「怒り」という感情は、誰にとっても身近なものです。しかし、その感情が湧き上がったとき、どのように扱えばいいのか、そしてそれを相手にどう伝えればいいのか分からず、戸惑ってしまうことはありませんか? 今回は、アドット・コミュニケーション㈱代表取締役であり、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実氏の著書『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』から、怒りの感情との向き合い方、そしてそれを上手に相手に伝えるためのヒントをご紹介します。
怒りは感じてもいい、そして表現してもいい
「怒り」と聞くと、ネガティブな感情だと捉えがちですが、戸田氏は「怒りは感じてもいい」と述べています。
1 怒りは感じてもいい
2 怒ってもかまわない
3 怒りは悪い感情ではない
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
怒りを感じること自体は、決して悪いことではありません。大切なのは、その感情にどう向き合い、どう建設的に表現するかです。
イライラに巻き込まれない・発信源にならないために
日常生活で、他人のイライラに影響されて自分までイライラしてしまったり、無意識のうちに自分がイライラの発信源になってしまったりすることはありませんか? 戸田氏は、これらを防ぐための心構えを説いています。
・他人のイライラが伝染して、こちらまでイライラしない
・自分自身がイライラの発信源(震源地)にならない
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
自分の感情をコントロールし、イライラに振り回されないためには、まず自分自身の心の状態を理解することが重要です。
「わかってもらえない」を前提に伝える
私たちは、身近な相手ほど「言わなくてもわかるだろう」と考えがちですが、実はこれが誤解を生む原因になることもあります。
・長く一緒にいても、自分とは違う人間
・違う「べき」をもっている
・身近な相手でも、言わなくてはわかってもらえないと心得る
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
人はそれぞれ異なる価値観や考え方を持っています。相手に期待する行動がある場合は、きちんと自分の言葉で伝えることが、良好な関係を築く上で不可欠です。
相手を傷つけずに伝えるための言葉選び
怒りを伝える際に最も難しいのが、相手を傷つけずに、かつ自分の意図を正確に伝えることです。特に、性別によって配慮すべきポイントがあると戸田氏は指摘します。
男性への伝え方
男性にはプライドがあるので、自尊心を傷つける言葉は厳禁 です。「こんなこともわからないの?」「こんなこともできないの?」は絶対にNG。「こうしてほしかったんだよね」と伝えるだけで十分です。
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
男性に対しては、相手のプライドを尊重し、責めるような言葉ではなく、具体的な要望を伝えることが効果的です。
女性への伝え方
女性に対しては、対等に話ができる関係を築くことが大切 です。 一方的に決めつけて指示したり責めたりするのが逆効果なのはもちろんのこと、「みんながこう言っていたぞ」という言葉は絶対にNG。「自分以外が敵なんだ」と思わせてしまうと、疎外感を感じて良好な関係を築けなくなってしまいます。 女性は、「自分の考えをわかってもらいたい」という思いが強い傾向があるので、「そうだよね。あなたはここまでがんばってきたんだもんね」という共感を大切に、対等な関係づくりを心がけましょう。
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
女性に対しては、共感を示し、対等な立場で話し合う姿勢が重要です。「みんなが言っている」というような伝聞形式は避け、相手の気持ちに寄り添うことが大切です。
具体的な「伝え方」のヒント
怒りや不満を伝える際、どのように言葉を選べば良いのでしょうか。戸田氏は具体的なシチュエーションを例に挙げて説明しています。
相手に改善を求める場合
何について、なぜ叱るのか、どのように改善してほしいのを伝える 「企画書の提出日時のことで話があるのだけど、今いいかな?今回、提出期限が遅れているよね。約束した期限は守ってもらいたいんだよね。そうしないと、その企画書を待っているお客さまとの約束を破ることになるよ。それによってお客さまの信頼を失うことも考えられるから」
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
具体的に何が問題で、なぜそれが問題なのか、そしてどう改善してほしいのかを明確に伝えることが重要です。
注意を促す場合
「就業時間中は、仕事に集中してくれないかな。おしゃべりは休憩中にしてね」
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
「職場では、立場が違うのだから、その言葉づかいではなく、敬語を使ってほしいんだ。ほかの部下やお客さまも、それを聞いたときに、あなた自身の評価が下がってしまうことも考えてね」 「職場では、あだ名ではなく、〇〇さんと呼んでくれないかな」
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
状況と、それによって考えられる影響を簡潔に伝え、具体的な行動を促します。
伝えることの「意図」を明確にする
相手に伝えにくいことを話すとき、その意図を明確にすることで、相手は受け入れやすくなります。
「あなたの今後のことを期待しているし、大切な一員だと思っているから、あえて言いにくいことを伝えているんだよ。それはわかってほしいな」 「どうでもいいと思っていたら、こんなことは言わないよ」
引用:『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著
相手への期待や大切に思っている気持ちを伝えることで、建設的な対話に繋がりやすくなります。
まとめ
戸田久実氏の『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』は、怒りの感情と上手に付き合い、それを建設的に伝えるための具体的なヒントを与えてくれます。怒りを感じること自体は自然なことですが、その表現の仕方によって、人間関係は大きく変わります。ぜひこれらのヒントを参考に、より良いコミュニケーションを築いていきましょう。
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