『販売の一流、二流、三流』に学ぶ!お客様に選ばれる販売員の極意

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販売の仕事に携わる方なら、誰もが「一流の販売員」になりたいと願うのではないでしょうか。

しかし、「一流」とは単に売上を上げることだけを指すのではありません。

柴田昌孝氏の著書『販売の一流、二流、三流』から、お客様に本当に選ばれる販売員の秘訣を探ります。

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一流の販売員とは?

『販売の一流、二流、三流』では、一流の販売員について明確な定義が示されています。

「一流の定義が「単に成績」だけではないことを証明しています。  では、「一流の販売員」の定義とは何でしょう?  それは、「売上」と「お客様満足」の両立です。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

単に商品を売るだけでなく、お客様が心から満足することが重要だということです。

お客様が「買いたい」と思って来店されているという本質を理解し、お客様の喜びが購入という結果につながることを一流の販売員は知っています。

「例外なくお客様は、買いたいから来店されるのです。としたならば、お客様の喜びは購入以外ないと思いませんか?

だからこそ一流は、お客様が満足した結果が売上になっていると考えています。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

そして、一流の販売員は特別なことをしているわけではありません。

「「特別なことはしていないのですが……」という言葉は、何も謙虚だったり、売れる秘訣を隠しているわけではありません。誰もができないサービスなどはやっていないのです。一流は本当に、特別な「何か」をしているという意識がありません。つまり、「当たり前のこと」を誰よりも忠実にやっているだけなのです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

この「当たり前のことを徹底する」という考え方は、加賀屋のサービスにも通じます。

「私たち、加賀屋は特別なことはしていません。

当たり前のことが抜けることがないように、最善を尽くしています。

なぜなら、サービスはかけ算と一緒で、どこかに1つでも、ゼロやマイナスがあれば、すべてがゼロかマイナスになってしまうからです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著


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お客様目線のアプローチ術

お客様に快適な買い物体験を提供するためには、アプローチの仕方も重要です。

まず、お客様が来店してすぐに声をかけるのは避けましょう。

「○アプローチは、パーソナルタイムを避ける

お客様は、入店してすぐに声をかけられると、それがどんなに素晴らしい声かけであろうとも不快感を持ちます。お客様が慣れるまでの時間が必要です。その時間を心理学で、パーソナルタイムと呼びます。だいたい 30秒程度です。お客様がよほど特別な状態をのぞき、その時間はアプローチ禁止と心得ておきましょう。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

また、お客様との距離感も意識が必要です。

「○アプローチは、パーソナルスペースには入らない

パーソナルスペースとは、心理学で言う「なわばり領域」。すなわち、他人に踏み込まれると不快に感じる距離です。一般的には人間関係の親密度によって、その距離は変わります。当然、恋人なら最も近く 0センチ。販売員とお客様の距離は、一般的に 1・ 5メートル程度(両手を広げた距離以上)です。ですから、その距離外から声かけするようにしましょう。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

いきなり店員さんに近づかれると「買わされる!」という思ってしまいます。適切な距離感が大事です。

さらに、アプローチでいきなり質問攻めにするのはNGです。

「○アプローチでは、聞き出すような質問はしない「何かお探しですか?」という質問の声かけは、もはや死語と化していますが(笑)、アプローチの最初から質問するのは避けましょう。心理学の見地からも、初対面の他人に質問されると警戒心を抱き、余計に答えてもらえないという作用が働きます。「店奧に違ったタイプもございます」といった、まずは優しい笑顔と優しい口調で警戒されないトークをします」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

一流の販売員は、最初から好反応を期待せず、肩の力を抜いてアプローチしています。

「一流の販売員は、最初から好反応を期待していません。だから、できるだけ肩の力を抜き、気軽にアプローチをしています。皮肉にもそっちのほうが成功率が高かったりするのです。ここが対人コミュニケーションのおもしろいところです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

そして、最も重要なのは「お客様を品定めしない」こと。

「どんなお客様でも、何かしらの目的があるから入店される」という絶対的な本質があるからです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

どんなお客様も下見なのか、家族の買い物など様々な理由でいらっしゃっています。女性が明らかに自分用ではない商品を見ていてもスルーなどせず適切なタイミングでお声かけしましょう。

お話を聞いてみると入院中の旦那様の買い物だったりすることもあります。

「一流の販売員とは、どんなお客様であろうと、そのお店に求めてくる方へベストの奉仕をする販売員です。話しやすそうな方や買いそうな方ばかりに声をかけるのは、三流や二流です。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著


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お客様の心理に寄り添う接客

お客様が「今日は買わない」という警戒心を持っている場合でも、一流の販売員はそれを受け止めます。

「お客様の【今日は、買わないから】【今日は、下見だけね】【まだ、買うかさえ決めてない】という警戒心から繰り出される言葉に対して、快く対応することに尽きます。要するに「まずは下見に来ただけだから、買いに来たと思われたくない」というお客様の心理を理解できるかどうかということです。

具体的に言うと、お客様の下見の不安を吹き飛ばしてあげられる安心感を言葉にするのです。「もちろんです。今日は、ゆっくり、下見していってくださいね!」と言いきれること。これを私は、「下見の承認行為」と呼んでいます。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

雑談をする際も、お客様が興味を持つ話題を見つけることが大切です。

「お客様がのってくるような話題を見つけて心の距離を縮められるのが、一流の販売員です。

ぜひ、お客様をよく見て、お客様が一番こだわっているところを見つけ出してください。そこが、雑談ポイントです!」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著


