「少量の飲酒なら健康にいいのでは?」「飲むのはストレス解消のため」—。もしあなたがそう考えているなら、少し立ち止まって考えてみませんか。
本書『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』は、アルコールの正体、飲酒が体に与える影響、そして禁酒・減酒を成功させるための具体的なステップを、医学的な見地からわかりやすく解説しています。
この記事では、本書のエッセンスを抽出し、「お酒をやめたい」「飲酒量を減らしたい」と願うあなたの背中を押す情報をお届けします。
医学が示すアルコールの真実:健康効果は「ゼロ」
多くの方が信じている「少量のお酒は体に良い」という考えは、医学的な見地から見直す必要があります。
「少量の飲酒なら体にいいのでは?」と思って飲んでいるなら、それはただちに見直した方がいい考え方の一つです。 詳しくは後ほど説明しますが、医学的な見地から言うと、 飲酒に精神的な効用はあっても、身体的な健康効果はまったくないことがわかっています*。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
アルコールは、生きるために必須な食品ではなく、脳と体への影響を考えると「薬物」として捉えるべきだと本書は指摘しています。
脳と体への影響を考えるとれっきとした「薬物」です。 つまり、正解は「3」になります。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
さらに、薬としての安全性の目安となる「安全係数」でアルコールを計算すると、「4」となり、「安全とは言えない薬」という結果になります。飲むことは、体内で老化を促進させる「活性酸素」を発生させる逆の行為であり、老化を加速させ、全身の臓器を傷つける行為です。
アンチエイジングのポイントの一つは、「いかに体内で活性酸素を発生させないか」。飲酒はまさに逆の行為で、自ら老化を促進させることになります。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
依存症に近づく「危険ゾーン」のサイン
飲酒習慣が常態化すると、アルコールへの耐性ができ、量が増えて多量飲酒が習慣化していきます。アルコール依存症は、一見して問題がわかる人はごく一部で、9割の人は病気の自覚がないまま社会的な役割を果たしています。
あなたが以下の行動パターンに心当たりがないかチェックしてみましょう。
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休日はお酒を飲む以外にすることがない
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夕食の支度をしながらの「昼飲み」が習慣になっている
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飲みすぎを注意されても「否認」に徹する
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飲む理由を自分以外に向ける「責任転嫁グセ」がある
特に、台所で料理をしながら頻繁にお酒を飲む「キッチンドリンカー」への進行は、危険なサインです。また、周囲からの注意に対して強い反発を感じるなら、「お酒に依存しやすいタイプ」かもしれません。
禁酒・減酒を成功させるための二大原則
「お酒をやめる」と決めたら、闇雲に取り組むのではなく、具体的な行動で成功率を高めることができます。本書が提唱する重要な行動は次の二つです。
1. 「見える化」する(記録をとる)
飲酒の記録は、「自分にとって、なにが飲む引き金になるのか」を知るために不可欠です。
・禁酒して何が変わったかを記録することで「見える化」する
・飲まなくても平気ですごせる行動パターンのコツをつかむ
・「自分にとって、なにが飲む引き金になるのか」を知る
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
記録する項目は、飲酒量だけでなく、「禁酒して何が変わったか」に焦点を当てたものにしましょう。
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朝の目覚め、睡眠の質
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体調の変化(胃腸、肌の状態、体重など)
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精神面の変化(イライラの有無、飲まないさびしさの減り具合など)
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周囲の反応(「ヤセたね」「元気そう」と言われたなど)
これらの変化を記録することで、「シラフのほうが幸せ」という思考や生き方に転換することが、精神面の治療のゴールへとつながります。
2. 「宣言」する(周囲を巻き込む)
禁酒(減酒)の開始を周囲に**「宣言」すること**も大切です。
そしてもう一つ大切なのが、 禁酒(減酒) の開始を周囲に「宣言」すること です。 家族や友人、職場の上司や同僚などに「これから禁酒を始めます!」と伝え、まわりの人を巻き込む作戦です。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
これにより、他者からのサポートを得やすくなり、自分自身へのコミットメントも強くなります。
すぐに実践できる飲酒コントロールのコツ
いきなり完全な禁酒が難しくても、飲酒量を減らすための具体的な工夫はたくさんあります。
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ゆっくり飲む:飲酒のスピードを遅くするだけで、飲みすぎに歯止めをかけられます。
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先に食べる:空腹での飲酒はグイグイ飲んでしまう原因に。先に食事をとり、胃にお酒が入る余地を減らしましょう。
おなかが減っていたりのどが渇いていたりする状態で飲酒を始めると、空腹を満たすかのようにグイグイ飲んでしまいます。 そこで、飲む前にまず「食べる」。 胃の大きさには限りがあるので、先に食事をとっておけばお酒が入る余地が少なくなり、自然と飲酒量は減らせます。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
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水と交互に飲む:アルコールと同量程度の水と交互に飲むことで、飲む量を確実に抑えられます。
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飲めない状況をつくる:飲みたい衝動にかられたら、「自動車の運転など、お酒を飲んだらできないことをする」など、あえて飲めない環境に身を置くのも有効です。
強い飲酒欲求への対処法
強い飲酒欲求が続いても、それは約30分〜1時間で収まると言われています。
意外に知られていませんが、重度の依存症者でも、病的で強烈な飲酒欲求が続くのは約 30分〜1時間と言われています。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
この時間を乗り切るために、アルコール以外のもの(甘いもの、たばこ、コーヒーなど)でドーパミンを出す代替策も有効です。
終わりに|未来の自分への「投資」として
禁酒・減酒に成功すると、最初の2週間で離脱症状のピークを越え、その後は体調の改善や採血結果の好転が期待できます。肌の状態が良くなるなど、見た目の変化も出てきます。
禁酒している間の対策として、アルコール以外のものでドーパミンを出すことは有効です。代替としてよく使われるのが砂糖(甘いもの)、たばこ、コーヒーなどです。
引用:『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』垣渕 洋一著
飲酒に費やしたお金、時間、そして酔いからさめるのに費やした時間を考えると、飲酒は「投資のわりにリターンが少ない」行為かもしれません。
一歩踏み出すことは、未来の健康で幸せな自分への最大の投資です。今日から「見える化」と「宣言」を始めてみませんか。
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