あなたは「コミュ力」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか? 「話が上手な人」「面白い話ができる人」など、つい「話す力」を連想しがちではないでしょうか。しかし、『超コミュ力』の著者である田村淳さんは、その考えをきっぱりと否定します。
しかし、断言します。コミュ力は才能ではなく、技術です。 好かれる自分はいまからでもつくれます。コミュ力について、多くの人がしている誤解があります。 それは「話す力が高い人ほど、コミュ力が高い」という考え方です。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
本書では、コミュ力は「才能ではなく技術」であり、そして「話す力」よりも「聞く力」こそが本当のコミュ力だと説いています。この記事では、本書から「聞く力」を磨き、人間関係を豊かにするためのエッセンスをご紹介します。
話す力よりも「聞く力」が超コミュ力につながる理由
田村淳さんは、「話す力」と「聞く力」について、次のように語っています。
つまり、話術を磨きペラペラと流暢に一方的に話す人より、少々話し方は不器用でも、相手の心を掴み、心を動かすことができる人のほうが、会話という視点から見ると「コミュ力が高い」ということになるのです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
本当のコミュ力とは、話す力より聞く力。聞く力とは、もっと具体的に、そしてもっと声を大にして言えば、 相手に気持ちよく話させる力のことです。自分が上手に話すことではなく、相手が「ついこの人といると話しすぎてしまう」、そう思わせる力のことです。
つまり、自分ではなく、相手のことを第一に考えることができるかどうか、それがあなたのコミュ力を決めるのです。 相手に対して気持ちよく質問し、気持ちよくリアクションし、気持ちよく話させる、それが超コミュ力。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
つまり、一方的に話すのではなく、相手が気持ちよく話せるように促すことこそが、本当のコミュ力だというのです。相手を第一に考え、質問し、リアクションすることで、相手は「この人といると話しやすい」「つい話しすぎてしまう」と感じ、良好な関係が築かれていきます。
コミュ力を高める具体的な「技術」
では、具体的にどのようにすれば「聞く力」を高め、「超コミュ力」を身につけることができるのでしょうか。本書では、様々な技術が紹介されています。
相手を安心させる表情と態度
①相手を安心させる笑顔をつくる
②TPOに合わせた表情を使い分ける
③上手にうなずく
④肯定から話を始める
⑤マウントを取らない
⑥相手が話しやすくなる質問をする
引用:『超コミュ力』田村 淳著
コミュニケーションは、言葉だけではありません。表情や態度も重要な要素です。
相手に合わせた表情で共感を示す
「TPOに合わせる」とはつまり「相手と同じ表情をする」ということです。 そしてこの場合、コミュ力お化けはさらにその上をやります。
それは「相手の感情より上の表情をする」ということです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
相手の表情に合わせて共感を示すことはもちろん、相手の感情よりも少し上の表情をすることで、より相手に寄り添っていることを表現できます。
「うなずき」は愛される技術
覚えておいてください。うなずく人は愛されます。
テレビやラジオ、ユーチューブの出演で僕が一番意識していること、それがこのうなずきです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
まずはじめに大切なのは、「話の句読点」でうなずくということです。相手が句読点を入れるタイミングでうなずくことで、テンポを合わせることができ、相手も気持ちよく話せるようになります。なお、この技術の練習法としては、本を読みながら、句読点に合わせて「うんうん」「なるほど」「そうなんですね」などの合いの手を入れながら読んでみることがおすすめです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
うなずきは、相手に「あなたの話を聞いていますよ」というメッセージを送る強力な非言語コミュニケーションです。話の区切りに合わせてうなずくことで、会話のテンポが合い、相手は気持ちよく話すことができます。
相手を「気持ちよく話させる」ための相槌と質問
田村淳式コミュニケーション「SNS」
それは、田村淳式コミュニケーション「SNS」。 ソーシャルネットワークのSNSではありません。「すごい」「 なるほど」「 そうなんだ」この3つの略です。 先ほど書いた「いいね!」にこの言葉を添えるだけ。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
「すごい」「なるほど」「そうなんだ」というシンプルな相槌は、相手の承認欲求を満たし、さらに話を促す効果があります。
「分からないことは分からない」と正直に伝える勇気
