貧困問題の解決に挑む|グラミン銀行とマイクロクレジットの力

Book

貧困問題は世界共通の課題ですが、バングラデシュで生まれた一つの画期的な仕組みが、その解決に大きな光を当てています。それが、グラミン銀行によるマイクロクレジットの仕組みです。

スポンサーリンク

マイクロクレジットとは何か?常識破りの融資システム

 

グラミン銀行が導入したマイクロクレジットは、従来の金融の「常識」を打ち破るものでした。

それは、貧しい人びとを対象とする、無担保の融資の仕組みです。この常識破りの仕組みは「マイクロクレジット」と呼ばれ、その成功により、 途上国から先進国に向けて 普及しています。これによって、世界中の多くの貧しい人びとが、自分たちの「なれること」や「できること」を実現し、同時に、実現の可能性も広げてきました。

引用:『グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援』坪井 ひろみ著

 

貧困緩和のための少額融資

 

マイクロクレジットは、慈善事業としてではなく、あくまで融資として機能します。

マイクロクレジットとは、貧しい人びとを対象に、フォーマルな少額融資を行い、彼らの生活が成り立つように促す仕組みである。その目的は、貧困を緩和することである。

引用:『グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援』坪井 ひろみ著

貧しい人々を対象としているものの、これは慈善ではないため、借り手は利子を払うことになります。しかし、それは借り手を搾取するものではなく、適切な利子として設定されています。

 

担保に代わる「連帯責任」の仕組み

 

貧しい人々に無担保で融資を行うという点について、「返済は可能なのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。グラミン銀行では、独自の仕組みでこの問題を解決しています。

グラミン銀行の融資は、五人一組のグループを通して行われます。このグループが、事実上の担保の役割を果たします。

五人グループのうち、融資を受けただれかが、返済できなくなると、同じグループのほかのメンバーが融資を受けられなくなるため、連帯して返済について責任をもたなければならない。この仕組みが担保のかわりとなっている。

引用:『グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援』坪井 ひろみ著

これにより、グループ内で互いに監視し、助け合うという連帯責任が生じ、高い返済率を維持することを可能にしています。

 

スポンサーリンク

貧しい女性の自立支援とジェンダー課題

 

グラミン銀行の融資対象は、ほとんどが貧しい女性です。これは、女性が家計に収入をもたらすことで、家族全体の生活が改善され、貧困の悪循環を断ち切る強力な手段となると考えられているからです。

しかし、バングラデシュのような地域では、女性がお金に関わる行動が統計や調査に現れにくいという、社会的な背景があります。

バングラデシュでは、ほとんどの買い物は男性がする。(中略)このように、男性は家計の中心的な稼ぎ手であり、目にみえる消費の中心でもある。こうした理由から、さまざまな統計や調査は、男性の行動をあらわしているものが多く、女性の「お金」に関する行動は、なかなかみえてこない

引用:『グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援』坪井 ひろみ著

マイクロクレジットは、こうした社会のなかで、女性が経済活動に参画し、家計における発言権や自立の可能性を広げる一歩となっています。

 

根深い社会慣習|児童婚

 

女性の貧困や自立を考える上で、バングラデシュの農村部などで見られる児童婚という社会慣習も無視できません。

児童婚は、早婚を是認する社会規範を背景としている。少女は初潮を迎えると成人とみなされ、純潔のまま、できるだけ早く結婚するように促される。(中略)女性の初婚平均年齢は、一九九六年以降に二〇歳を超えた。農村部は都市部より早婚の傾向が強いため、平均はこれより低くなるだろう。

引用:『グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援』坪井 ひろみ著

マイクロクレジットによる女性の経済的自立は、教育の機会の確保や、結婚年齢の上昇といった社会変革にも間接的に貢献し、女性たちが自分たちの「なれること」や「できること」を実現する可能性を広げています。


グラミン銀行のマイクロクレジットは、貧困層を搾取の対象とせず、彼らが自らの手で生活を立て直すための機会と信頼を提供しました。その成功事例は、今や世界中に広がり、貧困問題解決のための強力なツールとして認識されています。

コメント