「なんだかやりにくいな」「わかりにくいな」と感じることはありませんか?
実は、その「しにくさ」は、ちょっとした工夫で「しやすい」に変えることができるかもしれません。
『「しやすい」の作りかた』の著者、下地寛也氏は、その鍵となるのが「分ける」技術だと説きます。
今回は、この「分ける」技術を使って、仕事や日常をもっと快適にするヒントを探ってみましょう。
なぜ「分ける」と「しやすく」なるのか?
私たちの身の回りには、「分けられている」ことで「しやすく」なっているものがたくさんあります。
例えば、国民的ノートである「キャンパスノート」
最も売れているB5サイズのノートは、1行の幅が7ミリ、1ページ30行。
これが多くの人にとって「書きやすい」と感じる絶妙な「分け方」なのです。
引用:『「しやすい」の作りかた』下地 寛也著
宅配ピザが食べやすく8等分されているのも、テーマパークがエリア分けされているのも、すべて「しやすさ」を考慮した「分け方」の結果です。
「しやすい」は、たったひとつの技術を身につけることで実現できる。それが上手に「分ける」技術だ。
引用:『「しやすい」の作りかた』下地 寛也著
つまり、「しにくい」と感じることは、「分け方」を見直すことで「しやすい」に変えられる可能性が高いのです。
「目的」と「分け方」のマッチングが重要
では、どのように「分ける」のが良いのでしょうか?
最も大切なのは、「目的」に合った「分け方」をすることです。
分けるときにもっとも大切なことは、「目的と分け方が合っているか」 (…) 「使いにくい」「わかりにくい」と感じるときはたいてい、「目的」と「分け方」にミスマッチが起こっている。
引用:『「しやすい」の作りかた』下地 寛也著
例えば、古本屋やディスカウントストア「ドン・キホーテ」は、商品をあえてゴチャゴチャに陳列することがあります。
これは、「宝探し」のようなワクワク感を演出し、「探しにくい」けれど「見つける楽しみがある」という目的を達成するための「分けない」戦略です。
一方、ユニクロのようにサイズや色で整然と分けられている店舗は、「必要なものをすぐに見つけたい」という目的を満たし、「探しやすい」という価値を提供しています。
駐車場の設計一つをとっても、「停めやすさ」という目的のために、線の引き方や入口・出口の位置が工夫されています。
コメダ珈琲店のように、利用者の「停めやすさ」を最優先に考える徹底ぶりは、まさに目的と分け方が一致した好例と言えるでしょう。
人間関係や選択肢も「分ける」
「分ける」技術は、人間関係の整理にも応用できます。リンダ・グラットンは、未来に必要な人的ネットワークとして、①頼れる少人数の仲間「ポッセ」、②弱いつながりの「ビッグアイデア・クラウド」、③心の支えとなる「自己再生のコミュニティ」の3種類を挙げています。
自分の周りの人間関係をこのように分類(分けて)みることで、それぞれの関係性に合った適切な距離感や付き合い方が見えてくるかもしれません。
また、選択肢の提示方法、つまり「分け方」も重要です。
例えば、商品を売る際に、本当に売りたい価格帯のものより、さらに高価格の「見せ玉」を用意する(松竹梅の法則)。
これは、比較対象を「分ける」ことで、中間の価格帯を選びやすくさせるテクニックです。
さらに、人間の短期記憶には限界があり、「マジカルナンバー7±2」と言われるように、一度に覚えられるのは5~9個程度だそうです。
選択肢や情報を提示する際は、この数を意識して「分ける」ことで、相手が理解しやすく、判断しやすくなります。
まとめ
「分ける」というシンプルな技術は、仕事の進め方、商品の陳列、人間関係、情報の伝え方など、私たちの日常のあらゆる場面に応用できます。
もし今、あなたが何か「しにくい」「わかりにくい」と感じていることがあるなら、「どう分ければ、もっと『しやすく』なるだろう?」と考えてみてください。
目的を見定め、それに合った「分け方」を見つけることで、きっと状況は改善されるはずです。
ぜひ、この「分ける」技術を意識して、身の回りの「しやすい」を増やしていきましょう。
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