一流店長が実践する!スタッフのモチベーションUP術と顧客満足度向上への道

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店舗運営の成功は、店長のリーダーシップに大きく左右されます。特に、スタッフのモチベーション維持と顧客満足度の向上は、継続的な売上成長に不可欠です。

この記事では、岡本文宏氏の著書『店長の一流、二流、三流』から、一流店長が実践する「人」を活かす秘訣を具体的にご紹介します。

明日からの店舗運営に役立つヒントがきっと見つかるはずです。


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スタッフの「やる気」を引き出すマズローの5段階欲求説

一流店長は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱する5段階欲求説を理解し、スタッフの欲求段階に合わせたアプローチでモチベーションを引き出します。

一番低次の欲求は『生理的欲求』と呼ばれる〝食べたい・寝たい〟など人間として生きていくための基本的な欲求です。

第 2の階層の欲求は、危険から身を守り、安全、安心に生活したいという欲求です。

そして、第 3階層は集団帰属の欲求と呼ばれるもので、「仲間外れにされたくない」という思いを満たそうとするものとなります。

入社したばかりの新人であれば、入社直後に歓迎会を行ってもらったり、既存のスタッフから声をかけられるなどすることで、このニーズが満たされます。そうすれば、新人もモチベーションを高い状態で維持することができるようになります。

第 4階層の欲求は、周りから必要とされ、価値ある存在と認められることで満たされる『承認欲求』です。特に、入社後、年数が経過しているスタッフや、現場のリーダー層のスタッフがこの欲求を抱きがちです。  簡単な仕事ではなく重要なことを任せられたり、店長から「貴方がいるから本当に助かっている」「いつも支えてくれてありがとう」などのねぎらいや感謝のメッセージを受けとることで承認欲求が満たされ、やる気のスイッチがオンになります。

第 5階層は、以下の欲求が満たされたのちに生まれてくるもので、『自己実現の欲求』と呼ばれます。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

この考え方は、スタッフの成長段階や置かれている状況を理解する上で非常に重要です。

新入社員にはまず安心できる居場所を提供し、ベテランスタッフには責任ある仕事を任せて承認欲求を満たすことで、個々のモチベーションを最大限に引き出すことができると私は学びました。


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スタッフのモチベーション向上につながる実践的なアプローチ

具体的な褒め方でスタッフの行動を変化させる

褒めることは、スタッフのモチベーション向上に不可欠ですが、その「褒め方」にも一流と二流・三流の差があるようです。

褒めるときは漠然と「よかった!」などと抽象的に褒めるのではなく、「 ○ ○ ○がよかった!」「 ◇ ◇ ◇が素晴らしかった!」「 △△△なところがすごい!」という具合に、具体的に褒める対象を明確にして褒めることを意識しています。そうすれば、何に対して褒められたのかがわかるので、そのあとのスタッフの行動がよりよく変化することを知っているのです。

もう一つ、三流や二流店長がやりがちな『褒め方』の B ADケースをご紹介しておきましょう。「 ○ ○はよかったけれどそのあとの △ △はいただけないな!」というように、褒めたあとにお小言を言ったり、「今日の □ □は素晴らしかったので、明日もしっかり成果を上げてね!」と、要望をつけ足すことは NGです。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

ただ「良かった」と伝えるだけではなく、具体的に何が良かったのかを伝えることで、スタッフは自分の行動の何が評価されたのかを理解し、次へと繋げることができます。

褒めた後に注意点や要望を付け加えるのは、せっかくの褒め言葉の効果を半減させてしまうので気をつけたい点です。

個別ミーティングでスタッフの心とモチベーションを整える

一流店長は、個別ミーティングを単なる業務連絡の場ではなく、スタッフのモチベーション向上や心のコンディションを整える重要な時間と捉えています。

一流店長は、個別ミーティングを店の売上をつくるスタッフのモチベーションを高めたり、心のコンディションを整える時間であり、業績を上げるのに直結する最重要な業務であるととらえています。

スタッフマネジメントに長けた美容室アンドゥドゥのオーナーは、自分の最大の仕事はスタッフとミーティングをして、彼や彼女たちのことを理解し、信頼関係を築くことだと言い切ります。

