あなたの話が「通じない」と感じる時、本当に必要なこととは?

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「なぜ、私の話は通じないのだろう?」そんな風に感じたことはありませんか?一生懸命話しているのに、相手に伝わらない。誤解されたり、意図しない方向に話が進んだり。コミュニケーションの悩みは尽きません。

今回は、山田ズーニーさんの著書『あなたの話はなぜ「通じない」のか』から、あなたの言葉が「通じる」ようになるためのヒントを探っていきましょう。


 

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あなたはどんな「メディア」だと思われていますか?

 

私たちは、普段意識していなくても、周囲から常に評価されています。そして、その評価が、私たちの言葉の「伝わりやすさ」に大きく影響しているのです。

めったに口を開かず、何か言うときは一大事という「朝日号外」的なCさんが、「あの……、」と言いかけたら、もうそれだけで、みんな何か大変なことが起きたと構えるだろう。何を言うかより、だれが言うか。あなたはどんなメディアだと思われているだろうか?

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

これは非常に示唆に富む一節です。言葉の内容ももちろん大切ですが、**「誰が言うか」**が、それ以上に聞き手に与える影響が大きいのです。

日ごろの、立ち居ふるまい・ファッション・表情。人への接し方、周囲への貢献度、実績。何をめざし、どう生きているか、それをどう伝えているか? それら全ての積み重ねが、周囲の人の中にあなたの印象を形づくり、評判をつくり、ふたたび、「メディア力」として、あなたに舞いもどってくる。動きやすくするのも、動きにくくするのも、自分次第だ。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

あなたの「メディア力」は、日々の行動や振る舞いの積み重ねで形成されます。普段のあなた自身のあり方が、言葉の説得力を左右するのです。


 

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「問い」を立て、深く「考える」力を養う

 

話が通じない原因の一つに、自分の意見が明確ではない、あるいは深掘りされていないことが挙げられます。山田ズーニーさんは、この「考える」ことの重要性を説いています。

 

漠然とした思考から抜け出す「問い」の力

 

発見のない思索は、徒労感を強め、考えること自体への意欲をしぼめてしまう。  こんなときは、具体的な「問い」を立ててみるのだ。  この問題はいつ起こったのか? (WHEN)  関係しているのはだれだれか? (WHO)  日本だけで起きたのか、よその国はどうか? (WHERE)  世界の歴史の中で、これに似た問題は何か? (WHAT)  そのとき、どう解決したか? (HOW)

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

漫然と考えるのではなく、具体的な「問い」を立てることで、思考は深まります。5W1H(いつ、誰が、どこで、何を、なぜ、どのように)を意識して問いを立てることで、問題の本質に迫ることができます。

 

粘り強い「自問自答」が「意見」を生む

 

自問自答 自問 答えが出ない 調べる 答えがわかる さらにその答えから疑問が生まれる 自問自答 自問自答……。  これを粘り強くつづけることが「考える」作業だ。そうして、「あ、そうか!」という発見、何かがすとんと腑に落ちる感じ、「私が言いたかったのは、まさにこれだ」というのが見つかったら、それがあなたの「意見」だ。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

表面的な知識や、誰かの受け売りではない、あなた自身の「意見」を持つためには、この**粘り強い「自問自答」**が不可欠です。


 

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相手に「通じる」ためのコミュニケーション術

 

では、具体的にどのようにすれば、あなたの言葉は相手に届くようになるのでしょうか。

 

「相手の問い」から会話を始める

 

この構成の最大のポイントは、 相手の関心事から論点を立てている 点だ。いきなり「会議の効率が……」と自分の関心をぶつけても、相手の関心がそこになければこっちを向いてもらえない。そこで相手の関心事「経費削減」を前面に押し出し、その手段として「会議効率の向上」を打ち出している。以降も、自分が言いたいことではなく、相手が知りたいことを優先して問いを組んでいる。これなら聞き耳を立ててもらえる可能性が高い。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

相手に話を聞いてもらうためには、相手の関心事から会話をスタートさせることが重要です。一方的に自分の言いたいことを話すのではなく、相手が何に興味を持っているのか、何を求めているのかを考え、それに沿って話を進めるのです。

まず、相手の「問い」を受ける  これが、信頼の会話術へのスタートラインだ。会話がねじれやすい人は、「相手の問いを 鸚鵡返しにしてみる」という初歩的な技術で防げる。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

会話の基本は、まず相手の「問い」を受け止めること。オウム返しのように繰り返すだけでも、相手は「聞いてもらえている」と感じ、信頼感が生まれます。

 

「正論」を押し付けない「目線」の重要性

 

正論を拒むのは、人間の本能かもしれないと私は思うようになった。正論は強い、正論には反論できない、正論は人を支配し、傷つける。人に何か正しいことを教えようとするなら、「どういう関係性の中で言うか?」を考えぬくことだ。それは、正論を言うとき、自分の目線は、必ず相手より高くなっているからだ。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

私たちはつい、正しいことを言えば理解されると考えがちですが、「正論」が必ずしも相手に届くとは限りません。むしろ、相手に「上から目線」だと感じさせてしまうこともあります。

自分の身の丈を越えたもの言いは、逆に、自分というメディアのサイズを小さく見せる。  自分以上の目線から話す人物を、周囲は、「自分の経験や力量さえわきまえられない人」、と思う。だから、その人が言っている内容さえ、どこかうそくさいと感じてしまうのだ。  共感の橋を架けたいなら、目線が肝心だ。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

相手との**「目線」を合わせる**こと。これが、共感を生み、話が通じるための重要な要素です。相手の立場に立ち、寄り添う姿勢が、言葉の橋渡しとなるのです。

 

信頼関係なくして言葉は無力

 

この息詰まるような状態から脱出するには、自分の手でコツコツと信頼関係をつくりあげていくしかない。1人、また1人……。3年経ち、それらがつながって新しい人々との信頼のネットワークが立ち上がってきたから、私の言葉は、ゆっくりと力を取り戻したのだ。  通じあえないと苦しむとき、その前提となる信頼関係はあるのか? 初対面でも、長い付き合いでも同じだ。言葉が無力であるとき、前提となる信頼関係そのものがぐらついている。まず、自分が信頼されなければだめだ。

引用:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー著

結局のところ、どんなに良い内容の話でも、どんなに素晴らしい表現力があったとしても、信頼関係がなければ、言葉は無力です。日々の誠実な行動と、相手を理解しようとする姿勢が、信頼という名の土台を築き、あなたの言葉に力を与えてくれるでしょう。


あなたの話が「通じない」と感じた時、それは単に言葉の問題だけでなく、あなた自身の「メディア力」や、相手との「信頼関係」が影響しているのかもしれません。今回ご紹介したポイントが、あなたのコミュニケーションをより豊かにする一助となれば幸いです。

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