「いつも疲れている」「何をしても体が重い」と感じていませんか?その疲れ、もしかしたら副腎疲労が原因かもしれません。現代人の多くが抱えるこの慢性的な疲労の裏には、食生活や生活習慣が大きく関わっています。『疲れがとれない原因は副腎が9割』の著者、御川安仁先生の知見をもとに、疲れの本当の原因と、その対策について詳しく見ていきましょう。
疲れの根本原因を探る:腸とミトコンドリアの重要性
腸の不調「リーキーガット」が疲労を招く
私たちが口にする食べ物の中には、知らず知らずのうちに腸にダメージを与え、疲労を招くものがあります。その代表がグルテンです。
では、なぜグルテンは腸に悪いのでしょうか。それは、グルテンに含まれる「グリアジン」というタンパク質に、細胞障害性を持つ分子構造があるからです。これは、ゾヌリンというタンパク質を誘発させる構造と、免疫反応(過敏反応)を起こす構造をもっています。
ごく簡単に説明すれば、グリアジンが細胞を刺激してゾヌリンが誘発されると、タイトジャンクションをゆるめてしまい、リーキーガットを引き起こしてしまうのです。また、タイトジャンクションがゆるみ、毒素が腸管から漏れてしまうと、アレルギーなどの免疫反応が起こります。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
グルテンに含まれる「グリアジン」というタンパク質が腸の細胞を刺激し、**「リーキーガット(腸漏れ)」**を引き起こすことで、毒素が体内に入り込み、アレルギーなどの免疫反応を誘発します。これが慢性疲労の一因となるのです。
また、牛乳も腸に悪影響を与える可能性があります。
そもそも牛乳を飲むこと自体あまりおすすめできません。牛乳に含まれる乳糖が体内で分解され、ブドウ糖ができます。このブドウ糖が、カンジダ菌を増殖、悪性化させる可能性があるからです。
加えて、小麦と牛乳の生産過程で使用される残留薬剤(農薬や抗生剤、ホルモン等)の問題も指摘され始め、これらもリーキーガットの要因となる可能性があります。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
牛乳に含まれる乳糖がカンジダ菌を増殖させたり、生産過程で使用される残留薬剤がリーキーガットの原因になったりする可能性も指摘されています。
エネルギーの源「ATP」とミトコンドリア
私たちの体が活動するためのエネルギーは、主に**ATP(アデノシン三リン酸)**によって供給されています。
アデノシン三リン酸、略して「 A TP」の産生です。
副腎ホルモンのコルチゾール以前に、 A TPこそが、生命にとって生存の源であり、エネルギーのもととなります。 A TPがなければ人間は生きていられません。
しかし、人体が自分でつくれる A TPは限られています。人体がつくれる A TPは全体の一割以下。ミトコンドリアが九割以上の A TPを産生しているのです。
ミトコンドリアがいなければ、人間は生きていくことができません。元気も出ませんし、疲労回復を果たすこともできないのです。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
このATPの9割以上は、細胞内のミトコンドリアが産生しています。ミトコンドリアの働きが低下すると、ATPの産生量も減り、疲労回復が滞ってしまいます。
10代、 20代の頃は、 A TPが必要以上に多量につくられています。ですから若者は少々徹夜をしても、きついスポーツをしても、疲れ知らずなのです。小学生が寒い日に薄着、素足でいても平気なのは、生命力が溢れ出ているからです。
しかし、ミトコンドリアによる A TPの産出量は、年を重ねるにつれて減少し、 40代になると生まれたときの二分の一、 60代では三分の一くらいの量に低下するという説もあります。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
若いうちはATPが豊富に作られるため疲れにくいですが、年齢とともにミトコンドリアの機能が低下し、ATPの産生量も減少すると言われています。
疲労回復に役立つ食事と生活習慣
誤解されがちな栄養素:コレステロールとタンパク質
これまでの常識が覆される栄養素もあります。例えば、コレステロールは以前、摂取量が制限される傾向にありましたが、最近ではその必要がないことが明らかになっています。
コレステロール値を下げるために、卵を食べる数は「週に何個まで」と制限する指導もありました。しかし最近は、それは全く意味がないことが明らかになっています。コレステロールを含む食品(卵など)の一日の摂取量の上限は撤廃されています。
現実には、高めのコレステロールであるほうが元気な人も多いのです。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
実際には、三大栄養素がしっかり摂れていればコレステロールは体内で合成されます。
タンパク質、炭水化物、脂質という三大栄養素がしっかり足りて、充分なカロリーがあれば、さまざまな経路からコレステロールが合成されます。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
タンパク質については、動物性と植物性のどちらかに偏る必要はなく、バランス良く摂取することが推奨されています。