繁忙期でも個別ミーティングを欠かさず行う理由は、それがスタッフのサービス向上につながり、リピート客が増え、エリア № 1の売上を誇る原動力になっているからです。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

スタッフ一人ひとりと向き合い、個別の状況を理解することで、信頼関係が構築され、結果的にサービスの質向上やリピート客増加に繋がるという点は、すべての店長が意識すべき点だと感じました。

朝礼を活性化させ、承認欲求を満たす

朝礼は、連絡事項の共有だけでなく、スタッフのモチベーションを高める重要な機会です。

朝礼の時間に行うべきことは、連絡事項を伝えることだけではなく、そこに参加するスタッフが自分の意見や思いを伝えることであり、頑張っている人を承認することです。

具体的には、その日 1日の各自の目標を決め、それをどう達成するのかを発表していきます。

また、店長は前日にスタッフがどう頑張っていて、どういうところがよかったのかを伝えます。顧客からお褒めの言葉をいただいたら、そのことについても触れていきます。

そうやって、各自の行動に焦点を当てて、フィードバックしていけば、それぞれが主役になることができます。それにより、『承認欲求』( Chapter 1やる気アップ参照)が満たされ、仕事に対するモチベーションが上がります。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

スタッフが自分の目標を共有し、店長が日々の頑張りを具体的に評価することで、スタッフの承認欲求が満たされ、仕事への意欲が高まります。

朝礼の時間を有効活用することで、店舗全体の活気にも繋がるでしょう。


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顧客満足度向上と売上最大化の秘訣

顧客視点での店舗チェックとクレーム対応

一流店長は、常にお客様の視点に立ち、店舗を見つめ直す努力を怠りません。

一流店長は 1日数回、店外に出てお客様になりきって店全体を見るようにしています。

まず、通行客と同じスピードで歩きながらお客様からどう見えているのかをチェックします。そのあと、確認すべき箇所をまとめたチェックシートを活用して細かく見回ります。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

また、クレーム対応においても、初動対応の重要性をスタッフに徹底して教え込みます。

一流は初動対応が大切と考え、自分がいないときでもしっかり対応できるように、新人教育のなかに『クレーム対応』の項目を入れて、その場でどう対処するのかを教え込みます。大手企業のお客様相談室のデータによると、初動対応により 95%のクレームは解決するとのこと。誰でもきちんと初動対応ができることが重要です。

その際、クレーム客の 9割以上が善意のお客様であることも伝えます。その人にとってどうでもいい店なら、わざわざクレームを伝えません。クレームのなかには「今後も安心して使いたいので改善してほしい」という思いが隠れていることを教えていきます。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

クレームを単なる苦情と捉えるのではなく、「改善してほしい」というお客様の善意と捉える視点は非常に重要です。適切な初動対応は、お客様の信頼を回復し、リピートに繋がる可能性を秘めています。

万引き対策にも「人」の力を

万引き被害は店舗にとって深刻な問題ですが、一流店長は単に防犯カメラを設置するだけでなく、お客様とのコミュニケーションを重視することで万引きを未然に防ごうとします。

一流はそれに加えて、〝お客様とのコミュニケーションが希薄な店は万引きが発生するリスクが高くなる〟と考え、入店時の挨拶の強化やお客様への声がけを積極的に行い『万引きしようと思わせない』空気づくりを徹底しています。

入店したときに目を見て笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけられたとしたら、その店で悪事を働こうという気分にはなりにくいものです。でも、お客様の目を見ながら「いらっしゃいませ」と声がけができている店は少数派です。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

「いらっしゃいませ」の一言も、目を見て笑顔で伝えるだけで、お客様に与える印象は大きく変わります。

これにより、万引きを思いとどまらせる「空気」を作り出すことができるという点は、私にとって新たな発見でした。

データと「人」の観察で売上を最大化する

POSデータは過去の情報であり、それだけでは現在の状況やお客様のニーズを正確に把握することはできません。

POSレジで収集される情報は商品の販売実績のデータです。いわば、過去の情報です。商品によっては、昨日売れたけれども今日は売れないというモノもあります。 POS情報だけを見てすべてを判断してしまうのは一流とは言えません。  一流店長は POS情報に加えて、現場でお客様が「〝どのように〟商品を購入したのか?」もしくは「買わなかったのか?」などの情報収集を行います。商品が売れたと言っても、他の商品が売り切れていたので、その代替えとして購入する客が多かったのであれば、それはヒット商品とは言えません。もし、販売データだけを見て、「売れ筋」だと思い、発注量を増やしたら、売れずに多くの不良在庫を抱えてしまうことになります。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

