『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』から学ぶ「引きずらない」生き方

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人間関係や仕事で起こる様々な出来事。私たちはつい、過去の失敗や他人の言動に心を囚われがちです。しかし、そんな「引きずる」力を手放し、もっと軽やかに生きるためのヒントをくれるのが、枡野俊明氏の著書『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』です。

禅の教えに基づいた99の智慧は、私たちの心を縛る執着から解放し、いまを大切に生きる道を教えてくれます。今回は、本書の中から特に心に響いた箇所を引用しながら、そのエッセンスをご紹介します。


 

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過去を断ち切り、「いま」を生きる

 

私たちは過去の出来事に囚われ、未来を心配しがちです。しかし、禅の教えは「いま」を生きることの重要性を説きます。

 

過去・現在・未来はつながっているようでいて切れている

 

人生はいまこのときを生きることで完結する。過去、現在、未来はつながっているようでいて切れている。過ぎ去ったことにこだわらず、未来のことを心配せず、ひたすら現在を見つめ、いまできることを一所懸命にやりなさい」と読み解くことができます。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

この言葉は、過去の失敗を悔やんだり、まだ来ぬ未来を憂いたりするのではなく、目の前の「いま」に集中することの大切さを教えてくれます。

 

心を込めて丁寧に行動する

 

たとえば、「一つひとつの行為を、心を込めて、ていねいに行なう」 ことです。 わが身を振り返ってみてください。  何かつらいこと、苦しいことがあってクヨクヨしているとき、立ち居振る舞いも言葉づかいも乱れていませんか?

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

心が乱れているときこそ、一つひとつの行動を丁寧に。そうすることで、心も整っていくことでしょう。

 

物事に「執着しない」

 

もう一つ、心がけとして大事なのは、 物事に「執着しない」 ことです。  過ぎたことを悔やんだり、さまざまな欲に取りつかれたり、地位・名声・人気など、自分がこれまで築き上げてきたものを失うことを恐れたりするのは、すべてが「執着」のなせるわざ。いいこと・悪いことにかかわらず、物事に執着すると、そこに必ず「引きずる」力が発生します。だからこそ「前後際断」。 「本来無一物(人はもともと何も持っていない)」という禅語を声に出してみましょう。このことに気づくことによって、執着によってがんじがらめになった心がスッと解き放たれます。あたかも風に吹かれて空を自由に泳ぐ雲のように。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

「本来無一物」という禅語は、私たちが何も持たずにこの世に生まれ、何も持たずに去ることを示唆します。執着を手放すことで、心は縛られることなく、自由に軽やかになれるのです。

 

今日は過去の結果であり、未来は今日の結果である

 

私たちが常に心しておくべきは、「今日は過去の結果であり、未来は今日の結果である」ということです。  この考え方に立つと、すでに過ぎ去り変えることのできない過去のことでクヨクヨしたり、これから新たにつくられていく未来のことをあれこれ心配したりするのは、意味のないことだとわかります。  過去を引きずり、未来を憂えるようなときは、この禅語――「深く今日の事を知る」を唱えてみましょう。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

今日という一日が、過去の積み重ねであり、未来へと繋がっていく。この事実を受け入れ、目の前の「いま」を大切に生きることが、後悔のない人生を築く鍵となります。


 

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人間関係を円滑にする「鈍感力」

 

「鈍感」と聞くとネガティブな印象を持つかもしれませんが、本書で言う「鈍感」とは、他人の言動に過剰に反応せず、受け流す智慧のことです。

 

違いを認め、割り切る

 

逆にいうと、違いを認めさえすれば、不満や怒りが生じにくくなるのではないでしょうか。「すべての人が違っていて当たり前」と割り切る、それだけで人間関係はずいぶんうまくいくようになるはず。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

人はそれぞれ違うもの。この当たり前の事実を受け入れるだけで、人間関係の摩擦はぐっと減るでしょう。

 

怒りを「受け流す」

 

それでも怒ってはいけません。難しいけれど「受け流す」のが賢明です。  理由は二つ。一つは、非礼・無礼を働く本人は、だいたいにおいてその自覚がない、つまり自分が非礼・無礼な振る舞いをしているとは思っていないからです。そんな人と同じ土俵で争っても、こちらが疲れるだけ。相手にすることはありません。  もう一つは、相手の指摘が正しいことがままあるからです。とくに劣等感や弱みを抱えている人は、痛いところを突かれると、瞬間的に怒りの感情が噴出します。そんなときはなんとか怒りをこらえて、しばし深呼吸。「彼(彼女)のいうとおり、図星だな。怒りは吞み込み、今後の反省材料にしよう」と、気持ちを切り替えましょう。  いずれにせよ、非礼・無礼に対しては「怒ったら負け」と心得てください。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

相手の非礼や無礼に対して、すぐに怒りをぶつけるのではなく、一度受け流す。その冷静さが、無駄な争いを避ける賢明な選択です。もし相手の指摘が図星なら、それを自己成長の機会と捉える柔軟な姿勢も大切です。

 

悪口は言わず、聞かず、褒めの輪をつくる

 

ですから「悪口はいわず、聞かず」を鉄則にしてください。もし〝悪口の輪〟に参加したくなったら、その気持ちをこう切り替えましょう。 「自分は相手のいいところを探してあげよう。そして〝褒めの輪〟をつくろう」

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

悪口の連鎖を断ち切り、ポジティブな「褒めの輪」を広げること。これは、自分自身も周囲も良い方向へと導く素晴らしい心がけです。


 

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心の平穏を保つための習慣

 

日々の生活の中で、いかに心の平穏を保ち、ストレスを溜め込まないか。そのための具体的な習慣も紹介されています。

 

怒りを「人知れず吐き出す」

 