動物性タンパク質は、肉牛に肥育ホルモン剤が投与されるといった問題などはありますが、現代では肉を食べる人が多いのが実情です。食べすぎなければ、動物性でも植物性でも、食べたいタンパク質を摂れば良いと思います。
ただし、赤身の肉と加工肉の食べすぎは、発がん率を高めます。牛肉や羊肉は適量がよいでしょう。また、鶏肉はヒ素などが問題になることがあります。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
ただし、赤身肉や加工肉の過剰摂取、鶏肉に含まれるヒ素などには注意が必要です。
積極的に摂りたい栄養素と避けるべきもの
副腎疲労対策として、特に積極的に摂るべき栄養素がいくつかあります。
まずはマグネシウム。
副腎疲労対策としてまず摂るべき栄養素は、「マグネシウム」です。
マグネシウムは、自律神経、中枢神経、末梢神経、すべての神経の興奮を鎮めます。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
マグネシウムは、神経の興奮を鎮める働きがあり、疲労回復には不可欠です。
そして、ビタミンB群も重要です。
慢性疲労症状がある場合は、食品だけでは充分ではありません。
そこで、ビタミン B群はサプリメントで補うことをおすすめします。
とりあえずはドラッグストアなどで手に入るもので構いません。市販のサプリメントは、医療用サプリメントと比べてさまざまな点で違いがあり、若干の問題はあるものの、まずは試しても良いと思います。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
慢性疲労の場合は、食品だけでは不足しがちなため、サプリメントでの補給も検討しましょう。ただし、ビタミンB群を無駄にしないためには、精製された小麦や砂糖の過剰摂取を避けることが重要です。
ビタミン B群をムダ使いしないためには、お菓子やラーメン、菓子パン、ジュース、スポーツドリンク、甘い缶コーヒーなど、精製小麦や砂糖の過剰摂取を避けることです。
主食はご飯がおすすめです。胚芽にビタミン B群が含まれているので、できれば玄米を。玄米が苦手なら、胚芽米も良いと思います。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
主食にはビタミンB群が豊富な玄米や胚芽米がおすすめです。
疲労回復を促す生活習慣
栄養だけでなく、日々の生活習慣も疲労回復に大きく影響します。
日光浴は、ビタミンDの生成に不可欠です。
日照量の少ない 12月の正午の場合、沖縄では約 8分、関東地域では約 22分、北海道では約 76分間は日光浴が必要です。その時間まで日光浴をしないと、ビタミン Dの必要量が生成されないことが明らかになっています(平成 25年8月 29日(木) 独立行政法人国立環境研究所 地球環境研究センターの研究より)。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
季節や地域によって必要な時間は異なりますが、意識的に日光を浴びるようにしましょう。
そして、入浴もリラックス効果と疲労回復を促します。
40度くらいの少しぬるめのお風呂に 20分くらい浸かり、ボーッと過ごすと、緊張がゆるみ、血行も促進され、自律神経のバランスもとれます。湯温が 41度を超えてくると交感神経が優位になってしまうので、リラックスには向きません。 お風呂に浸かるときは、入浴剤を活用しましょう。
私は「エプソムソルト」と「Hot Tab」という重炭酸入浴を何年も続けています。「エプソムソルト」は、硫酸マグネシウムが原材料。ソルトとありますが、正確には塩ではなくマグネシウムです。マグネシウムを皮膚から吸収させることで交感神経がゆるみ、体はエネルギーを出しやすくなります。また、デトックス効果もあります。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
40度程度のぬるめのお湯に20分ほど浸かるのが理想です。入浴剤としてエプソムソルトや重炭酸入浴剤を活用すると、マグネシウムの経皮吸収やデトックス効果も期待できます。
細胞の「自食作用」オートファジー
最後に、細胞の修復と再生に関わる重要な機能として、オートファジーが挙げられます。
平成二十八年、東京工業大学の大隅良典名誉教授が、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。受賞理由は、「細胞のオートファジー(自食作用)」の研究です。
引用:『疲れがとれない原因は副腎が9割 Forest2545新書』御川安仁著
東京工業大学の大隅良典名誉教授がノーベル賞を受賞した「オートファジー」は、細胞が自身の中の不要なタンパク質を分解し、再利用する仕組みです。このオートファジーを活性化させることも、疲労回復や細胞の健康維持に繋がると考えられています。
慢性的な疲れの原因は、食生活や生活習慣に潜んでいることが多いものです。今回ご紹介したポイントを参考に、ご自身の体と向き合い、疲労回復への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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