一流店長は、POSデータと合わせて現場でのお客様の行動や心理を深く観察することで、真のニーズを捉え、適切な商品戦略を立てます。データだけでは見えてこない「なぜ売れたのか」「なぜ買わなかったのか」という背景を理解することが、売上向上に繋がると言えるでしょう。

考える力を育む質問力

一流店長は、スタッフに指示命令するだけでなく、質問を通じてスタッフ自身の考えを引き出し、成長を促します

一流店長は、「笑顔で接客をしなさい」というように、マニュアルで定められていることを指示命令するのではなく、スタッフへ「なぜ、笑顔でお客様に接しなければならないのか?あなたの考えを教えてほしい」と質問します。

そうすると、「お客様が気持ちよく買い物ができるから」「感じのいい店と思ってもらえるから」「また来たいと思ってくれるので売上が上がるから」などと、スタッフが答えることになります。

スタッフが自ら笑顔で接客をしなければならない理由について答えたあとで、一流店長は、笑顔で接客することで、スタッフ自身が受けとることができるメリットを伝えます。「お客様に笑顔で接すれば、目の前のお客様も笑顔で接してくれます。そして、その笑顔がとびっきりステキだったら、あなたの接客に対して〝ありがとう〟と言ってくれるようになります。自分の笑顔は鏡のように、あなた自身に戻ってくるので、結果として気持ちよく働くことができるようになる。だから、笑顔で接客するとお客様にも、あなたにもメリットがあるんだよ!」

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

また、「どうすれば売れると思う?」などの漠然とした質問は避け、「客単価を上げるアイデアを 20個考えてくれる?」「売れているスタッフと自分の販売方法にどういう差があると思う?」などというように焦点を絞り、具体的に質問していきましょう。

こちらが投げかける質問が具体的であれば、スタッフの答えも具体的なものとなります。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

「なぜ」という問いかけや、具体的な課題を提示して考えさせることで、スタッフは自ら問題意識を持ち、解決策を導き出す力が養われます。これは、単に業務をこなすだけでなく、主体的に仕事に取り組む姿勢を育てる上で非常に効果的だと感じました。

「人」の力が生み出す最高の顧客体験

現代社会において、AIやシステムによる効率化が進む中でも、最終的に売上に大きく貢献するのは「人」の力であると著者は述べています。

そのようにシステマチックに商品をお薦めされたとしても、買い物が楽しいと感じることはなく、売上はさほど増えていかないはずです。

実際、 Amazon. comのレコメンドシステムで薦められた商品を見て、驚いたり、ワクワクしたことがあるという経験をお持ちの方は多くはいないでしょう。

いくらシステマチックに進歩しようとも、売上に大きく貢献するのは、結局、人の力なのです。

ところで、あなたはお客として店舗に行き、スタッフと会話をしていくなかで、新たな発見をしたり、思いもよらない商品を薦められて、新しい楽しみを見つけたことはありますか?

少し大げさですが、それがきっかけで人生が変わったという経験を持っている人は、けっこう多いものです。

そういう心が揺さぶられるような体験をお客様に提供することができるのは、 AIがさらに発達した時代になろうとも『人』でしかなせない業であると私は考えます。そして、そういうことができる店を創り出せるのが一流店長なのです。

引用:『店長の一流、二流、三流』岡本 文宏著

お客様との会話の中から新たな発見を提供したり、期待を超える提案をすることで、お客様の「心が揺さぶられるような体験」を生み出すことこそが、店舗の価値を高め、リピートに繋がるのだと改めて認識しました。

AIにはできない、人だからこそ提供できる価値を追求することこそが、一流店長に求められる資質なのでしょう。


一流店長は、単に売上を追求するだけでなく、スタッフのモチベーションと成長を促し、お客様に最高の体験を提供することに注力しています。

これらの視点を取り入れることで、あなたの店舗も大きく変わるかもしれません。

これらの「一流店長」の視点、あなたの店舗ではどれくらい実践できていますか?

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