虫歯になったら削るのが当たり前。多くの人がそう考えているでしょう。
しかし、『名医は虫歯を削らない』では、その常識に疑問を投げかけています。虫歯は自然治癒する可能性があること、歯をできるだけ削らず残す考え方、食生活や生活習慣が歯に与える影響など、従来とは異なる視点が数多く紹介されています。
本記事では、本書の内容をもとに印象的だったポイントをまとめました。なお、本書には一般的な歯科医療とは異なる見解も含まれています。実践する際は、複数の情報源や歯科医師の意見も参考にしてください。
虫歯は自然に治る可能性がある
本書で最も衝撃的だったのが、「虫歯は自然に治ることがある」という考え方です。
皮膚にできた傷がいつか自然に治るように、虫歯は放っておけば自然に治るのです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
著者は、初期の虫歯であれば体が本来持つ修復能力によって改善する可能性があると説明しています。
また、実際の症例として次のような例も紹介されています。
聞けばSさんは、どうしても歯医者に行きたくなかったため、痛みが出ないよう冷たいものや甘いものを避け、歯磨きのときも神経が出ている場所には触れないよう気をつけていたといいます。皮膚の傷も、触りすぎると治りが悪くなってしまうため、できるだけ触れないようにするのが原則です。それと同じで、歯も外からの刺激をほとんど受けなかったため、虫歯が自然に治ったのです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
もちろん、すべての虫歯が自然に治るという意味ではありませんが、「削るしかない」という考え方だけではないことを知るきっかけになります。
子どもの歯はできるだけ削らないという考え方
本書では、子どもの永久歯を早期に削ることへのリスクも紹介されています。
実は海外では、20歳以下の子どもの歯は削ってはならないというのが常識になっています。なぜなら成長期の子どもの永久歯を削ってしまうと、30歳までに抜歯することになる確率が大変高いということが、統計的にも明らかになっているからです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
歯は一度削ると元には戻りません。
そのため、できるだけ歯質を残すことが将来の健康につながるという考え方です。
保険制度が「削る治療」を後押ししているという指摘
著者は、日本の保険制度についても問題提起しています。
現在の医療保険制度では歯を削らないと診療報酬がもらえないため、削らざるを得ないのです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
さらに、
予防歯科は保険の対象外なので、患者さんの負担は高額になります。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
と述べられており、予防より治療に重点が置かれやすい制度になっていると指摘しています。
食後すぐの歯磨きは逆効果になることも
本書では歯磨きのタイミングにも触れています。
実は食事をして歯に付いた酸性の食べものは、歯の表面にあるエナメル質をやわらかくする性質があります。しかし唾液には口の中を中和し、エナメル質を再び修復する再石灰化の作用があるため、30分も経てば元の状態に戻ります。ところが食後すぐに歯を磨いてしまうと、まだやわらかいエナメル質が削り取られるばかりか、再石灰化も途中で妨げられることになります。その結果、エナメル質に穴が開いてしまうのです。そのため私は、食後すぐではなく、30分以上経ってからの歯磨きをおすすめしています。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
食後30分ほど待ってから磨くという考え方は、近年の歯科でも酸性飲食後に推奨されるケースがあります。
虫歯予防で最も重要なのは砂糖を減らすこと
本書では、虫歯の原因として砂糖を重視しています。
虫歯は歯の表面からだけでなく、体の内側からも進みます。つまり虫歯を予防するためには、食事内容や生活を見直す必要があるのです。中でも砂糖を摂らないことは、非常に重要で、砂糖をやめれば、虫歯の約9割は予防することができると考えています。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
また、小学校などで行った調査結果として、
虫歯の多い患者さんや子どもたちは、砂糖を含む食品を非常に多く食べているということです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
とも紹介されています。
意外と砂糖が含まれている食品
本書では次のような食品が挙げられています。
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ワサビ
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缶コーヒー
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調味料
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コンビニ食品
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日本のパン
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麺類の汁
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タバコ
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市販の漬物
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一部サプリメント
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糖衣錠
普段あまり意識しない食品にも砂糖が使われていることに驚かされます。
ストレスや薬も虫歯に影響する
著者は虫歯の原因を糖分だけでは説明できないとしています。
ストレスについては、
同じ食生活をしていても、お兄さんはストレスによって「象牙質液体移送システム」が止まったり逆流したりすることが多いため、虫歯がたくさんできてしまったと考えられます。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
また薬についても、
薬には、副作用として唾液が出にくくなる「口渇」があります。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
唾液は虫歯予防に重要な役割を果たすため、口の乾燥は注意したいポイントです。
ドックベスト療法という選択肢
本書では、歯を削らずに虫歯菌を抑える治療法としてドックベスト療法も紹介されています。
ドックベスト療法とは、アメリカで開発されたもので、ドックベストセメントという薬を使います。成分には、殺菌作用のある銅2%と鉄1%、そして複数のミネラルが含まれており、虫歯の穴に詰めることで、虫歯菌を死滅させ、歯の再石灰化を促してくれるのです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
現在も実施している歯科医院は限られていますが、歯を保存する考え方の一つとして紹介されています。
歯の健康は全身の健康につながる
本書では、歯の本数と医療費の関係についても紹介されています。
歯の残存本数が20本以上の方の年間平均医療費が36~37万円であるのに対し、10本以下の方はなんと47~54万円!つまり失われた歯が少ない方は、健康な方が多く、失われた歯が多い方は体の病気を抱えている確率も高いということです。
引用:『名医は虫歯を削らない』小峰一雄著
歯を残すことは、単に食事を楽しむだけでなく、健康寿命にも関わる重要なテーマだと感じました。
まとめ
『名医は虫歯を削らない』は、「虫歯は削るもの」という固定観念を見直すきっかけになる一冊でした。
特に印象に残ったポイントは次のとおりです。
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初期虫歯には自然治癒の可能性があるという考え方
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歯はできるだけ削らず残すことが重要
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食後30分後の歯磨きが推奨されている
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砂糖の摂取量を減らすことが最大の予防になるという主張
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ストレスや薬、生活習慣も虫歯に影響する
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歯の健康は全身の健康にもつながる
なお、本書には一般的な歯科医療や現在の診療ガイドラインと異なる見解も含まれています。虫歯の治療や予防については、本書を一つの考え方として参考にしつつ、信頼できる歯科医師とも相談しながら判断することが大切です。
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