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提案の引き算と試着への誘導

商品を提案する際、一流の販売員は「引き算」を意識します。

「一流の販売員は絶対に引き算です。「たくさんお見せしましたが、この中でも ○ ○は今ご購入しなくてもいいと思います。でも □ □は、今日しかない商品なのでおすすめします」

このように、たくさんお見せした商品の中から、おすすめしないものを理由を述べながら引いていき、おすすめしたい商品をより明確にします。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

やみくもに商品をすすめるのではなく、お客様の好みや予算をヒアリングし、最適な商品を厳選して提案する姿勢は、まるでソムリエのようです。

「ソムリエのおすすめ接客の最初は、ワインの解説や知識からはじまるわけではありません。

最初は、お客様のヒアリングからはじまります。お客様の好みのタイプ、苦手なタイプ、希望のタイプ、今日頼まれたお料理、最後に予算。これだけ聞いて、ワインセラーに入ります。そして、何百本から選び抜いた 1本を持ってきて、今度はソムリエによるワインの説明(提案)がはじまります。

そしてワインが断られることは、ほぼありません。何ゆえだと思いますか?

それは、予算も含めてお客様のヒアリング(情報)がベースになって選ぶからです。たった 1本ですが、お客様のために選んだ 1本として最強の説得力があるのです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

また、試着を促すことの重要性も強調されています。

「販売において、試着をするかしないかで、買い上げ率は 3倍違うと言われています。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

試着へのハードルを下げるために、お客様に理由を付け加える「カチッサー効果」が有効です。

「「よろしかったら、『下見』として、試着されませんか?」

と「下見」という理由を付けてあげる。

今日は、買わないからと言われるお客様なら、「よろしかったら、『イメージを知る』という意味でも試着されませんか?」

といった具合です。

お客様の試着理由を付け加えるだけで、グッと試着承認率は上がります。

これには、ちゃんとした心理学的な裏付けもあります。理由を付けると行動しやすくなるという「カチッサー効果」と言われるものです。人は、相手に理由を付けてもらうと、安心して行動を起こせるのです。この安心してというのがポイントなのです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

試着をしてもらった後も、お客様が着用イメージを描けるように「もし(if)話法」を使うことで、具体的にイメージを膨らませることができます。

「このときに、売れる販売員が意識的に使っているのが、「 if(イフ)話法」と呼ばれる仮定話法です。お客様の頭に描いてもらうために、トークを「もし( if)〜」で、はじめるのです。「もし、お客様だったら、この洋服でどこに着て行ってみたいですか?」「もし、お客様だったら、このニットにどんなスカートを合わせますか?」「もし、この服でディズニーランドなんかに行かれたら、元気なイメージですごく映えますよ」

このようにすることで、お客様の頭にイメージを具体化することができます。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著


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お客様の不安を先回りして解消する

お客様が商品に対して抱くかもしれない不安を、先回りして代弁し、解消しておくことも一流の販売員の技です。

「このように「もしかして」と不安を先に代弁して、お客様が抱きそうな商品不安を言われる前に消しておきます。

このメリットは、お客様に安心していただく効果は当然ながら、先に言うことによってお客様の質問に対して商品を売りたいがために都合よく返答している、と思われなくする効果もあります。

また、先に不安を打ち消すことにより、ちゃんとお客様の悩みに寄り添った信頼感を生み出すことにも成功しています。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

また、お客様が「今日買っていいのか」というメンタル的な不安を抱いている場合も、その日の価値を伝えることで後押しします。

「一流の販売員は接客の最初の時点で「今日は、ちょうどフェアをやっているので、見ていただくにはいい日ですよ」と、今日という日の価値を上げる伏線トークをしています。いわゆる、「いい日である」という告知をして販売をはじめているのです。

これを伝えておけば、最終的に買うか、買わないかの土俵に商品があがったとき、「気に入っていらっしゃれば、今日買っておくと損しないと思いますよ」と、今日買うメリットを自信を持って伝えられます。一流が大切にしているのは、商品価値と同じくらい、今日という日の価値です。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著


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失敗から学び、感謝を忘れない

イチロー選手が語った「7割は失敗する」という言葉は、販売の現場にも通じます。

「打席の 7割は、失敗するわけですから、その 7割の失敗にどう向き合うか、その差が、一流と二流の差です。私がスランプに陥っているということは、まだ、その失敗にしっかり向き合えていない証拠です。まだまだ、私は、一流なんかじゃないですよ」」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

販売においても、多くの場合、お客様に購入いただけないことがあります。その「9割の失敗」にどう向き合うかが、一流と二流の差となるのです。

「販売でも、そのほとんどが、振られます(苦笑)。私の手元にデータはないのですが、私が経験してきたアパレル販売だと、 9割は振られるんじゃないでしょうか。買い上げ率は 1割ぐらいでしょうか。ゆえに、 9割の買っていただけなかったときにどう対応するか、その差が一流と二流の差なのです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著

そして、常に「ありがとう」という感謝の気持ちを忘れないことが重要です。「ありがとう」の反対語は「当たり前」です。

「この「ありがとう」の反対語ってご存知ですか?  答えは、「当たり前」です。

あなたが、もし「ありがとう」と言うことが習慣になっていないとしたら、それはあなたがいろんなことを「当たり前」と思っているからです。」

引用:『販売の一流、二流、三流』柴田 昌孝著


『販売の一流、二流、三流』は、お客様の心理を深く理解し、当たり前のことを徹底することこそが、一流の販売員への道であることを教えてくれます。日々の接客の中で、これらの教えを実践していくことで、お客様に真に選ばれる販売員になれるのではないでしょうか。

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