カスタマーサポートや接客業に携わっている方にとって、クレーム対応は避けて通れない課題です。お客様の怒りにどう対処すればいいのか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
本書『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』は、多くの企業を指導してきたコンサルタントが、そのノウハウをまとめた一冊です。今回はこの本から、クレーム対応のヒントをご紹介します。
クレーム対応で大切なのは「共感」と「関係性の変化」
「怒鳴っているお客さまは、積み重なるストレスや予想外の事態にうまく対処できずに悲鳴を上げ、助けを求めている状態ともいえます。」
引用:『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』山下 由美著
クレームを言ってくるお客様は、単に怒っているわけではありません。その根底には、不満や不安、不運といった様々な感情が渦巻いているのです。
著者は、お客様の怒りをコントロールできるのは、怒りをぶつけられた側であるあなたしかいないと述べています。そして、お客様の怒りを鎮めるための鍵として「超共感法」を提唱しています。
超共感法とは、お客様に徹底的に共感し、「そうなんです」と同意してもらうことで、敵対関係から味方関係へと変化を促す手法です。「超共感法はお客さまから敵対視されていた関係から、味方として認識してもらう関係に変化をうながすのです。」
引用:『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』山下 由美著
この共感から始まる関係性の変化が、その後の対応をスムーズにし、お客様の怒りを感謝に変えることさえ可能にするのです。
お客様を追い込まないための具体的な方法
クレームの原因がお客様自身の勘違いや間違いにある場合、ついつい正しい説明をしてしまいがちです。しかし、著者はこれに警鐘を鳴らしています。
「正しい説明はお客さまの間違いを指摘するのと表裏一体であることを忘れてはいけません。」
引用:『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』山下 由美著
正しい説明から入ってしまうと、お客様は「自分の間違いを指摘された」と感じ、かえって話がこじれてしまうことがあります。
そうならないためには、まずお客様の状況や気持ちを理解しようとすることが大切です。
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「心やプライドが傷つけられるようなことはなかったか?」
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「どんな段取りで何をしようとしていたのだろうか?」
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「こちらにどんな言葉や行動を期待していたのだろうか?」
こうした視点でお客様の感情に寄り添うことが、問題を解決する第一歩となります。
言葉一つで対応は大きく変わる
クレーム対応では、使う言葉も非常に重要です。著者は、些細な言葉の選び間違いが大きなクレームにつながることもあると指摘しています。
例えば、謝罪の際に「ご要望にお応えできず」ではなく、「ご要望にお応えできておらず」という表現を使うことの重要性が説かれています。前者は「検討もしないで対応しないと決めた」という印象を与えかねませんが、後者は「現状ではできていないが、今後検討の余地がある」というニュアンスを含んでいるからです。
また、対応する相手に合わせた話し方もポイントです。「クレーム対応も相手に合ったものでなければなりません。」
引用:『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』山下 由美著
クレーム対応の究極の目標
グッドマンの法則によると、クレーム対応に満足したお客様のリピート率は非常に高いというデータがあります。クレームはピンチであると同時に、ファンを増やすチャンスでもあるのです。
「お互いを敵とせず、Win-Winの関係を築くのが、本来のクレーム対応の姿」と著者は述べています。
クレーム対応に正解はありません。しかし、お客様の感情に寄り添い、関係性を変える「超共感法」を実践することで、より良い解決に導けるのではないでしょうか。
お客様の怒りの背景にある感情を理解しようとすることは、日々の人間関係にも役立つかもしれません。
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