日々の生活の中で、「気がきく人」に出会うと、心が温かくなり、その人との関係性もより良いものになりますよね。では、「気がきく人」は一体どのようなことを大切にしているのでしょうか? それは、特別なことではなく、実は日常のちょっとした瞬間に隠されています。相手への深い思いやりと、見返りを求めない姿勢が、彼らの行動の根底にはあります。
期待や見返りを求めない「さりげなさ」
「気がきく人」は、何かをしてあげたからといって、相手に期待したり、見返りを求めたりしません。
「気がきく人」は相手に期待をしたり、見返りを求めたりしません。いい具合に肩の力が抜けていて、何も押しつけない のです。だからこそ、本人も気疲れすることはありませんし、相手や周囲もその気遣いを受けとりやすいのです。「気がつく」までは同じでも、そのあとの考え方によって結果は変わります。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
この「さりげなさ」こそが、相手に「申し訳ない」という気持ちを抱かせずに、純粋な気遣いとして受け取ってもらうための重要なポイントです。
彼女は「私、あなたのためにこんなにやりました!」と自分からアピールをすることは一度もありませんでした。 お礼を求めたり、褒めてもらおうとしたり、恩を着せたりするようなことはなにもしません。ただ、さりげなく気づいたことをしてくれたのです。この「さりげなさ」 がポイントです。「私だったらどうしただろう?」と考えました。きっと相手の喜ぶ顔が見たくてつい、「和食が食べたいと言っていたから今日は和食です! さらに掃除機もかけておきました~!」 こんなふうに相手に聞かれる前に自ら種明しをしてしまっていたような気がします。しかし、これだと相手によっては「してあげた」と恩着せがましく感じるかもしれません。 さりげなさは、相手に「申し訳ない」と思わせない気遣い なのです。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
「ついでに」の発想で周囲をサポート
「気がきく人」は、自分の行動に加えて、周囲の人にも目を向け、「ついでに」何かできないかを考えます。
たとえば、のどが渇いてお茶をいれるとき、オフィスで仕事が終わってゴミを捨てにいくとき、足りないものがあってちょっとコンビニまで出かけるとき。自分のことだけでなく、そばにいる誰かにも「ついでに」の発想で声をかけてみるのです。「一緒に何か飲み物をいれましょうか?」「私、もうあがるから、○○さんが使っているゴミ箱も空にしましょうか?」「コンビニに行きますが、何か買ってくる物はないですか?」 「郵便局に行きますが、郵便物があれば投函しておきましょうか?」ささいなことですが、助かる人が出てくるはずです。気がきく人は「ついでに」の発想があり、そして相手にも気兼ねをさせない人 なのです。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
自分の行動に少しだけ他の人への配慮を加えることで、多くの人を助けることができます。
相手のペースに合わせたコミュニケーション
「気がきく人」は、相手の状況をよく観察し、相手のペースに合わせたコミュニケーションを心がけます。
しかし、マニュアルに固執した声かけは相手のペースをないがしろにしてしまいます。もしも、 善意で積極的に声をかけていたとしても、それが相手の望むペースでなければ、相手にとっては快適ではありません。せっかく 真面目に接客していたとしても、「気がきかない接客」という印象 になってしまいます。一方、「このスタッフは気がきくなあ」とお客さまに喜ばれるスタッフは、全く違う対応をするでしょう。「相手(お客さま)のペース」を把握するためにお客さまの状況をよく見て、会話が途切れたときに声をかけるように努めるはずです。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
大切なのは、声をかけることそのものよりも、「どうすれば相手に快適な時間を過ごしてもらえるか」という気持ちです。
もっとも 大切なことは「声をかけるか、かけないか」ではなく、「どうすればお客さまに快適な時間をお過ごしいただけるだろうか」という気持ち です。「相手のペースに合わせること」は、仕事の報連相も同じです。接客では相手の快適性が重要視されましたが、仕事上の報連相において大切なことは「正確性」です。そして必ず相手の状況を見極めましょう。たとえば相手がとても忙しそうであれば、口頭だけの報告ではなく、メールやメモでも報告すれば親切ですよね。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
高い「気づきの質」と「行動の質」
「気がきく人」は、周囲の状況を敏感に察知し、それを行動に移すことができます。
気がきく人は、相手の表情や行動、周囲の状況をよく見ています。また、話の内容、声のトーン、物音をよく聞いています。言い換えるならば、「アンテナをしっかり張っている」「五感を駆使している」「観察力が高い」と言えるでしょうか、つまり「気づきの質」が高い のです。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
気づいたことを行動に移し、さらにその後の相手の反応まで確認することで、真の「気がきく人」になります。
やりっぱなし、言いっぱなしではなく「相手の反応を確認する」までがワンセット と覚えておいてくださいね。「気づきの質」+「行動の質」=「気がきく人」 です。「よく見る」というのは、ただ瞳にその場面を映すだけではなく、たとえるならば、写真に撮って保存しておく感覚です。フォルダーを見直せば、そのときの記憶が鮮明に思い出されますよね。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
相手への興味・関心を持つ
たとえ苦手な相手であっても、興味や関心を持つことが、気がきく行動に繋がります。
好きな相手や仲間だけを選べるプライベートと違い、職場や取引先には苦手な人がいるかもしれません。「愛情を持つ」というのが難しいときでも、興味や関心は少なくとも持ってみてください。接客をしていたころは、対応に苦慮するお客さまを担当することもありました。それでも、「きっとどこかにこのお客さまが笑顔になってくださるポイントがあるはず。それはどこだろうか?」と興味を持ちながら、対応を考えたものです。苦手な上司や先輩も同じです。嫌な言い方をされたときは、「なぜこんな言い方をするのだろうか?」と関心を持ってあれこれ想像をめぐらせたものです。それでうまく解決したこともしなかったこともありますが、「相手に愛情、興味、関心を持つ」という習慣はその後の大きな財産になったと自負しています。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
