お店の売上を伸ばしたい、もっとお客様に足を止めてもらいたい。そう考えているあなたに、店頭販売のプロが実践する「思わず買ってしまう!」集客販売の極意をご紹介します。
久野和人氏の著書『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』から、具体的なテクニックを紐解いていきましょう。
お客様の心を掴む五感アプローチ
視覚の重要性
人は五感で物事を判断する際、視覚的要素が83%と圧倒的に高いと言われています。
「実際、五感の中で人が物事を判別する割合は、視覚的要素が 83%と圧倒的に高く、続いて聴覚 11%、嗅覚 3. 5%、触覚 1. 5%、味覚 1%といわれています。それだけ視覚に入る情報は重要だということです。よく、スーパーなどの床がピカピカに磨かれていることがありますが、あれは清潔感を追求しているだけでなく、下から反射される光で商品を新鮮に見せるためでもあるんですね。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
スーパーの床がピカピカに磨かれているのは、清潔感を出すだけでなく、光を反射させて商品をより新鮮に見せるためでもあるのです。商品の見せ方一つで、お客様の購買意欲は大きく変わります。
聴覚の活用術
視覚に次いで重要なのが聴覚です。店員さんの呼び込みはもちろん、館内放送やエンドレステープを使ったボイスプロモーションも効果的です。
「次に聴覚的要素としては、店員(販売員)さんの呼び込みはもとより、館内放送を有効活用するという手もあります。エンドレステープを使ったボイスプロモーションも効果的。また、店頭で店員さんが直接マイク片手にお客様の前で、イベント告知や実況中継をするのも臨場感があっていいでしょう。繰り返しが多くて覚えやすく、楽しくキャッチーなテーマ曲を流すのも効果的です。先ほど五感の中で人が物事を判別する割合は、視覚的要素が最も高いと書きましたが、隔てた場所にいる人に影響を与える力としては聴覚的要素も負けてはいません。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
さらに、店頭でのマイクパフォーマンスは臨場感を生み、お客様の興味を引きます。繰り返しが多くて覚えやすいキャッチーなテーマ曲も、お客様の記憶に残る強力なツールです。
人を引きつける「1/fゆらぎ」の声
聴覚の中でも特に注目したいのが「1/fゆらぎ」という特性を持つ声です。この声は、聞く人の自律神経を整え、精神を安定させたり活力を与えたりする効果があると言われています。
「俳優の財津一郎さんの CMなどは、赤ちゃんに見せたらみんな一斉に画面に釘付けになるというのは有名な話。「ピアノ売ってちょ ~だい」と言っている CMに、泣いたりよそ見をしたりしていた赤ちゃんが皆反応するそうです。実は、 1万人に 1人の割合で「 1/ fゆらぎ」という特性の声を持つ人が存在します。これは生まれ持ったもので、聞き手は 1/ fゆらぎを感知すると、自律神経が整えられることで精神が安定したり、活力が湧いて興奮したりすると言われているんですね。先述の高田社長や財津一郎さんの声には、そういった特性が見られるそう。他にも、ジョン・レノンやホイットニー・ヒューストン、美空ひばり、宇多田ヒカルといった有名な歌手の他、俳優の森本レオさんや声優の花澤香菜さんなどの声もそれに該当するそうです。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
財津一郎さんや高田社長のCM、ジョン・レノン、ホイットニー・ヒューストン、美空ひばり、宇多田ヒカルといった著名な歌手、そして森本レオさんや花澤香菜さんの声もこれに該当するそうです。もし店頭に「1/fゆらぎ」の特性を持つ声の持ち主がいれば、それは強力な武器となるでしょう。
BGMで滞在時間をコントロール
飲食店で流れるBGMも、お客様の行動に大きな影響を与えます。ピアノ曲はマスキング効果で隣席の会話を聞こえにくくし、ジャズやボサノバは滞留時間を長くする力があります。
「飲食店などで流れるピアノ曲の BGMは、人の声に近い周波数であるため隣接した席の話声を聞こえにくくする働き(マスキング効果)を持ち、ジャズやボサノバは滞留時間を長くする力を持つといわれます。居酒屋などは、滞留時間が長くなるほど売上は上がるので、近年ではジャズを流している店が急増しています。さらに、不動産チェーンなどは自社でキャッチーなテーマソングを作って店頭で流している会社も多く、気づかないうちに耳に残って、思わず口ずさみそうになることも。そのすり込みの宣伝効果たるや恐ろしいほどです。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
居酒屋でジャズを流す店が増えているのは、滞留時間が長くなるほど売上が上がるためです。また、不動産チェーンが自社でキャッチーなテーマソングを作り流すことで、お客様の潜在意識に刷り込み効果をもたらしている例もあります。
行動心理学に基づいた販売戦略
「人だかり」を演出するプロの技
