「ぜんぶ、すてれば」から学ぶ、身軽に生きる哲学

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中野善壽氏の著書『ぜんぶ、すてれば』は、現代社会で多くの人が抱える「持たないこと」への不安や、「変化すること」への抵抗に対し、清々しいほどに潔い示唆を与えてくれます。本書からいくつかの印象的な言葉を引用し、日々の生活や仕事におけるヒントを探ります。


 

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後悔しないための「今すぐやる」精神

 

私たちは、「何から手を付けたらいいのか」と考えすぎて、結局何もできない、という経験を少なからず持っているのではないでしょうか。中野氏は、この思考のループを断ち切ることの重要性を説きます。

今日できることは、今日のうちやる。今すぐやる。

「何から先にやればいいのか」なんて考えなくていい。 思いついた順に、なんでもすぐやれば、後悔することはありません。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

考えすぎずに、まずは行動する。このシンプルながらも力強いメッセージは、日々のタスクに追われる私たちに、新たな視点を与えてくれます。


 

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「違和感」を大切にする勇気

 

周りの意見に流されがちな現代において、「自分はそうは思わない」と感じる直感を大切にすることの重要性が強調されています。

「自分はそうは思わないんだけどな」とふと感じた 〝違和感〟を大事にしてほしいと思います。 周りと合わせないといけない、という全体主義・同調主義は危険です。 あまりにその圧力が強いと、本当に危険な時に自分の判断で 逃げ出すこともできなくなるし、全員揃って破滅の方向に行くリスクも高くなる。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

集団行動の中で違和感を覚えることは、危機を回避するための重要なサインであると捉えるべきでしょう。自分自身の感覚を信じ、時に周囲と異なる選択をする勇気が、私たちを守る盾となるのです。


 

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自分に恥じない生き方

 

「働くこと」に対しても、中野氏は独自の哲学を持っています。それは、決して仕事に熱心でなくなるという意味ではありません。

やっぱり自分自身が納得できないことだけは絶対にしたくない。 自分に対して恥ずかしいことは、誰に何を言われようがやりたくない。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

仕事に対してドライであれ、と言っているわけではなくて、 「働く主は、あくまで自分である」と握っておくべきだということ。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

自分が納得できないことには手を出さない。これは、自分の価値観を大切にし、自分自身に正直に生きる姿勢を強く示しています。そして、仕事においても「自分が主体である」という意識を持つことが、充実した働き方へと繋がります。


 

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変化に対応する力

 

現代社会は、めまぐるしく変化しています。そんな中で安定を求めるのではなく、変化に適応する力を養うことの重要性を説いています。

そんな世界の中で必要になるのは、安定を求める心ではなく、変化に対応する力。 冷たい風を一瞬感じて立ち止まる力。 そして、足先の方向をクルッと変えて、また颯爽と歩き出す力。 変化に強い自分を鍛えていくことを、若い人にはおすすめします。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

変化を恐れず、むしろそれを受け入れ、しなやかに対応していく力こそが、これからの時代を生き抜く上で不可欠なスキルとなるでしょう。


 

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「持たない」ことの自由

 

中野氏のライフスタイルは、まさに「ぜんぶ、すてれば」を体現しています。

クルマもなし。高価な腕時計にも興味はなく、 仕事の打ち合わせを時間内で終えるための液晶時計が一つあれば十分です。 日用品も決して高級品ではありません。 服は通りすがりのアジア各地でパパッと、 いつでも捨てられるくらいの気軽なものを。 食べ物はコンビニの新商品を選ぶのが一番楽しい。 ご馳走は会食でいただくだけで満足。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

ハンドキャリーが可能な 極 小さな鞄を一つだけ。どこに行くにもこれで出かける。 鞄の中に入れるのは、下着と靴下、iPad、家の鍵、眼鏡くらい。 出張先での服は現地で調達する。どうせ一カ所の滞在は長くても三泊四日だから。 あとは携帯電話、小さな財布、薄い手帳、 渡航に必要な貴重品を忘れないようにするだけ。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

物を持たないことで得られる身軽さ、そして自由。これは、現代のミニマリスト思考とも通じるものがあります。余計なものを持たず、必要なものだけで生活することで、時間や心のゆとりが生まれることを示唆しています。


 

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パートナー選びと人との向き合い方

 

仕事のパートナーを選ぶ際にも、中野氏ならではの視点が光ります。

仕事のパートナーを選ぶときも、できるだけ自分とは違うタイプのほうがいい。 似たもの同士はかえって危険で、 同じことを考える人間が二人いたって意味がありません。 長所を引き立て、短所を補い合える相手を見つけること。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

自分とは異なる視点や強みを持つ相手を選ぶことで、互いに成長し、より良い結果を生み出すことができるという考え方です。

また、人とのコミュニケーションにおいては、「叱る」ことの真意を伝達することの重要性も語られています。

ただ叱るのではなくて、なぜこんなに叱るのかをしっかり伝える。 部下に対してもそう。 なぜこんなに厳しく言うのか、〝思い〟もセットで伝えないと残らない。 形ないものをどれだけ残せるか。 それがきっと、人としての力量というものです。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

相手に厳しさを伝える際にも、その根底にある「思い」を共有することで、単なる叱責ではなく、相手の成長に繋がるメッセージとして残る。これは、形のない「人としての力量」を示していると言えるでしょう。


 

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「しょうがない」という潔さ

 

台湾での生活を通して得た「諦める」ことへの価値観も、印象的です。

妙なことになっちゃたなぁと思いながらも台湾に居続けたのは、 台湾人の気質や文化性が気に入ったから。 日本の東北や九州の田舎のような、あったかくて、緩やかな雰囲気がいい。 象徴的なのが、彼らが口癖のように言う「 沒有 辦法」。 「しょうがないよ」という意味で、 「やってみてダメだったものは仕方ない。諦めて次に行こう」という潔さがある。 変にしがみつかない、この価値観が僕も好きなんです。

引用:『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

「しょうがない」と諦めることは、ネガティブな意味合いだけではありません。潔く次へ進むための、前向きな区切りとなることもあるのです。何かに固執しすぎず、手放す勇気を持つことの重要性を教えてくれます。


『ぜんぶ、すてれば』は、物質的なものだけでなく、固定観念や過去の自分さえも手放すことで、より自由に、そして自分らしく生きられることを教えてくれる一冊です。このブログを読んで、あなたも何か「捨てて」みようと思えましたか?

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