ただ、あなたがコミュ力を上げたいと願うなら、今後は「わからないことはわからない」と、はっきり言うように切り替えましょう。 厳しいようですが、それをしないということは、相手と会話をする気がないのと同じです。相手の話に真剣に耳を傾けるためにも、正直に打ち明けていきましょう。そうすることで、「この人は誠実に私の話を聞いてくれている」と相手も好意を持ってくれるはずです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
分からないことを分かったふりをするのではなく、正直に「分からない」と伝えることで、相手はあなたを誠実な人だと感じ、信頼関係が深まります。
鉄板ネタ「うまい棒」質問術
「うまい棒」です。 「あの、うまい棒、何味が好きですか?」 この質問は、全世代にほぼ通用する鉄板ネタです。おそらくいきなりこう質問する人は少ないでしょうから、あなたを「うまい棒の人」として一気に印象づけることができます。
そして、好きな味を聞いた後は「うまい棒のキャラクターの名前って知ってますか?」と必ず質問します。これに答えられる人はほとんどいません。ちなみに正解は「うまえもん」。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
誰もが知っている「うまい棒」をきっかけに会話を始めることで、場の空気を和ませ、相手との距離を縮めることができます。
相手の心を掴む「気遣い」と「記憶力」
相手の「求めていること」を知る
相手と心を通じ合わせるために、一番はじめに大切なこと。それは「相手が何を求めているのかを知る」ということです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
相手が何を求めているのかを理解しようと努めることが、心を通じ合わせる第一歩です。
具体的な「指摘」で関係改善の余地を残す
自分が部下に対して「嫌だ」「直してほしい」と考えている点、つまりここでは「勤務態度」を具体的に挙げ、「君のここは受け入れられない」と「指摘」し、改善を求めるべきです。これなら、相手も自分のすべてを否定された気分にはならず、「指摘された点をどうにかすれば、見直してもらえる余地がある」と理解し、関係改善の可能性を残すことになります。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
相手に改善を求める際も、抽象的な批判ではなく、具体的な点を指摘することで、相手は改善の余地があると理解し、関係がこじれるのを防ぐことができます。
相手が大切にしているものを覚える
人は自分を大切にしてくれる人に心を開きますが、ともすると自分自身よりも、自分が大切にしている存在を大切にしてくれる人を好きになります。例えばお子さんやペットの名前、誕生日なども忘れずにお祝いしてもらって嬉しくない人はいないです。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
相手自身だけでなく、相手が大切にしているもの(家族、ペット、趣味など)を覚え、気にかけることで、より深い信頼関係を築くことができます。
「っ」を意識した返事で熱意を伝える
同じ返事をするにしても、「はーい」と返事をするよりも、「はいっ!」と小さな「っ」を意識するようにしっかり返事をすると「こいつはちゃんと話を聞いてるな」と思ってもらいやすくなります。 返事は「はいっ!」。挨拶するときは「おはようございますっ!」。お礼を言うときは「ありがとうございますっ!」。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
返事や挨拶の際に「っ」を意識することで、相手に「しっかり話を聞いている」「熱意がある」という印象を与えることができます。
相手の「困っていること」を忘れない
特に重要なのは、 相手が困っていることを絶対に忘れず、気遣いをすること。 相手のポジティブな情報も覚えておいたほうがいいのは間違いありませんが、ネガティブな情報を覚えておくことのほうが、はるかに大切です。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
相手の良い情報を覚えることも大切ですが、困っていることや悩みを覚えておくことは、相手への深い気遣いとなり、信頼関係を築く上で非常に重要です。
柔軟な姿勢でコミュ力を磨く
人間関係のトラブルは、往々にして「自分の意見に固執する」「相手の話を受け入れる柔軟性がない」ときに起こりがちです。
振り返ってみると、人間関係のトラブルの大部分は「自分の意見に固執する」もしくは「相手の話を受け入れる柔軟性がない」ときに起きている気がします。 違う考えに出会ったとき、「これまでの考え方に固執していないか? 聞く耳を持てているか?」と考えをめぐらせてみましょう。
引用:『超コミュ力』田村 淳著
本書で紹介されている「超コミュ力」は、どれも特別な才能を必要とせず、日々の意識と実践で身につけられる「技術」ばかりです。今日からでも、これらの技術を試してみてはいかがでしょうか。
『超コミュ力』を読んで、あなたのコミュ力に関する考え方は変わりましたか? ぜひ本書を手に取って、田村淳さんの「聞く力」に焦点を当てたコミュニケーション術を学んでみてください。
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