日々の生活で、つい感情的になってしまうことはありませんか? イライラしたり、不機嫌になったり、時にはそれが原因で人間関係がうまくいかなくなったり…。そんな悩みを抱える方へ、精神科医・和田秀樹氏の著書『感情的にならない気持ちの整理術 ハンディ版(特装版)』から、感情と上手に付き合うヒントをご紹介します。
なぜ感情的になってしまうのか?その原因と対策
私たちはなぜ、感情的になってしまうのでしょうか。本書では、その原因を自己理解と他者理解の不足に見出しています。
自分の「常識」に縛られていませんか?
私たちは、自分自身の「常識」に固執しがちです。しかし、それが時に他人への過剰な反応を引き起こすことがあります。
自分自身の性格の偏りを自覚すれば、自分の「常識」に固執することがなくなります。 結果として、相手の行動にいちいち目くじらを立てることがなくなり、不機嫌になるのを回避できるのです。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
自分の性格の偏りを認識することで、他者の行動に寛容になれるでしょう。
他者に過度な期待をしていませんか?
他人に期待しすぎると、それが裏切られたときに不機嫌の原因になることがあります。
自分の幼稚な甘えに他人を巻き込むのはもってのほか。 他人の心などそもそも理解できなくて当然。そう割り切ることが、ごきげんになるための第一歩なのです。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
他人は自分とは違う存在であり、その心を完全に理解することはできないと割り切ることが大切です。
感情と上手に付き合う3つの秘訣
和田秀樹氏自身も感情的な人間であるとしながらも、感情に振り回されない秘訣があると言います。
実をいえば、私自身どちらかというと感情的な人間です。とくに、せっかちで、ちょっとしたことでイライラする傾向があります。たしかに、感情的になりやすいのは事実ですが、感情に振り回されて失敗することは少ないように思います。 その秘訣はいくつかあります。 たとえば1つめは、「自分が他の人よりもせっかちである」と自覚していることです。自分の性格の偏りを認めることで、怒りをセーブすることができました。 2つめは、自分の考えを絶対視せず、他の可能性も認めることです。正しさにこだわるのをやめればストレスがなくなります。 3つめは、結果を重視すること です。結果的に自分の得になればいい。そう思っているので、ときには人に頭を下げることも厭わないのです。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
この3つの秘訣は、私たちが感情と向き合う上で非常に参考になります。自分の傾向を知り、考え方を柔軟にし、そして結果に焦点を当てることで、感情に支配されることなく、より建設的な行動が取れるようになるでしょう。
不機嫌は「損」!ごきげんでいることのメリット
感情的になったり不機嫌でいたりすることは、心身に悪影響を及ぼします。
不機嫌が続くと人の免疫機能は低下し、医学的にも病気になりやすい ことがわかっています。逆にごきげんになれば免疫機能も上がり、健康的な生活を送ることができます。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
ごきげんでいることは、私たちの健康にも良い影響をもたらします。心身ともに健やかな状態を保つためにも、感情のコントロールは重要なのです。
「感情をコントロールする」とはどういうことか?
感情をコントロールすると聞くと、「感情をなくすこと」だと誤解されがちですが、そうではありません。
感情をコントロールするとは、感情を持たないようにすることではなくて、感情を持ったときに問題行動を起こさないように自制すること です。 感情をコントロールできる人は、上手に人付き合いできるだけでなく、集中した状態で仕事や勉強に取り組むことができるため、常に安定した結果を出します。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
感情は自然なものであり、それを無理に抑え込む必要はありません。大切なのは、感情が生まれたときに、それによって問題のある行動を起こさないように自制することです。
苦手な人との付き合い方も変える
誰にでも「虫の好かない人」はいるものです。しかし、その感情が一方的なものとは限りません。
世の中にはどうしても「虫の好かない人」がいます。顔を見るだけで不愉快になる、話していてもバカにされているような気がする、といった苦手意識を持ってしまう相手のことです。 けれども、虫の好かない人がいるのは、相手に一方的な問題があるからとは限りません。 虫の好かない人と関わっているときの自分を冷静に振り返ってみてください。相手の言葉に過剰に反応したり、相手の考えを憶測で決めつけて反発したりしているケースは多々あります。 実は不機嫌な人ほど、周囲にたくさんの「虫の好かない人」がいます。 それもそのはずです。少しでも気に入らないことがあると、「この人は私を敵視している」と決めつけるからです。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
相手に対する自分の反応を客観的に見つめ直すことで、苦手意識が和らぐこともあります。
ごきげんでいるための具体的な行動
感情を上手にコントロールし、ごきげんでいるためには、日々の具体的な行動も重要です。
自分にご褒美をあげる習慣
気分を高揚させる「ご褒美」を設定することは、モチベーション維持に繋がります。
ご褒美は、「実現できる範囲で、気分が高揚する」バランスを考えるのがポイントです。私の場合は、妻と2人のレストラン・ディナーを予約したり、見たい映画の前売り券を買っておいたりすることがあります。 もう少し手軽にできるものとして、趣味の本を読む時間を空けておくとか、自宅に置いてあるちょっと高級なワインを開けることもあります。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
ささやかなご褒美でも、気分転換になり、前向きな気持ちを保つ助けになります。
得意分野を持つことの重要性
成功体験は、自己肯定感を高め、他のことにも意欲的に取り組む原動力となります。
柱を持つことと関連して、得意分野を作っておくことも重要なポイントです。 心理学者のアルフレッド・アドラーは、「成功体験を持つことで他のことでも勝てるかもしれないと思えるようになる」と述べています。小さなことでもいいから成功を体験することで、自分に自信が持てる ということです。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
どんなに小さなことでも構いません。得意なことを見つけ、成功体験を積み重ねることで、自信を持って感情と向き合えるようになるでしょう。
客観的に自分を見る「メタ認知」
自分の感情を客観的に見つめる「メタ認知」の視点を持つことは、怒りとの距離を取る上で非常に有効です。
自分を客観的に見る態度を心理学では「メタ認知」といいます。自分を俯瞰して見ているようなイメージです。こうした視点を持つことで、 自分の怒りとも冷静に距離を取ることができます。 自分を見つめるもう1人の自分を持ちましょう。
引用:『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹著
もう一人の自分がいるように、冷静に自分自身を観察することで、感情に飲み込まれずに済むようになります。
まとめ
『感情的にならない気持ちの整理術 ハンディ版(特装版)』から、感情と上手に付き合い、ごきげんな毎日を送るためのヒントをたくさん学ぶことができました。
- 自分の性格の偏りを自覚する
- 他人に過度な期待をしない
- 自分の考えを絶対視せず、結果を重視する
- 不機嫌でいることのデメリットを理解する
- 感情をコントロールするとは「問題行動を起こさないように自制すること」と理解する
- 苦手な人との関係性において、自分の反応を振り返る
- 気分を高めるご褒美を設ける
- 得意分野を作り、成功体験を積む
- 「メタ認知」で自分を客観的に見る
これらのポイントを意識することで、感情に振り回されることなく、より穏やかで充実した日々を送れるようになるでしょう。
あなたも今日から、感情の整理術を実践してみませんか?
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