私たちは日々の仕事の中で、集中力を高めたい、疲労を回復したい、リラックスしたいと願うものです。その助けとなるのが、身近な飲み物であるコーヒーとビールです。しかし、ただ闇雲に飲めば良いというものではありません。本書『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』では、コーヒーとビールの効果を最大限に引き出し、仕事のパフォーマンスを向上させるためのヒントが満載です。
コーヒーを味方につける:飲むべき時間と量
短時間で効率のよい勉強をしたいならば、カフェイン濃度が高めのコーヒーを飲んでください。集中力がまし、また、難しい書物でも眠気に負けることなく読み進めることができるはずです。また、コーヒーのアロマには、緊張を解きほぐし気分をリラックスさせる働きがあります。絶対に誰にも負けないビジネスプランを練り込んだのに、緊張や口下手で上司や先方に上手く伝えられなければ、意味がありません。こんな時は、まずは薫り高いコーヒーをプレゼン前に試して下さい。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
コーヒーの覚醒作用やリラックス効果は広く知られていますが、その効果を最大限に引き出すためには、飲むタイミングが重要です。
コーヒーを飲むベストタイミング
私たちの体内では、覚醒を促すホルモンであるコルチゾールが分泌されており、その分泌量は時間帯によって変動します。
覚醒を左右するコルチゾールは、1日を通して均一に分泌されるのではなく、時間によって変動します。前述のように、早朝6時くらいから分泌量が増え始め、午前8~9時にピークを迎え、午前9時半頃から減り始めます。このコルチゾールが減少するタイミングを狙ってコーヒーを体内に注入するのがカフェイン効果を活かすコツなのです。多くの人は、仕事開始前にコーヒーを飲むことで気合いを入れますが、これは大間違い。仕事でのパフォーマンスを向上させたいならば、出社後、仕事開始と共に飲むことをオススメします。また、終日を通して覚醒ホルモンの分泌量に合わせてコーヒーを飲むこともポイント。正午~午後1時、午後5時半~6時半も同様にコルチゾールの体内分泌量が変化するため、この時間帯にコーヒーを飲むのは避けたいところです。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
つまり、仕事のパフォーマンスを最大化するためには、コルチゾールの分泌量が減少し始める午前9時半以降にコーヒーを飲むのが効果的です。また、コルチゾールが再び減少する正午から午後1時、午後5時半から6時半の時間帯は避けるようにしましょう。
適量を守って健康に
コーヒーの覚醒力は偉大です。しかし、だからと言ってむやみやたらに使っては逆効果。飲み頃と分量を上手く使いこなしてこそ、仕事と戦うための良き戦友となるのです。また、カフェインを毎日過剰に摂取し続けると、幸せホルモンと言われている「セロトニン」が減少することが分かっています。セロトニンの減少も、やはり疲労の原因になることが分かり始めています。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
コーヒーには、覚醒効果や疲労回復作用がありますが、だからといって飲めば飲むほど効果が得られるものでは決してありません。それどころか、逆に健康被害を生む可能性さえあります。では、どれくらいが心身へのベストサイズなのでしょうか?
