老後の生活を支える柱である「年金」。しかし、世の中には「将来もらえなくなるのではないか」「何歳で受け取れば得なのか」といった不安や損得勘定が溢れています。
私たちは年金をどう捉え、どう向き合うべきなのでしょうか。大江英樹さんの著書『知らないと損する年金の真実』から、私たちが誤解しがちな年金の正体と、賢い活用法を紐解きます。
年金の本質は「貯蓄」ではなく「保険」である
多くの人が年金を「積み立てたお金を後で受け取る貯蓄」のように考えていますが、実はその本質は「保険」にあります。貯蓄と保険では、その目的が根本から異なります。
貯蓄は、「将来の楽しみのために自分で蓄えるもの」、これに対して保険は、「将来の不幸のためにみんなで備えるもの」です。いずれも、「将来」のために「準備しておく」ことは同じですが、その目的や方法は全く正反対です。
引用:『知らないと損する年金の真実』大江 英樹著
年金が備える「不幸」とは、皮肉にも「長生きしてしまうリスク」です。いつまで続くかわからない老後において、亡くなるまで支給され続ける終身年金は、最強の安心材料となります。
収入に占める年金の割合が100%という世帯が 48・4%となっていますから、年金収入だけで暮らしている世帯が半数近くあるということになります。これが終身で支給されるという安心感はとても大きいのではないでしょうか。年金の本質は〝保険〟なのです。
引用:『知らないと損する年金の真実』大江 英樹著
「未納率4割」の嘘と、インフレへの強さ
「年金制度は崩壊する」という主張の根拠によく使われるのが「未納率4割」という数字です。しかし、これは実態を正確に表したものではありません。
公的年金加入者全体の6759万人の内、125万人ですから本当の未納率は「1・85%」ということになります。 40%が未納なのではなく、2%弱が未納ということなのです。
引用:『知らないと損する年金の真実』大江 英樹著
また、公的年金には民間保険にはない「物価スライド」という強みがあります。
つまり年金保険料を払った人は将来、物価上昇に十分持ちこたえた金額を年金として手にすることができるようになるということです。「年金は将来のモノやサービスに対する請求権」というのはこういう意味なのです。
引用:『知らないと損する年金の真実』大江 英樹著
インフレが起きても、その時の物価水準に応じたモノやサービスを受け取る権利を確保していると考えるのが、年金の正しい捉え方です。
繰上げ受給のデメリットと、これからの備え方
年金の受取時期を早める「繰上げ受給」を検討する人もいますが、そこには大きなリスクが伴います。
① 減額された支給額が生涯続く 多分これが最大のデメリットでしょう。1カ月繰り上げるごとに0・5%(2022年4月からは0・4%)減額となりますので、もし最長5年早く、 60 歳から受給開始すると 30%(同 24%)減額になります。
引用:『知らないと損する年金の真実』大江 英樹著
一度減らされた支給額は、一生元に戻ることはありません。長生きリスクに備える「保険」としての機能を自ら弱めてしまうことになるのです。
老後への備えは、公的年金という強固な土台(公助・共助)の上に、自らの準備(自助)を積み重ねていくことが重要です。
やはり基本は「自助」であっても、それだけでは足りない部分を「共助」によってまかない、最後のセイフティーネットは「公助」でカバーするというのが最も安定した社会になるのだと思います。
引用:『知らないと損する年金の真実』大江 英樹著
不安を煽る金融機関の言葉に惑わされることなく、まずは年金という公的制度の価値を正しく理解すること。それが、本当の意味で安心できる老後への第一歩となります。
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