ナチュラル・リーダーシップとは?変化の時代に求められる「感覚」を重視した組織のあり方

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現代のビジネス環境は変化が激しく、従来のピラミッド型組織や固定化されたリーダー像では対応が難しくなっています。そんな中、注目を集めているのが、馬の群れからヒントを得た「ナチュラル・リーダーシップ」の考え方です。


 

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状況に応じて変わる馬の群れのリーダーシップ

 

私たちはこれまで、「リーダー」とは、ピラミッドの頂点に立つ能力の高い人である、という強烈な思い込みに支配されていました。しかし今の時代、人間はより感覚に忠実に生き、自分らしさを取り戻すこと、そして他者とも、自然界に見られるようなフラットな関係性を築くことが求められます。引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

実は、自然界の馬の群れでは、このフラットな関係性に基づいたリーダーシップが実践されています。

実は馬の群れにおいて、ヒエラルキーは固定化していません。  その時々の状況や環境において必要な情報を多く持っている馬が、リーダーシップを発揮すると言われています。  捕食者から逃げる時は、逃げる方向を決めるのが得意な馬が前を走り、力のある馬が仲間を守るために群れの最後を走ります。どちらもリーダーの役割を果たしています。  水が必要な時には、水のある場所を見つけるのが得意な馬がリーダーシップを発揮します。

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

つまり、リーダーの役割は固定された地位ではなく、状況に応じて必要な情報を持ち、行動できる存在へと移り変わるのです。これは、変化に柔軟に対応できる組織運営のヒントになります。


 

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次世代型組織「ティール組織」が目指すフラットなあり方

 

馬の群れに見られるような、状況に応じて多様なリーダーシップが発揮されるフラットな組織は、近年注目される「ティール組織」の考え方と共通しています。

*ティール組織(Teal組織)……組織は社長や株主だけのものではなく、組織に関わるすべての人のものと捉えて、「組織の目的」を実現するために共鳴しながら行動をとる組織のこと。  ティール組織とは、社員それぞれ(細胞ひとつひとつ)が、自分たち(仲間全体)の使命を感じながら、それぞれの意思決定によって、ありのままに動き、自由に変化し続けるという、次世代型の組織の在り方です。

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

ティール組織では、個々の社員が自律的に動き、組織の目的に貢献します。この組織を実現するためには、特定のカリスマリーダーに頼るのではなく、「複数でリーダーシップをとる」ことが重要です。

複数でリーダーシップをとりながら組織を運営するには、以下の3つのポイントが挙げられています。

  1. リーダーは1人、かつ、カリスマであるという思い込みを捨てる

  2. 各々が、自律的にリーダーシップをとる

  3. 誰がどんなリーダーシップをとっているかに気づき、協力し合う 引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著


 

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新しいリーダーシップに不可欠な「感覚」と「信頼」

 

フラットで自律的な組織を機能させる上で、リーダーに求められるのは、高いスキルや経験以上に、「感覚」と「信頼」です。

 

1. 経験よりも「学習する力」

 

これまでのリーダーは「豊富な経験」を持つ人が重宝されてきましたが、変化の速い現代では、経験そのものよりも新しい状況に適応し、学び続ける力が求められます。

「近い将来、『豊富な経験を持ち、その経験に頼ろうとする人材』はオールドタイプとして価値を失っていく一方で、『経験に頼らず、新しい状況から学習する』人材がニュータイプとして高く評価されることになるでしょう」

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

 

2. 人を動かす「信頼」の土台

 

部下やメンバーとの関係性においては、「信頼」が基盤となります。信頼することで、相手に真に関わり、深く知ることができるようになります。

人は信頼してくれる人を信頼する傾向があります。「信頼」の状態になることで、部下に真の意味で関わることができ、より深く知ることができるため、結果として、より部下に貢献することができます。

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

また、リーダーが自身の弱みを隠さず、助けを求める姿勢を見せることで、メンバーの自発性を引き出すことも可能です。

Mさんが変化したことで、部下たちにも変化が起きました。社長に助けを求められたことで、皆が、自分には何ができるか考え、自主的に動くようになったのです。

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

 

3. 「内省」と「行動変容」のサイクル

 

リーダーとして最も重要な資質は「内省する力」であると多くの研究者が指摘しています。

リーダーに最も必要な資質は「内省する力」であると、多くのリーダーシップの研究者が指摘しています。

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

内省を起点に、周囲を観察・理解し、行動変容を促し、フィードバックを受け止め、再び内省に戻る、このサイクルを回し続けることで、ナチュラル・リーダーシップは最大限に発揮されます。

常に自分の考えや言動を「内省」し、周囲の人や物事をよく「観察・理解」し、自ら必要な「行動変容」を促し、それに対する周囲からの「フィードバック」を受け止めて、再び「内省」し、改めて「観察・理解」を行います。  このリーダーシップ・サイクルを回し続けることで、ナチュラル・リーダーシップが最大限に発揮されます。

引用:『ナチュラル・リーダーシップの教科書――「理論」ではなく「感覚」だった』小日向素子著

ナチュラル・リーダーシップは、理論や地位ではなく、個々の感覚、信頼、そして学習と内省のサイクルに基づいた、人間的で柔軟なリーダーのあり方を教えてくれます。

あなたの組織では、誰でもリーダーシップを発揮できる「環境の設定」ができているでしょうか?

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