私たちは日々の生活の中で、様々な「心のブレーキ」によって本来の力を出し切れていないことがあります。仕事での成果、人間関係、そして自分自身の成長。もしあなたが「もっとできるはずなのに」と感じているなら、それは心のブレーキが原因かもしれません。吉田行宏氏の著書『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』から、そのブレーキを外し、前向きに進むためのヒントを探っていきましょう。
「行動」なくして「結果」なし|本質的な成長とは
私たちはとかく、目先のスキルや結果を求めがちです。しかし、本当に大切なのはその根底にある「想い」と「行動」だと著者は語ります。
ビジネスでも同じで、想いがあって行動し続ければ、能力が身につき、結果が出ます。結果が欲しいがゆえに簡単なスキルだけを身につけようとしたところで、ふるまいや意識が弱い状態では望む成果は得られないんです
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
これは、小手先のテクニックだけでは通用しないという示唆です。例えば営業の場面で、お客様の話を聞く姿勢一つとっても、心から聞いているのか、ただ聞くふりをしているだけなのかは、すぐに伝わってしまいます。表面的なやり方を真似るだけでは、本物の成果には繋がりません。
言われてみると、本当にそうですねぇ。営業だと、ちゃんと相手の話を聞いているのか、ただ聞くフリをしているのかは一目で分かりますし、その人のふるまいや姿勢、態度はやり方だけ真似して身につくものじゃないですから
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
心のブレーキに気づき、踏まない覚悟をする
私たちは無意識のうちに、多くの悩みを抱え、それが心のブレーキとなっていることがあります。
他の会社のほうが自分には向いているんじゃないかとか。あるいは、今の環境だと身体にも良くない、仕事が忙しすぎてプライベートの時間がとれないとか。1つではなく、いろいろな悩みが複合的に合わさって大きく感じている場合も多いですね
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
こうした悩みは、時に私たちを立ち止まらせ、行動することを躊躇させてしまいます。しかし、解決への第一歩は、そのブレーキの存在に気づくことです。
解決できる、できないとか、どう解決すべきか考える前に、まずは自分には悩みがあり、ブレーキを踏んでいるんだという認識をすること、ブレーキが存在することを知るだけでいいんです。それが最初の第一歩です
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
そして、次に必要なのは「ブレーキを踏まない覚悟」です。
悩みを減らすために必要なこと、それは1つ目に〝ブレーキの存在を知る〟こと。そして2つ目に〝ブレーキを踏まない覚悟をする〟ことです
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
「期間限定」の覚悟が、重い決断を軽くする
「覚悟」と聞くと、一生涯続くような重い決断を想像しがちです。しかし、著者は「期間限定」の覚悟を提案しています。
一生の覚悟ではなく、期間限定で決断するんです。私のオススメは2年ですね。『2年間はその道をなるべくブレーキを踏まないで進んでみる覚悟をしてみませんか?』という提案です
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
2年という期間であれば、一生と比較して「頑張ってみようかな」と思える人も多いのではないでしょうか。悩む人は、とかく決断を必要以上に重く考えがちですが、人生においてそこまで重要な決断が求められる場面は、実はそれほど多くないのかもしれません。
悩む人って、その決断を必要以上に重く考えてしまいやすいんですよ。常に一生分の決断をしようとしている感じで。でも、人生でそこまで重要な決断が必要な場面は多くないと思うんです。それにとりあえず2年間ブレーキを踏まずに頑張った体験がその後の人生にも大きくプラスになります
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
どんな選択をしても「ブレーキを踏まずに進む」
転職や現状維持など、人生には様々な選択肢があります。著者は、どちらが正しいかを他人が決めることはできないとしながらも、一つだけ確信していることがあります。
私は、相談されたらいつもその会社に留まることを目的としたアドバイスはしないんです。『今の会社を辞めるのも、新しい会社に転職するのも、どちらが正しいとは私は決められないし、あなたの人生なのであなたが決める権利があると思います』と必ず言います。ただ、私がこれだけは正しいと思っていることは、どちらにしてもその選択をしたあとは、その道ではブレーキを踏まずに進んだほうがあなたの人生にプラスになるということです
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
つまり、どの道を選んだとしても、そこで全力で、ブレーキを踏まずに進むことが、あなたの人生を豊かにするということです。
当事者意識が成長を促す
「どうせ自分には関係ない」という当事者意識の低さは、思考を停止させ、改善や変化への努力を阻害します。
その先輩の言いたいことは、当事者意識が低いほど、ある意味、思考停止状態になってしまい、改善や変化する努力をしなくなってしまうってことですか? 山田さん、良いところに気がつきましたね! そうなんです! 『自分も多少責任はあるけど、他の誰かも、自分より大きな責任があると思う』と思えば思うほど、当事者意識が低くなっていき、思考がだんだん停止していくということです
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
他人の考えや行動を変えることは非常に難しいことです。しかし、自分に焦点を当て、「自分にできることは何か」と考え、小さなことでも行動に移す習慣を身につけることで、悩みづらくなり、結果的に自身の成長にも繋がります。
他の人の考えや行動を変えるのって難しいですよね。ですから、そう考えて悩んでいても、状況が改善することってあまりないと思うんですよ。それよりは誰が悪いとか、損だとか考えずに、自分にできることは何だろうって考えて、小さいことでもいいので、やると決めて行動する思考と習慣を身につけると悩みづらくなっていきます。それに、そのほうが自分の成長にも繋がることが分かっているので、心の健康にもとてもプラスなんです
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
「結果は選べないが行動は選べる」
私たちは時に、コントロールできない「結果」にばかり意識を向け、コントロールできる「行動」がおろそかになってしまうことがあります。
結果は選べず行動は選べる、という当たり前のことですが、その選べない結果に意識や関心が向きすぎて、行動や計画に意識が向かず、ベストを尽くせていないかもしれないということに気づいたのです。そう気づいてからは、選択できない結果にはとらわれず、どんな結果でも受け入れるという覚悟を持って、深刻な面談に臨む努力をしました。そうしたら、その後はどうなったと思います?
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
結果に囚われすぎず、どんな結果でも受け入れる覚悟を持って、「今、自分にできるベストな行動」に集中すること。これが、良い結果を引き寄せる鍵となります。
えっ、それで結果に変化があったんですか? はい、私が考えていたより、ほとんどの問題が、良いほうに解決したんです
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
人生我以外皆師なり
最後に、著者の父が語ったという言葉「人生我以外皆師なり」を紹介します。
今までマスターに教わった言葉もありますね。〝結果は選択できないが、行動は選択できる〟や〝No one is perfect(誰しも完璧ではない)〟とか。この〝人生我以外皆師なり〟とはどういう意味ですか? これは私の父が、私の小さいころから言っていた言葉なんです。自分の人生であなたの周りにいる人は全て師、先生で、どんなに欠点が多そうに見える人からも、自分の意識のあり方でいろいろと学ぶことができるということ、そして、そのためには常に謙虚でなければいけないということだと私は解釈しています。
引用:『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』吉田 行宏著
この言葉は、私たちの周りの全ての人から学ぶことができるという謙虚な姿勢の重要性を示しています。どんな人にも学びの機会を見出すことで、私たちは常に成長し続けることができるでしょう。
『成長マインドセット ――心のブレーキの外し方』は、私たちが抱える心のブレーキの存在に気づかせ、それを外すための具体的なヒントを与えてくれます。あなたの「心のブレーキ」は何ですか? それを外し、新たな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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