私たちは皆、人生をより良く生きたいと願っています。しかし、具体的にどうすれば「うまくいく」人生を送れるのでしょうか?精神科医の和田秀樹氏の著書『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』には、そのヒントが満載です。本書から、今日から実践できる「明るい人」になるための科学的なアプローチをご紹介します。
笑顔がもたらす心身の健康効果
「明るい人」と聞いて、まず思い浮かぶのは「笑顔」ではないでしょうか。和田氏は、笑顔の重要性を科学的な視点から指摘しています。
近年の研究によって、こうした健康面のメリットは「作り笑顔」でも同じ効果が得られることがわかっていますから、意識的に笑顔を心がけるだけで、心身共に健康に一歩近づくことができるのです。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
笑顔は、単なる感情表現にとどまらず、私たちの心身に良い影響を与えます。たとえ気分が乗らなくても、意識的に口角を上げるだけでも効果があるというのは、手軽に始められる素晴らしい習慣ですね。
「めげずに試し続ける」ことの重要性
人生を好転させる上で欠かせないのが、困難に直面しても諦めずに挑戦し続ける姿勢です。
ビジネスの世界の成功者に限らず、人生が最終的にうまくいく人というのは、いろいろなことを「めげずに試し続ける人」だと思います。 めげずにというのは、何の根拠もなく楽天的に考えることではなく、「勝つことがあれば、負けることもある。だけど、結局は勝つことでしか前には進めない」ということを知っているということです。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
この言葉は、単なる楽観主義ではなく、現実を認識した上での粘り強さが成功の鍵であることを示唆しています。失敗を恐れずに挑戦し、そこから学びを得ることが、私たちを前進させる原動力となるのです。
トヨタに学ぶ「カイゼン」の精神
「めげずに試し続ける」という考え方の好例として、和田氏はトヨタの「カイゼン」を挙げています。
トヨタといえば、世界的に知られた大企業ですが、そこで日々、繰り返されている「カイゼン」は、「今よりもよくなる」という考え方のお手本になります。 漢字で書く「改善」には「悪いところをよく改める」という意味がありますが、トヨタはカタカナの「カイゼン」と表記することで「現状に満足せず、今よりもっとよくする」という意味を込めたといいます。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
「カイゼン」は、現状維持ではなく、常に「もっと良くする」という向上心の表れです。これは、仕事だけでなく、日々の生活や自己成長においても取り入れたい考え方ですね。
過度な心配は不要、現実的なリスク認識を
私たちは、時に必要以上にリスクを恐れてしまうことがあります。和田氏は、統計に基づいた現実的なリスク認識を促しています。
文部科学省が発表した国内事故統計に基づく推計(1983~2002年)によれば、ひとりの人が今後 30 年以内に航空機事故に遭遇して死亡する確率は「0・002%」です。 交通事故で死亡する確率は「0・2%」ですから、100分の1以下となります。 精神科医としては、あまりにも起こる確率が低いことを心配しすぎる人には、何らかの病気を疑います。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
高齢者が1万人にひとり死亡事故を起こすからといって、全員に免許を返納させたら、要介護率は現在の2・2倍に増えると予想されていますから、こちらの問題の方がむしろ心配になります。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
同じことは、すでにコロナ禍でも始まっています。 高齢者が自宅から外に出なくなり、人と話をする機会が減ったことで、「歩行機能」と「認知機能」が低下して、5年後くらいには要介護者の数が200万人は増えると見られているのです。引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
これらの引用は、客観的なデータに基づいてリスクを評価することの重要性を教えてくれます。過剰な心配は、かえって私たちの行動を制限し、健康や生活の質に悪影響を及ぼす可能性があります。
ストレスとの向き合い方と配慮の重要性
ストレスは、誰もが経験する感情ですが、その受け止め方は人それぞれです。
体調や物ごとの受け止め方、物の見方によって、ストレスの程度が違ってくる。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
この言葉は、ストレスは客観的な事象だけでなく、私たちの内面的な状態によっても大きく左右されることを示しています。自分の体調や心の状態を理解し、適切に対処することが大切です。
また、周囲への配慮も重要です。
人に不機嫌そうに思われても、気まずくなるだけです。「今日はあまり調子がよくないな」と気づいたら、すぐに説明をするくらいのちょっとした配慮が必要です。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
自分の状態を正直に伝えることで、人間関係の摩擦を減らし、よりスムーズなコミュニケーションを図ることができます。
「科学的根拠」への盲信に注意
現代社会では「科学的根拠」が重視されますが、その情報源を吟味することも大切です。
日本の多くの医者は、「食事制限にはエビデンス(科学的根拠)がある」と主張しますが、じつは、そのエビデンスはほとんどアメリカのものです。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
「科学がこう言っている」というのを信じて、誰もが我慢の生活を続けていますが、今の我慢が人を健康にすることはありません。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
これらの引用は、情報を受け取る側のリテラシーの重要性を訴えかけています。すべてを鵜呑みにするのではなく、その背景や文脈を理解しようとすることが、真に健康で豊かな生活を送る上で必要不可欠です。
意外な視点:タバコと自殺
少し驚くような引用もありました。
東京の山手線で自殺した人の追跡調査をすると、喫煙者はほとんどいないそうです。タバコを一服すると、自殺する気持ちが意外と収まるといいます。
引用:『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』和田秀樹著
これは、必ずしも一般的な健康観に当てはまらない側面があることを示唆しています。もちろん、喫煙を推奨するものではありませんが、人間の心の複雑さや、常識だけでは測れない部分があることを教えてくれます。
和田秀樹氏の『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』は、単なる精神論ではなく、科学的な知見に基づいた実践的なアドバイスが満載です。笑顔を心がけ、めげずに挑戦し、現実的なリスク認識を持ち、自分と他人への配慮を忘れず、そして情報を鵜呑みにしないこと。これらのヒントを日々の生活に取り入れることで、あなたの人生もきっと「明るい」方向へと向かうでしょう。
この本を読んで、あなたは何を実践してみたいと思いましたか?
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