吞み込んだ怒りは、できるだけ早い機会に「人知れず吐き出す」のが一番です。 方法は二つ。一つは「大声で叫ぶ」ことです。たとえば海に向かって「ムカつく〜ッ! バカヤロー!」と叫ぶとか、山奥などの誰もいないところで、あるいは部屋で大音量の音楽を流しながら不満をまくし立てるなどするといいでしょう。  もう一つは、悔しかったり、ムカついたりした、その「思いの丈を書き出す」ことです。怒りも文字に変換すると、心が落ち着くものなのです。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

溜め込んだ怒りは、心身に悪影響を及ぼします。誰にも聞かれない場所で大声を出したり、紙に書き出したりすることで、心のデトックスを促すことができます。

 

大人の嗜みと人望

 

ひとことでいえば「相手の思いや考え方を尊重してふるまう」のが大人の嗜み。この姿勢があれば、大人同士、互いに歩み寄りながら、いいつき合いができます。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

結局、人を押しのけてでも前に出ようとする人は、人望が得られない、ということです。みんなを後押しする人が、周りから推される人になるのです。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

相手を尊重し、周りの人を後押しする姿勢は、信頼と人望を築く上で不可欠です。

 

不遇の時代も「人生にムダな経験は何もない」と信じる

 

誰しも「不遇の時代」はあります。そういうときは持てる能力を発揮できず、悔しい思いをするでしょう。自分の描く将来にとって、ムダな経験をさせられているように感じるかもしれません。  けれどもそこで腐ったら、それまでのこと。自己研鑽を怠らず、なすべき仕事をコツコツとやっていれば、やがて自分の能力が必要とされる日はやって来ます。積み上げた経験を存分に生かせるときがやって来るのです。 「人生にムダな経験は何もない」と信じて、努力を続けましょう。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

どんな経験も、未来の自分にとって無駄なことはありません。不遇な時こそ、自己研鑽を怠らず、努力を続けることが大切です。

 

「知足」の心で豊かさを感じる

 

いまのままで十分だと思っている人は、暮らしぶりがどうであろうとも心は豊かである。一方、どこまでも満足できない人は、どんなにぜいたくな暮らしをしていても心は貧しい

ということです。 「知足」に幸福感を見いだしたとき、すっきりとした心で生きる日常が手に入ります。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

「足るを知る」という言葉通り、いまあるもので十分だと感じられる心こそが、真の豊かさをもたらします。


 

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仕事への向き合い方

 

仕事においても、「引きずらない力」は重要です。

 

仕事を「自分がやりたくてやる」に変換する

 

仕事に対する見方を、「誰かに命じられてやる」から「自分がやりたくてやる」に変換させましょう。そうすると〝やらされ感〟によるストレスが軽減されるばかりでなく、たとえ失敗したり、何か不都合なことが起きたりしても、人のせいにせず、自分の問題としてとらえられます。自分の人生を生きることができるのです。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

仕事に対する主体的な姿勢を持つことで、ストレスは減り、より充実感を持って取り組めるようになります。

 

「名利」を断ち切る

 

「名利」――名声と利得を欲しがる気持ちを断ち切りなさいと、この禅語はいっています。いずれも手に入ればうれしいものですが、なぜダメなのでしょうか。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

名声や利得は魅力的に見えますが、それらを追い求めることで、かえって心が縛られてしまうことがあります。


 

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日常生活における禅の教え

 

日々の生活の中に禅の教えを取り入れることで、より穏やかで豊かな日々を送ることができます。

 

不要なものへの感謝と敬意

 

くれぐれも「ゴミ箱にポイ」なんて軽く扱わず、感謝の気持ちを込めて、きれいにしてから捨てるようにしましょう。それが不用品への礼儀というものです。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

使わなくなったものでも、感謝の気持ちを持って丁寧に扱う。これは、ものだけでなく、あらゆるものへの敬意に通じます。

 

荷物は極力少なく

 

私自身はふだんから「荷物は極力少なく」をモットーとしています。国内外問わず、どこへ行くにもだいたい 頭陀袋 と鞄一つで事足ります。服装も作務衣と決まっていますから、長い出張でも着替えは下着を中心にしたセットが二つもあれば十分。毎日洗濯をして、清潔なものを身につけるようにしています。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

持ち物を減らすことで、心も軽くなり、本当に大切なものが見えてくるかもしれません。

 

食事をゆっくりと味わう

 

もっと「ゆっくり」食べれば、ちゃんと〝満腹信号〟をキャッチして、食べすぎを防ぐことができそうです。そのための一つの方法が、 「一口食べたら箸を置き、よくかむ」  のを習慣とすることです。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

忙しい現代社会では、食事をゆっくりと味わう時間も大切です。一口ずつ丁寧に味わうことで、心身ともに満たされる感覚を味わえます。

 

困難に直面した時の心の切り替え

 

みなさんも何かうまくいかないことがあっても、悩む必要はありません。 「裸一貫に戻るだけ。その先は何者にでもなれる可能性が開けている」  と心を切り替えましょう。

引用:『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』枡野 俊明著

失敗を恐れることなく、たとえ全てを失っても、そこからまた新たな可能性が広がる。そんな前向きな心の切り替えが、困難を乗り越える力になります。


 

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まとめ

 

『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』は、現代社会で生きる私たちが抱えがちなストレスや悩みを、禅の智慧を通して解決へと導いてくれる一冊です。過去に囚われず、いまを大切に生きること。他人の言動に過剰に反応せず、受け流すこと。そして、あらゆるものに感謝し、丁寧に接すること。これらの心がけを実践することで、仕事も人間関係も、そして私たち自身の人生も、より穏やかで豊かなものになるはずです。

あなたも「引きずらない力」を身につけて、もっと軽やかに生きてみませんか?

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