「もっと賢くなりたい」「仕事や人間関係で悩まずに生きたい」。そう考えているなら、澤円氏の著書『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』は、まさに目からウロコの一冊となるでしょう。本書で繰り返し語られる「メタ思考」は、あなたの視点を変え、人生をより豊かにするヒントに満ちています。
会社や仕事は「人生」とイコールではない
私たちはつい、会社での評価や仕事の成果を自分の人生そのものと捉えがちです。しかし、澤円氏はそれに警鐘を鳴らします。
要するに、 あるひとつのルールの中で勝ったからといって、それがそのまま人生の勝利につながるわけではない。この自明のことが、こと会社や仕事となると、案外混同しがちな人が多いという印象があります。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
会社の中にいる自分や、仕事をしている自分を、自分の人生とイコールにする必要はまったくありません。ましてや、会社の中での評価や出世競争などは、ただのゲームに過ぎないと考えるのです。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
会社や仕事はあくまで「人生の一部」。そう割り切ることで、心の負担がぐっと軽くなるはずです。
人生は「自分が絶対に負けないルール」で戦う
では、自分の人生をどう生きるべきか？澤円氏は「毎日優勝」というユニークな視点を提案しています。
自分の人生において「毎日優勝」してほしい と考えています。そもそも勝敗で考える必要もないことではありますが、「優勝」って言われたら悪い気はしませんよね？ 自分の人生において毎日優勝する。つまりそれは、 人生では「自分が絶対に負けないルールを自分でつくっていい」 ということ。同じルールで縛られた競争に参加しなければいいのです。そしてもうひとつ、 競技人口が常にひとりである ことも大切です。そうすれば、絶対に負けません。ぶっちぎりの優勝です。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
誰かと比較するのではなく、自分だけのルールで、自分らしく生きる。これが「毎日優勝」の秘訣です。
変化の時代を生き抜く「抽象化」と「外の世界」
現代は「VUCA」と呼ばれる、予測困難な時代です。
現在の世界のありようを表現するキーワードのひとつに、「ＶＵＣＡ」という言葉があります。これは、Volatility（変動性）・Uncertainty（不確実性）・Complexity（複雑性）・Ambiguity（曖昧性） のそれぞれ頭文字を取って呼ばれる造語で、簡単にいうと、「先行きが不透明で、状況が目まぐるしく変動するため、将来の予測が困難な状態」を指します。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
このような時代を生き抜くためには、特定のスキルや知識だけでなく、物事を「抽象化」する力が重要になります。
具体的なものを、具体的なまま表現するのは簡単です。 具体的なものを抽象化するからこそ、そこに汎用性が生まれ、選択肢に広がりを持たせることができる。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
また、終身雇用が当たり前ではなくなった現代において、会社という枠にとらわれずに「外の世界」に目を向けることも大切です。
ゼロはいつまでたってもゼロ。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
今の環境に軸足を置きつつも、少しずつでも「外」の世界に足を踏み入れることが、新たな可能性を開く第一歩となるでしょう。
仕事の「快感」を自分で定義する
「仕事が嫌だから」という理由で早期リタイアを目指す人もいますが、澤円氏はこれに疑問を投げかけます。
仕事の中に楽しみを見出せない人は、たとえその仕事をリタイアしても、人生に楽しみを見つけられないのではないか？ そんな投げかけをされていたのです。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
仕事の中に楽しみを見出すことが、人生の豊かさにつながる。そのために、澤円氏は「自分で仕事の達成を定義する」ことを勧めています。
なにをもって仕事を成し遂げたとみなすかは、自分で定義する。そのうえで、 自分が快感だと思える要素や基準を「仕事のプロセス」の中につくっておく こと。そんな自分だけの基準をあらかじめ探しておくのです。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
自分の「快感」を仕事の中に組み込むことで、日々の業務がより充実したものになるはずです。
視点を変え、可能性を広げる
失敗を「失敗」とみなさない意思
私たちは失敗を恐れがちですが、澤円氏は「失敗を失敗とみなさないのは『意思』による」と述べています。
失敗を失敗とみなさないのは「意思」によるということです。これは失敗だけではなく、自分が抱える悩みや思い込みに対して、とらえ方を変えたいときにも使えます。何度も自分に言い聞かせればいいのです。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
物事の捉え方を変えるだけで、失敗が学びや成長の機会へと変わります。
短所は「ものさし」次第で長所になる
人から短所を指摘されて落ち込むことはありませんか？澤円氏は、その指摘が必ずしも正しいとは限らないと示唆しています。
だから、誰かに短所を指摘されたときは、なにをもって短所とされているのか、自分をメタ思考したほうがいいということです。そして、たいていの場合、短所と指摘されることは、「ものさし」を変えれば、短所でもなんでもない と知ることができると思います。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
「ものさし」を変えれば、短所が長所に見えることもあるのです。
余裕がメタ思考を可能にする
本書全体を通して、澤円氏が強調するのは「余裕」を持つことの重要性です。
本書で一貫してお伝えしてきたのは、自分の中にある種の「余裕」を持たせておく必要性です。結局のところ、余裕がなければビジネスやマネジメント、人間関係の状態を客観的に俯瞰することができないし、問題や課題に対して適切なアクションを取りづらくなります。余裕があるからこそ、メタ思考ができ、「外のものさし」で自分を眺めることができます。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
物理的な整理整頓も、心の余裕につながるとのこと。
事務所ではできる限り床に物を置かないようにして、平面がたくさん見えるようにしています。そのように視覚的に整理された状態をつくっていると、それだけでも気持ちが落ち着いてメンタルヘルスにとっていいそうです。
引用:『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』
心に余裕を持つことで、客観的に自分や状況を捉え、適切な行動を取る「メタ思考」が可能になるのです。
『メタ思考～「頭のいい人」の思考法を身につける』は、私たちの思考の枠を外し、より自由に、そして建設的に生きるためのヒントを与えてくれます。あなたも「メタ思考」を身につけて、自分の人生を「毎日優勝」させてみませんか？
コメント