私たちは日々の生活の中で、仕事や人間関係、自己成長において「人間力」の重要性を感じることが多々あります。では、その「人間力」とは一体何なのでしょうか?そして、どうすれば高めることができるのでしょうか?歯科医でありながら多岐にわたる分野で活躍する井上裕之氏の著書『一流の人間力』から、そのヒントを探ります。本書で語られる人間力を高める7つの習慣に加えて、筆者が重要だと感じたエッセンスを抜粋してご紹介します。
人間力の基盤を築く「自責」の習慣
「人間力が高い人に共通する大切な要素が『自責』です。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
井上氏は、人間力を高める上で最も重要な要素の一つとして「自責」を挙げています。これは、「どんなことも自分に関わりがある」「すべてのことは自分によって起こされた」と考える思考法です。
「『どんなことも自分に関わりがある』『すべてのことは自分によって起こされた』と考えるのが『自責』です。自分にも『関わりがある』『責任がある』と考えると、自分なりの解決策を探そうとします。自責思考は高い人間性の表れです。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
たとえば、仕事で何か問題が起きた時、他人のせいにせず「自分に何ができるか」「どうすれば解決できるか」と考えることで、主体的に行動し、解決策を見出す力が養われます。これは、会社組織で働く上でも非常に重要です。
「一人ひとりが、責任をもって職務を果たすことで、お客さんが幸せになってくれる。幸せになれば、ファンになってもらえて、リピーターになってもらえる。結果として、会社も利益が上がり嬉しい。すべては一人ひとりの責任にかかっています。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
成長を加速させる「素直さ」と「学び」の習慣
素直さが成長の鍵
新しい知識や考え方を受け入れる「素直さ」も、人間力向上のために不可欠な要素です。
「素直に受け入れることで、少しずつ変容しています。自分の中になかった考えを受け入れ続けることで、変わり続けて(成長して)いると感じています。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
「経営の神様」と称された松下幸之助も、「素直な心」の重要性を説いています。
「経営の神様といわれた松下幸之助も、成功するには『素直な心』を大切にしなければならない、と語っています。素直な心の要素として、『私心にとらわれないこと』『誰に対しても謙虚に耳を傾けること』『学ぶこと』などを挙げています。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
たとえ自分の意見と異なるものであっても、まずは受け入れてみようとする姿勢が、自身の器を広げ、新たな視点をもたらします。
「フォーカスする場所を間違えて、さらに『俺だったら』という思考が出てきて、『聞く価値がない』とシャッターを下ろしてしまうと、せっかくの学びの機会を失うことになります。とてももったいないです。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
常に学び続ける姿勢
「学び」の習慣も人間力を高める上で欠かせません。それは単に知識を増やすことだけではなく、多様な価値観に触れ、視野を広げることを意味します。
「新しいもの、異なる領域の人(医療業界以外の人など)に親しんでいくことで、多様なものの見方ができて、自分の器も大きくなります。なによりも成長できるのです。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
著者選びの基準として、井上氏は以下の2点を挙げています。
「① 著者に社会的な信頼感があるか ② 著者がいま現実を動かしているか 『いま現実を動かしている』というのは、結果を出し、周りからの信頼を得ているという意味です。私は、著者のプロフィールを読み、この2点があるかどうかで、読む価値があるかどうかを判断するようにしています。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
周囲との関係性を豊かにする「礼儀礼節」と「自愛」の習慣
礼儀礼節がもたらす心の通い合い
「礼儀礼節」は、円滑な人間関係を築く上で不可欠です。それは形式的な作法だけでなく、相手への思いやりを込めた行動を指します。
「感動とは相手の心を動かすこと。心を動かすには、自分が発する言葉に心をのせることが大切です。『気持ちよく』『心を込めて』言葉を発するのです。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
挨拶一つにしても、相手を思う気持ちが大切です。
「心身統一合気道の藤平光一先生から習ったあいさつの基本は、『正面を向いて、相手を思いながら、真摯な気持ちで、目を見てあいさつをすること』です。相手を思いながら、あいさつをすることで、思いが伝わります。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
失敗を恐れず、常に成長し続ける
失敗から立ち直る力
人間は誰しも失敗を経験します。大切なのは、その失敗から何を学び、どう立ち直るかです。
「電車に乗ってきた高齢者に席を譲ろうとして、『私は、健康のために立っているんだから、いいです』と冷たく断られることがあります。だからといって、『失敗した。今度からは席を譲るのはやめよう』と短絡的に考える必要はありません。高齢者や体の不自由な人、妊婦さんに席を譲るのは、一般的に親切な行動です。社会全体で守ってあげたり、親切にしたりしなければならないから、優先席も設けられています。たった一人の人の反応を見て、席を譲ることに臆病になる必要はありません。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
予期せぬ出来事に対しても、冷静に対応し、誠意を示すことが重要です。
「・謝罪する ・大丈夫か、ケガはないか確認する(安全の確認) ・相手の気持ちに配慮する(不快にならないように、気持ちよく過ごしてもらうにはどうすればいいかを考える) ・トラブル(洋服を濡らしたこと)への具体的な対応をする ・イベントが終わったあとに再度謝罪する」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
常に「成長」を意識する
「昨日の自分より1ミリでもいいから、今日成長していたい」という井上氏の言葉は、日々の小さな積み重ねが大きな成長につながることを示唆しています。
「ささいなことかもしれません。しかし、私は『昨日の自分より1ミリでもいいから、今日成長していたい』と考えています。」
引用:『一流の人間力』井上裕之著
まとめ
井上裕之氏の『一流の人間力』は、人間力を高めるための具体的な習慣と心構えを教えてくれます。「素直さ」「学び」「自責」「礼儀礼節」「立ち直る(失敗)」「自愛」「成長」の7つの習慣を日々の生活に取り入れることで、私たちはより豊かな人生を築き、周囲にも良い影響を与えることができるでしょう。
人間力を高めるために、あなたが今日から始められることは何ですか?
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