相手の背景や状況に想像力を働かせることで、より的確な配慮ができるようになります。
答えは無限にある のだなとあらためて思った事例でした。私もさらに いろいろなことに興味を持ち、想像力を向上 させていきたいと思った次第です。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
「次の人のために」を意識した行動
共有スペースの利用や、資料の準備など、自分の行動が次に使う人にどう影響するかを考えることも、気がきく人の特徴です。
気がきく人は「次の人のために」という発想からこんな行動をとります。ふたつ目は、化粧室や洗面台などの共有スペースをきれいに使用するということです。清掃スタッフがいらっしゃらない会社は特に、利用するスタッフが掃除をし、各自がきれいに使おうという心がけが大事です。洗面台を使ったあとに飛び散った水や落ちた髪の毛をサッとぬぐって立ち去る人と、何も気に留めずそのままにしている人とに分かれます。仕事柄、いろいろな会社に出入りして思うことです。 次の人が気持ちよく使えるようにしてくれる人は、きっと 仕事においてもきめ細かく気が回る人なのだろうなという印象 を受けます。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
言われたこと以上の気遣いができる人は、周囲から非常に感謝されます。
職場で上司から資料のコピーを頼まれたときに、ただ単にコピーだけをしてその用紙を上司のデスクの上においておくのか、汚れないようにクリアファイルに入れておくのか、書類を見て郵送するものだとわかれば封筒も一緒に用意をするのか……、いろいろと考えるべきことがあります。言われたことをきちんとできればそれで合格かもしれませんが、 言わずとも気をきかせてくれる人の存在はとてもありがたい ですよね。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
周囲への敬意と心遣い
「気がきく人」は、どのような場面でも周囲の人への敬意と心遣いを忘れません。
「たかが行事の出欠連絡」「一見するとささいなこと」ではありますが、気がきく人は、このようなちょっとしたことも「相手にとってどうすればいいのか」をとても自然に考えている のです。意味のないことで人の目を気にするのはよくありませんが、私たちは必ず自分以外の誰かとかかわりを持って生きています。自分の行動が周りにどのような影響を与えるのか、せっかくならば、 周りにストレスをまき散らすよりも幸せをばらまく行動を積み重ねていきたい ものですね。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
あいさつの方法はさまざまですが、先に何かしらの手段で周囲の人とコミュニケーションをとっていた保護者の方は、お子さまが泣いてしまったとしても周りの空気が険悪になることなく、温かい視線で見守られていることが多かった気がします。つまり、「赤ちゃんが泣く」「子どもがいてにぎやかになる」という事実は同じでも、 周りの人への敬意や心遣いがあるだけで結果が変わる ということです。 先に相手からそのような行動をされたことで、相手のことも同じように大切に思う気持ちが働くのでしょう。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
初対面の人や、関わりの少ない人に対しても、感じの良いコミュニケーションを心がけることで、良い関係性を築いていけます。
気がきく人は、どんなときでもこのような気遣いを忘れません。まずは先手必勝で自分から周囲の人に感じのよいコミュニケーションをとり、どんどん味方を増やしていきましょう!
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
自己保身ではなく、常に全体を見て行動
「気がきく人」は、自分のことだけでなく、常に全体の状況を見て行動します。
自分たちとは関係のない周囲の人への配慮も忘れません。また、このような気遣いの足りない行動がトラブルを起こしかねないことも予測し、仲間に早めの一声をかけることで周りに迷惑にならないように促します。もしかすると、その行動は仲間から「細かい人だな」「厳しい人だな」と思われることかもしれません。それでもなお、自分のグループが周囲に迷惑をかけないことや周りの人たちも快適に過ごせることを優先します。 気がきく人は自己保身ではなく常に全体を見て行動 しているからです。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
報連相の「報告」までをワンセットに
相談に乗ってもらった際など、その後の経過を報告することは、感謝の気持ちを表すだけでなく、気がきく人として一目置かれる行動です。
あなたは誰かに相談にのってもらったあと、「その後どうなったのか」ということをきちんと報告していますか?相談にのってくれた相手は、貴重な時間や経験を快く提供 してくれたのです。にもかかわらず、彼女の言うように、その後の報告をしない人がほとんど……。だからこそ、きちんと報告ができる人は感謝され、気がきく人だと一目置かれる のです。ささいなことではありますが、ぜひ身につけてほしい習慣です。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
クッション言葉と依頼形で穏やかなコミュニケーションを
相手に何かをお願いしたり、注意を促したりする際には、言葉遣いを工夫することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能です。
ビジネスシーンでよく使われることとしてクッション言葉と依頼形があります。それらを用いることで「やめなさい=注意、命令」ではなく「○○していただけますか?」というようにこちら側のルールやお願いごとに対する「ご協力依頼」という形に変化します。 人は命令されたりコントロールされたりすることを嫌います。 つまり、「注意や命令をされたからやる」というよりも「依頼に対して協力した」と自分の選択での行動とすると角が立たない のです。
引用:『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』 七條 千恵美著
まとめ
「気がきく人」は、特別な才能を持っているわけではありません。日々の小さな瞬間に、相手への深い思いやりと想像力を働かせ、それを行動に移す習慣を持っているのです。これらの「ちょっとしたこと」を意識することで、あなたも周囲から「気がきく人」として認識されるでしょう。
今日からできる「気がきく」行動、あなたならどれから試してみますか?
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