「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」―。誰もが一度は抱えるこの悩みに、元マイクロソフトの伝説的プログラマー、中島聡氏が自身の経験から導き出した答えを提示したのが、著書『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』です。本書は単なるテクニック集ではなく、仕事の本質や時間の使い方について深く考えさせられる一冊です。
この記事では、本書から特に重要なエッセンスを抽出し、仕事が終わらないと感じているあなたが、今日から実践できるヒントを紹介します。
終わらない仕事の根本原因とは
仕事の効率を上げるために、タスクを細分化したり、量を減らしたりする工夫はよく行われます。しかし、中島氏は、それだけでは解決しない根本的な問題があると言います。
Aくんは、仕事自体はデキるのです。そこそこ優秀なプログラマーだったといえるでしょう。けれども彼は時間を使うのがとても苦手でした。仕事の量をいくら減らしても終わらないというのは、そういうことなのでしょう。
引用:『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島聡著
仕事の能力があっても、時間の使い方が苦手だと、いくら仕事量を減らしても結果は同じ。さらに中島氏は、仕事が終わらない人には共通する3つのパターンを指摘しています。
①安請け合いしてしまう ②ギリギリまでやらない ③計画の見積もりをしない
引用:『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島聡著
これらは、多くの人が心当たりがあるのではないでしょうか。重要なのは、これらの行動を自覚し、改善することです。
締め切りを守るための「ロケットスタート」戦略
では、どうすれば時間管理が苦手な状態から脱却し、仕事が終わる人になれるのでしょうか。中島氏が提唱するのは、「常に締め切りを守れるような仕事の仕方をすること」です。
しかしそんな中でも、私が仕事をするうえで最も大切だと考えている「あること」をきちんとこなせる人は100人に1人もいませんでした。 その「あること」とは、「常に締め切りを守ること」です。正確に言い換えれば、「常に締め切りを守れるような仕事の仕方をすること」です。
引用:『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島聡著
この「締め切りを守れる仕事の仕方」の具体的な方法が、**「ロケットスタート」**です。
期限の最初の2割で8割を終わらせる
「ロケットスタート」とは、仕事の初期段階で一気に集中して、仕事の大部分を終わらせてしまうことです。
10日でやるべきタスクだったら、その2割の2日間で8割終わらせるつもりで、プロジェクトの当初からロケットスタートをかけなければなりません。初期段階でのミスならば簡単に取り戻せますし、リカバリーの期間を十分に持つことができます。
引用:『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島聡著
仕事の質を高めるための「意味」の重視
中島氏は、形式や規則に縛られるのではなく、その「意味」を考えることの重要性も説いています。
本質的な意味を考えることは重要です。アメリカではそのように、形式よりも意味を考えて判断することがとても多いのです。たとえば車を運転してスピード違反で捕まったときに「息子が熱を出していて」という言い訳が通用することが結構あります。法律は法律ですから守るのは基本ですが、なぜ法律ができたのかというところまでさかのぼったら、そういう判断を下すことになるのです。警官も意味を考えているのです。
引用:『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島聡著
この考え方は、仕事においても同様です。なぜこの仕事をするのか、何のために締め切りがあるのか、その本質的な意味を理解することで、より質の高い仕事に繋がります。
習慣化のヒントとまとめ
新しい習慣を身につけるには時間がかかります。中島氏もその点に触れており、習慣化には平均で66日かかるという研究結果を紹介しています。
人がある習慣を身に付けるには、平均で同じ行動を66日続ける必要があることが、ロンドン大学のフィリパ・ラリー博士(※1)らの研究でわかっています。
引用:『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島聡著
焦らず、まずは2ヶ月間、今回紹介した「ロケットスタート」を意識して取り組んでみましょう。
本書は、仕事が遅いと悩んでいる人だけでなく、より高いパフォーマンスを目指すすべてのビジネスパーソンにとって、時間に対する考え方を根底から変えるきっかけを与えてくれるはずです。
あなたも「ロケットスタート」を実践し、仕事が終わらない状態から抜け出し、自分自身の時間をコントロールする喜びを感じてみませんか。
コメント