店頭販売のプロは、お客様を惹きつけるために「冷やかし」の人さえも利用します。たとえ買う気がなくても、多くの人が集まっている場所には、人はついつい立ち寄りたくなるものです。
「店頭販売のプロなどは、ブースに人だかりを作るためには冷やかしの人でさえ利用します。たとえ、それが明らかに買う気がない人であったとしてもです。他の人が立ち寄りやすくなるなら、喜んで警戒心を解くための『おとり』として活用します。また、常に何らかの雑務を準備していて空気をよどませません。その場の空気を動かすことは、販売ではとても重要で、見ている人の警戒心を解くと同時に好奇心を刺激する役割を持つからです。さらに、声にも常に意識を持っていて、お客様が居ない状態でも誰にともなく呼び込みの声出しをしています。そうやって、少しでも立ち寄りやすい空気を作り、人だかりを作る準備をしているんですね。逆に、従業員が何もせず立ち尽くしていて、空気が止まっているようなところやひっそりとしたお店やブースは、お客様から敬遠されやすくなります。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
常に何か雑務をこなして空気を動かし、お客様がいない状態でも呼び込みの声を出すことで、立ち寄りやすい雰囲気を作り、人だかりを作る準備をしています。
試食販売の巧妙なテクニック
試食販売には、売上を伸ばすための細かなテクニックが詰まっています。
夫婦・カップルへのアプローチ
夫婦やカップルで来店した際には、必ず男性にも試食を勧めるのが効果的です。
「おなじみの試食販売もそう。売上を上げるための細かいテクニックは山ほどあります。たとえば、夫婦やカップルで買い物に来られる方には、必ず男性にも試食してもらうようにします。これは、男性の意見が購買に反映される可能性が高いからなんですね。主婦の方は、毎日の献立に悩んでいますし、作る以上は子供やご主人に喜んでもらいたいと思っています。だから、目の前でご主人に「これ、いい」「美味しい」と言われると、つい買ってしまうんですね。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
主婦は毎日の献立に悩んでおり、家族に喜んでもらいたいと思っています。目の前で夫が「これ、いい」「美味しい」と言えば、購買につながる可能性が高まります。 さらに、男性は女性より見栄を張る傾向があるため、「無料で試食した以上、買わないと失礼」という返報性の原理が働き、購入につながりやすくなるのです。
実際に私も試食すると結構な高確率で買ってしまいます。
「また、男性は女性より見栄を張ってしまう傾向が強いため、「無料で試食をした以上、買わないと失礼」という心理が働き(返報性の原理)、奥さんを制してでも購入してくれる確率が高くなります。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
まとめ買い客への働きかけ
カートに買い物かごを二段に積んでいるようなまとめ買いに来ているお客様は、衝動買いの可能性が極めて高い層です。このようなお客様にも積極的に試食を勧めるべきです。
「他にも、カートに買い物かごを二段に積んでまとめ買いに来ている人も、衝動買いをする可能性が極めて高いので、必ず試食を勧めるようにしています。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
日本人の特性を理解した訴求方法
日本人は世界的に見て優柔不断で自己主張が弱く、他人の目や意見を気にする傾向が強いと言われています。この特性を活かし、「売上No.1」「月間100,000個売れています」「使った9割の方が大絶賛」といった数字や他者の評価を示す表現は非常に効果的です。
「実は、日本人というのは世界的に見ると優柔不断な民族で自己主張が弱く、他人の目や意見を気にする傾向が強いと言われています。そのため、長いものに巻かれる風習が根強いんですね。だから、数字で「売上 No. 1」や「月間 100,000個売れています」、「使った 9割の方が大絶賛」といった表現に弱かったりします。また、この手法はとびぬけた立派な功績がなくても応用が可能。「この棚の中で一番人気!」「当店の従業員の 9割が推薦しています」「昨日の売上 No. 1」といった具合に、ごくごく狭い範囲に絞って表現しても OK。どんな商品にも使えるので大変便利なんですね。」
引用:『売れる店頭は何が違うのか?: 思わず買ってしまう! 集客販売の極意 (夢叶舎)』久野和人著
これは、ごく狭い範囲に絞って「この棚の中で一番人気!」「当店の従業員の9割が推薦しています」「昨日の売上No.1」といった表現でも応用可能です。どんな商品にも使える便利な手法なので、ぜひ活用してみてください。
お客様の心を掴む店頭作りは、五感を意識したアプローチと行動心理学に基づいた販売戦略が鍵となります。久野和人氏の著書から学んだこれらの極意を活かし、あなたの店頭を「思わず買ってしまう!」魅力的な空間に変えてみませんか?
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