「孤独」はネガティブなものだと思われがちです。しかし、本当にそうなのでしょうか。
『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』で田中慎弥氏は、孤独とは人とのつながりを断つことではなく、「自分の頭で考えるための時間」であり、同調圧力や情報社会から自由になるための武器だと語っています。
本記事では、本書で特に印象に残った言葉をもとに、孤独の価値、自分で考える重要性、AI時代の生き方について紹介します。
思考停止した瞬間、人は「奴隷」になる
私たちは会社、世間、SNS、流行など、さまざまなものに影響されながら生活しています。
問題なのは影響を受けることではなく、自分で考えることをやめてしまうことです。
「そこから抜け出せる可能性はあります。多少の困難を伴うかもしれませんが、自分の人生を取り戻すのだ、生き方はみずから選ぶのだという自覚を持てば、変わっていけるかもしれません。奴隷のままでいたくなければ、少し自分自身の頭を使って考えてみるのはどうでしょう。自分の頭で考える──。このシンプルにして味わい深い営みが、奴隷状態から抜け出すポイントだとわたしは考えます。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
著者は「奴隷」とは誰かに支配されている人ではなく、自分で考えることを放棄した人だと述べています。
思考停止こそ最大のリスク
「つまり取り巻く環境や状況の如何にかかわらず、思考停止に陥っていれば、また物事を考えるのが億劫になっていれば、あなたはすでに奴隷であるといえる。『奴隷』とは、有形無形の外圧によって思考停止に立たされた人を指すのです。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
考えることをやめた瞬間、自分の人生を他人に委ねてしまいます。
だからこそ、孤独な時間は思考を取り戻すために必要なのです。
AI時代だからこそ、自分で考える価値が高まる
AIは便利です。
私自身も日々活用していますが、本書を読んで改めて考えさせられました。
「AIに頼るほうが便利で安全という時代の流れを、完全に否定するつもりはありません。しかしAIが幅を利かせているぶんだけ、自分の頭で考えないようになっていることに、多少の危機感を覚えるくらいでなければいけないのではないか。なんの疑いもなくインターネットやAIにすべて委ねきっている状態は、まさに情報の奴隷です。あなたの主体性は、かぎりなく弱くなっている。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
AIは思考を代行する道具ではなく、思考を深める補助として使うべきでしょう。
便利さと主体性のバランスが重要だと感じました。
インターネットと少し距離を置く
「インターネットといまより少し距離を置いてみることはできないでしょうか。心配せずとも、望むと望まざるとにかかわらず、インターネットはいつでもあなたのそばにありますから。それでは落ち着かない、不安だ、となれば、やはりあなたは奴隷ということになるのですから、なおのこと、意を決してみるくらいの覚悟を持ってみてください。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
スマホを手放す必要はありません。
しかし、意識的に距離を置く時間を作ることで、自分自身と向き合える時間は確実に増えます。
孤独は自分を成長させる時間
孤独を避けようとすると、本当にやりたいことまで諦めることになります。
「友だちの数の多さや、場を盛り上げたり場に馴染むコミュニケーション能力を重宝する風潮は、過剰防衛の虚しい反転にすぎません。そんなものはなくても立派に生きていける。独りになり、陰口をささやかれ、後ろ指を指されようとも、気に病むべきではない。むしろ同調圧力から解放されて、自分を顧みる機会を得たのだから、喜んでいいくらいです。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
孤独なくして挑戦はできない
「孤独を拒んでなしえることなど、なにひとつありません。自分のやりたい道に舵を切れば、必ず孤独に直面します。そこは耐えるしかない。そして耐えられるはずです。孤独になるのは当たり前のことなのですから。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
挑戦する人ほど理解されない時期があります。
孤独は成功への副作用とも言えるのかもしれません。
孤独は思考力を鍛える
「孤独とは思考を強化する時間でもあるので、その時間が足りないと、建設的な提案や、あるいは反論ができなくなる。生産性を高められなくなるし、無理筋な要求を唯々諾々と受け入れるはめにもなります。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
一人で考える時間があるからこそ、自分の意見を持てるようになります。
不安や無力感とも付き合えばいい
不安を消そうとするのではなく、抱えながら進めばいい。
そんな言葉も印象的でした。
「臆病になっても、継続さえできていればいい。肝心なのは、継続と、その先にある実現なのですから、あえて不安を払拭しようとする必要はどこにもないのです。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
さらに著者は、無力感を否定する必要もないと語ります。
「無力感をしっかり受け止め、無力な自分の中にしばらく浸っていられるだけの体力、気力を養っておきましょう。さんざん無力だ、なにもできないと感じて、少しくらい腐ってもいい。そのあと自分のやるべきことを考え、しっかり顔を上げて実行に移すのです。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
感情を否定せず、受け入れた先に前進があります。
読書は孤独を支える最高の習慣
著者にとって読書は人生そのものだったそうです。
「仕事や世間の奴隷にならず、くだらない流行から逃れ、そして孤独に耐えるためには、本を読み続けなければいけない。そう固く信じるからです。わたしの半生において、本を読むことは何物にも代えがたい、最大最強の支えでした。わたしは読書から多くの滋養を得て今日まで生きてきたし、それはこれからもそうでしょう。どんな境遇や職業の人でも、書物に触れること抜きに、生きる手ごたえはつかめない。わたしはそう考えます。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
SNSでは流れてしまう知識も、本は思考として自分の中に残ります。
継続は才能を超える
最後に心に残ったのが、作家になったきっかけです。
「テレビ番組の『徹子の部屋』に山田詠美さんが出演しているのをたまたま目にしたのが、書くきっかけになりました。山田さんはそこで、『一日一回机の前に座れと宇野千代さんが言ったのを、わたしは守ってきた』というようなことを言っていた。それを聞いて『そうか、山田さんはそうやって作家になったんだ。とにかく一日一回机の前に座ればいいんだな』と真似をしてみることにした。」
引用:『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』田中慎弥著
才能よりも、まず机に向かうこと。
シンプルですが、多くの人が忘れてしまう成功法則ではないでしょうか。
まとめ
『孤独に生きよ』は、孤独を勧める本ではありません。
自分で考え、自分で選び、自分の人生を生きるための本です。
AIやSNSが生活に欠かせなくなった今だからこそ、あえて一人になる時間を作り、自分の頭で考える習慣を持つことの価値は、これまで以上に高まっています。
孤独は寂しさではなく、自由への第一歩なのだと、本書は教えてくれました。
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