実践している、相手の心をつかみ、協力的な関係を築くための具体的な考え方とテクニックをご紹介します。
良い人間関係は「ギブ&テイク」から始まる
人望が集まる人は、人間関係を一方的な要求の場とは捉えません。良い人間関係は、お互いが満たされる交換から成り立っていることを理解しています。
よい人間関係とは、自分が求めているものを手に入れるのと引き換えに、相手が求めているものを与えることだ。それ以外の関係はうまくいかない。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
あなたが何かを求めるとき、それと同時に「相手が求めているものは何か?」を考える必要があります。そして、人間関係における「相手が求めているもの」の核心こそが、「自尊心」です。
人間関係の核心:相手の自尊心を満たす
人望が集まる人が最も重視するのは、関わるすべての人の「自尊心」を大切にすることです。
人間関係の極意とは、お互いの自尊心を満たすようなやり方で相手とかかわることだ。これこそが人とかかわって本当の成功と幸福を手に入れる唯一の方法である。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
人は、自分が重要だと感じたい、認められたいという強い欲求を持っています。
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すべての人は自分に最も強い関心を抱いている。
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すべての人は自分が重要だと感じたがっている。
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すべての人は他人に認められたいと思っている。
この欲求を満たすことが、人望を集めるための基盤となります。反対に、相手の自尊心を傷つける行為は、人間関係においてご法度です。
人間関係に関するかぎり、相手の自尊心を傷つけることはご法度だ。相手の人間としての尊厳を踏みにじったら、いずれいやな目にあわされる。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
相手の自尊心を高める具体的なアクション
人望が集まる人は、相手の自尊心を満たすための行動を習慣にしています。
1. 称賛の言葉を惜しまない
自尊心が深く傷ついている人や、気難しい人に対しても、その自尊心を癒す手助けをすることが効果的です。褒め言葉は、この「心の飢え」を満たすための餌のようなものです。
心のこもったほめ言葉をかけて相手の自尊心を満たせば、気難しい人に対して大きな効果を発揮する(普通の人に対して効果があることは言うまでもない)。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
相手の些細な良い点を見つけ、毎日少なくとも5つの褒め言葉をかける習慣を身につけましょう。これは、あなたが持つ「隠れ資産」とも言える、「他人の価値を認める力」を活用することに他なりません。
2. 相手を独自の価値を持つ存在として扱う
多くの人が「顧客」や「従業員」といった抽象的な存在として他人を捉えがちですが、人望が集まる人はそうしません。
どんな商売であれ、「顧客」という抽象的な存在を扱っているのではないことを肝に銘じよう。あなたが扱っているのは、一人ひとりの生身の人間だ。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
一人ひとりの人間を「独自の価値を持つ存在」として大切に扱い、敬意を払うことで、相手からの信頼と好意を引き出すことができます。相手を重要な存在とみなす人こそが、最も強い影響力を持つ人たちです。
3. 相手に感銘を与えられたことを伝える
自分自身の素晴らしさをひけらかすよりも、相手の素晴らしさを認める方が、より強い好印象を与えます。
相手に好印象を与えたいなら、自分のすごさをひけらかす必要はない。相手に感銘を与える最も効果的な方法は、自分が相手に感銘を受けたことを伝えることだ。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
これは、相手の「重要だと感じたい」という欲求をダイレクトに満たす、非常に効果的なテクニックです。
建設的な話し合いのための技術
人望が集まる人は、意見の対立や注意が必要な状況でも、相手の自尊心を守りながら建設的な結果を導き出す話し方を実践しています。
1. まずは「聞く」に徹する
人間関係のトラブルの多くは、聞くことよりも話すことを優先してしまうことから生まれます。
自己中心的な性格を克服する方法は、「自分本位であることが悪徳だ」と自分に言い聞かせることではなく、「相手の話にもっと耳を傾けるべきだ」と自分に言い聞かせることだ。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
相手が苦情や不満を抱えているときは、まず最後まで話を聞くこと。さらに「要点をもう一度言ってください」「それ以外におっしゃりたいことはありますか?」と尋ねることで、相手の意見を尊重している姿勢を示すことができます。
2. 反論の前に「間」を置く
相手の意見に反対する場合でも、即座に否定的な反応を示すのは避けましょう。
質問に答える前に相手を見ながら少し間を置くことがポイントだ。そうすることによって、相手の発言が検討に値すると考えていることが伝わる。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
この「間」は、相手を頭ごなしに否定していないこと、そしてあなたの答えが十分に検討された結果であることを伝えるシグナルになります。
3. 控えめな態度で主張し、相手の顔を立てる
相手の意見を真っ向から否定する代わりに、一部を受け入れてから自分の意見を述べることで、論争を避けることができます。
ピアース・ブルックス博士はその点について、「たしかにそれも一理ある」と前置きしてから自分の意見を述べることを推奨している。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
さらに、自分の意見を主張するときも「私が間違っているかもしれないが」と控えめな態度で切り出すことで、相手はあなたに共感し、受け入れやすくなります。また、相手の誤りを指摘する際にも、その人が面目を保てるように「言い訳をする機会」を与えて逃げ道を用意することが、人望を集めるための重要な配慮となります。
4. 要求ではなく「依頼」をする
人に動いてほしいとき、一方的に命令するのではなく、依頼という形で協力を求めましょう。
依頼することはチームの一体感をはぐくみ、要求するよりはるかに強い協力体制を築くことができる。
引用:『人望が集まる人の考え方』レス・ギブリン、弓場隆著
「上司だから言うとおりにしろ」ではなく、「私たちの目標を達成するために協力してほしい」と伝えることで、相手に行動を変えたいという主体的な動機を与えることができるのです。
人望を集める人の「自尊心ファースト」の考え方
人望が集まる人は、常に相手の「自尊心」が満たされている状態を保とうと努力しています。彼らは、人間関係の成功とは、自分が重要だと感じたいという人々の根源的な欲求をいかに満たしてあげられるかにかかっていることを知っています。
もしあなたが人間関係で悩んでいるなら、まずは「目の前の人の自尊心を満たすために、今、何をすべきか」を問いかけてみましょう。日々の小さな褒め言葉や、相手の意見を丁寧に聞く姿勢、そして相手の面子を大切にする配慮が、やがてあなたの周りに確かな人望となって集まってくるはずです。
あなた自身の人間関係で、これらの考え方をどのように実践してみたいですか?
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