・コーヒーカップ(150)1日4杯程度
・缶コーヒー(200)1日3本~4本程度
・マグカップ(240)1日3杯程度
コーヒーの体へのダメージの指標の柱となるのは、やはりカフェインです。アメリカ食品医薬品局(FDA)のガイドラインを参考にすると、カフェイン摂取量の上限は1日約400 mg まで。一般的なコーヒーのカフェイン含有量は、100mlあたり約 60 mg が目安になりますから、普通サイズのカップで3~4杯の計算になります。引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
過剰なカフェイン摂取は、幸せホルモンセロトニンの減少を引き起こし、疲労の原因となる可能性があります。アメリカ食品医薬品局(FDA)のガイドラインによると、カフェイン摂取量の上限は1日約400mg。これは一般的なコーヒーカップで3〜4杯程度に相当します。
まず、残業中のコーヒーは避けましょう。そして、夕方以降にコーヒーを飲む場合、あるいは飲みたくなったときには、「就寝予定時刻の7時間前まで」を徹底すること。もちろん個人差はありますが、それ以降のカフェイン摂取は、睡眠に影響を与え、次の日の生産性を下げる原因になるので注意が必要です。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
夜間のカフェイン摂取は睡眠の質を低下させ、翌日の生産性にも悪影響を及ぼします。就寝予定時刻の7時間前までにはカフェイン摂取を終えるように心がけましょう。
30分前のカフェインナップでパフォーマンス向上
大事な商談やプレゼンに臨む際、ぜひ実践していただきたいのが「 30 分前のカフェインナップ」です。カフェインナップというのは、コーヒーを1杯飲んでから 15 ~ 20 分ほどの仮眠をとることで、疲れやだるさをリセットし、その後のパフォーマンスを飛躍的に向上させる、というやり方です。仮眠は長すぎては逆効果ですが、このくらいの短い時間であれば、目覚めたときのリフレッシュ効果が高いとされています。短時間で効率よく疲労回復効果を得られる睡眠方法だとして、「パワーナップ」と呼ばれています。コーヒーに含まれるカフェインの覚醒効果が効き始めるのは、飲んでからおよそ 30 分後なので、このやり方をすれば寝すぎることもなく、仮眠の持つ疲労回復効果とカフェインの覚醒効果をダブルで得ることができる、というわけです。午後イチで重要な商談や打合せがある、もしくは至急資料を提出しなければならない、といったときには事前にコーヒー&仮眠で脳をリフレッシュさせ、集中して臨みましょう。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
重要な商談やプレゼンの前には、「30分前のカフェインナップ」がおすすめです。コーヒーを飲んでから15〜20分程度の仮眠をとることで、カフェインの覚醒効果と仮眠による疲労回復効果を同時に得られ、その後のパフォーマンスを飛躍的に向上させることができます。
夜のビールでリラックス:健康的な飲酒習慣
疲れた夜には、ビールでリラックスしたいと考える人も多いでしょう。しかし、睡眠への影響や健康への懸念から、飲酒をためらうこともあるかもしれません。
眠れないときの選択肢とナイトキャップ
日本、アメリカ、フランスの3ヶ国で「眠れないときにどうするか」という質問に対する興味深い調査結果があります。
「あなたは眠れないとき、どうしますか?」皆さんは、この質問にどう答えるでしょうか。同様の質問を、日本、アメリカ、フランスで行ったおもしろい結果があります。
●日本
1位……お酒を飲む 19・5%
2位……医師から処方された睡眠薬を飲む 13・7%
3位……特に何もしない 13・1%
●アメリカ
1位……市販の睡眠改善薬・催眠鎮静薬を飲む 26・1%
2位……医師から処方された睡眠薬を飲む 19・2%
3位……医師の診察を受ける 18・6%
●フランス
1位……市販の睡眠改善薬・催眠鎮静薬を飲む 20・8%
2位……医師の診察を受ける 19・9%
3位……医師から処方された睡眠薬を飲む 16・9%引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
日本人は、眠れないときにお酒を飲むという回答が最も多い結果となっています。
・興奮を鎮める働き
・血圧を安定させる働き
・精神を落ち着かせる働き
つまり、少量のお酒であれば、睡眠リズムを崩すことはなく、逆に、心身をリラックスさせ心地好い睡眠へと誘導してくれるということです。「酒量をコントロールできる人間」であることが大前提ではありますが、就寝前の適度なお酒は、高ぶった神経を落ち着かせ、自分を見つめ直すための時間をつくるのにも役立ちます。ナイトキャップの目安は、「寝る少し前に強めのお酒を一口か二口程度」と考えてください。ビールをナイトキャップとして活用する場合には、利尿作用を意識して(ビールは利尿作用の強いお酒なので)、寝る3~4時間前くらいに飲むのがいいでしょう。引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
少量のお酒であれば、心身をリラックスさせ、心地よい睡眠へと導く効果が期待できます。「ナイトキャップ」として、寝る少し前に強めのお酒を一口か二口程度飲むのが目安です。ビールを飲む場合は利尿作用を考慮し、寝る3〜4時間前を目安にしましょう。
ビールは「薬」だった?意外な栄養価
ビール酵母の中には、アミノ酸、葉酸、鉄分、カルシウム、そしてビタミンB1・B6・B2・ニコチン酸・パントテン酸・B 12・葉酸を始めとする各種ビタミンB群が入っています。ビタミンB群は糖質などの栄養素をスムーズに代謝し、エネルギーとして変換するという働きを持っています。つまり、ビールには糖分もあるが、一方で代謝をサポートする成分もあるということです。実際、スペインのエストラッチ博士とラムエラ博士は、 57 歳以上の男女1249人を対象にビールの調査を行ったところ、エールビールやラガービールを適量に摂取することで、糖尿病や高血圧にかかりにくくなり、なかには脂肪が減った人もいたという研究発表をしています。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
ビールは、実は栄養価の高いお酒。アミノ酸、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれている健康飲料です。その歴史を紐解いていくと、かつては薬として扱われていたことが分かってきました。事実、紀元前3000年頃のエジプトでは、胃薬や湿布薬のようなものとして使われていました。日本でも、明治初期にはビールは薬局で売られていたようです。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつながる Business Life』馬渕 知子著
ビールは、単なる嗜好品ではなく、アミノ酸、ビタミン、ミネラルを豊富に含む栄養価の高い飲み物です。歴史的にも、古代エジプトでは薬として、日本では明治初期には薬局で販売されていたという事実もあります。
痛風とプリン体:誤解を解く
痛風は、血液中の尿酸濃度が高くなり、それが結晶化することで足趾(足の指)や足首、膝などの関節が腫れて痛くなる病気です。ビールを飲むと、尿酸の材料となるプリン体を摂取してしまうため、尿酸濃度が上がり痛風になる……。理屈はこうですが、そもそもビールに含まれるプリン体の量などたかがしれています。メーカーによって差はあるものの、100 あたりせいぜい5~ 12 mg 程度です。たとえば、キリッと辛口A社某ビールは100 あたり5・5 mg、ちょっと贅沢なS社の某ビールは 11 mg。もちろん、これは100 あたりですから、缶や瓶、ジョッキ換算を忘れていけませんが、ビールをジョッキで1~2杯くらいであれば、レバーやエビ、鰯や鰹などの光物の魚を食べるよりもプリン体量は少ない計算になるということです。1日のプリン体摂取目安は400 mg。プリン体は、タンパク質の生成過程で働くDNAになる成分の総称であり、大切な栄養成分とも言えます。まずは、「ビール=プリン体」という概念を捨て、一日の食生活トータルでプリン体の量を考えてみてください。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
ビールは痛風の原因になると言われることがありますが、ビールに含まれるプリン体量は決して多くはありません。1日のプリン体摂取目安は400mgであり、ジョッキ1〜2杯程度のビールであれば、他の食材と比較してもプリン体量は少ないです。大切なのは、1日の食事全体のプリン体摂取量を考慮することです。
ビールを美味しく飲むための基本
ビールの材料はシンプルです。基本は、麦芽・ホップ・酵母・水の4つだけ。製法においても(種類によって多少の違いはあるものの)、① 砕いた麦芽に温水を混ぜ合わせ、② 麦芽の糖質分を分解し、③ 風味付けのホップを加え、④ そこに酵母を入れて発酵させる、というステップを踏めば出来上がります。むしろ、昔はホップを使用していないビールが主流だったとも言われているくらいです。しかし、もっとこだわりを持ちたいならば、ビールの 90%以上を占める「水」の違いにも目を向けてください。たとえば、ギネスビールで有名なアイルランド・ダブリンの水は硬水、ピルスナー発祥の地であるチェコのプルゼニの水は軟水、ホップの香りを楽しむエールビールは硫酸塩が多く含まれるイギリスの水などといったように、水の性質はビールにはっきりと表れます。つまり、どんな水で仕込むかによっても違いが生まれるのがビールなのです。単純だからこそ、嘘が付けないビール。ビールの基本を押さえることが、ビールを美味しく飲むための第一歩でもあります。
引用:『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる Business Life』馬渕 知子著
ビールの主原料は、麦芽、ホップ、酵母、水の4つです。特に、ビールの90%以上を占める「水」の質は、ビールの味を大きく左右します。水の硬度や含まれる成分によって、ビールの風味は大きく変わります。ビールの基本を知ることは、より美味しくビールを楽しむための第一歩となるでしょう。
コーヒーとビールを上手に活用することで、日中の集中力向上から夜のリラックスまで、あなたのビジネスライフをより充実させることができます。本書を参考に、賢くコーヒーとビールを楽しみ、仕事のパフォーマンスを最大限に引き出してみてはいかがでしょうか。
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